小中学生対象・第2回語彙量調査―道国語教育連盟 「立春」8割理解できず 言葉の意味の理解など向上(関係団体 2016-03-30付)
道内の小中学生は、日常生活と結び付きの薄い季節を表す言葉の理解度が依然として低い―。道国語教育連盟が、道内の小学三、五年生、中学二年生を対象に、二十三年度に続いて行った第二回語彙量調査結果から傾向が浮かび上がった。「立春」の時期を二月と答えられたのは、小三で二〇%、小五で一一%、中二で一四%にとどまるなど、ほぼ前回と同様の結果となった。一方、前回に比べ、各学年で、言葉の意味の理解や語彙量の伸びがみられた。同連盟では、「今回の結果を日常の実践にしっかりと生かしながら、子どもたちの語彙量、学力の向上に結び付けていきたい」とし、今後も継続的に語彙量調査を行っていく考え。
調査は、二十三年度に行った第一回語彙量調査から五年が経過した現在の語彙量、また、その変化を把握するために行った。昨年七~八月、全道の小学校四十八校、中学校三十四校の協力を得て、小学校三年生一千六百四十三人、五年生一千七百二十五人、中学校二年生一千九百十七人が参加した。
経年変化を明らかにするため、前回調査とほぼ同様の設問内容とし、①あいさつ・言葉遣い・敬語②方言③ことわざ④慣用句⑤言葉のふさわしい意味⑥時間や季節⑦外来語⑧漢字⑨説明・コミュニケーション⑩学習にかかわる言葉―について、小三は四十問、小五と中二は五十問設定。言葉の正しい意味や用法を四つの選択肢から選び、マークシートで答えさせた。前回調査では、小三で設問の多さから後半の誤答の増加がみられたため、設問を前回より十問減らした。
方言の意味を尋ねる問題では、「しゃっこい」「なまら」は小三、小五とも八割以上、中二は九割以上の正答があったが、「うるかす」については、正答率が小五で六四・八%、中二でも七八・二%と八割に満たない状況で、小三は五六・一%にとどまった。
また、時間や季節に関する問題は、前回同様、理解度が低かった。「立春」の時期を二月と答えられたのは、小三で二〇・五%、小五で一〇・九%、中二で一四・一%、「夏至」を六月と答えたのは、小三で二三・七%、小五で二一・〇%、中二で二八・一%だった。しかし、「秋分の日」「節分」「師走」など、祝日や年中行事の正答率は高かった。
一方、外来語やコンピュータ関連用語の認知度は高く、中二では「アクセス」の正答率が八五・二%と、前回調査を五・一ポイント上回った。
漢字に関する問題で特徴的なこととして、小三では、「大勢」を「多勢」とした誤りが六九・五%にのぼった。
小五では、「タイムを計る」を「測る」とした誤りが五三・八%と、前回調査より五・三ポイント高かった。中二では、「趣」の正答率が前回の六二・七%から八一・八%まで上昇した。
こうした結果を踏まえ、学年ごとの全体的な傾向として、同連盟では、小三は「ほとんどの項目で、正解率の上昇がみられる」、小五は「正答率が三ポイント以上上がった項目が十七、三ポイント以上の下降がみられたのが九項目と、各項目で数値の上下が激しい」、中二は「五十問中二十六項目で、前回の数値を三ポイント以上上回った。全体的に言葉の理解度は増している」と分析。
また、三学年の結果全体から、各学年で、言葉の意味の理解や語彙量の伸びがみられる。特に、「漢字」は各学年で伸びがみられ、基礎基本の定着を大切にした指導が成果に表れている。小学五年生では、理解度の伸びに不安定な面がみられ、発達段階と学習量のバランスに心がけて指導することが大切だとした。学年を経るごとに理解度は高くなるものの、三学年を通じ、「時間や季節」に関する言葉の理解度は依然として低い。日常生活や古典等の学習の中で、自分との結び付きを意識し、言語文化としての美しさへの気づきを生む指導を心がけていきたいと考察している。
調査結果を生かし、小学校三年の「言葉遣い」、五年の「方言」、中学校二年の「時間や季節」において、それぞれ語彙量を向上させる授業改善案を作成。単元構成の概要と指導案として、学習内容や児童、生徒の思考の流れを具体的に解説しているほか、各単元の評価のポイントを示している。
同連盟では「今回の結果を日常の実践にしっかりと生かしながら、子どもたちの語彙量、学力の向上に結び付けていきたい」とし、今後も継続的に語彙量調査を行っていく考え。
(関係団体 2016-03-30付)
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