がん教育のさらなる推進へ　実践事例まとめる―道教委

（道・道教委 2016-04-18付）

　道教委は、『がんの教育に関する実践事例』をまとめた。文部科学省の委託を受けて二十六年度から進めている「がんの教育総合支援事業」の一環。がんの教育推進校である札幌市立東月寒中学校、天塩高校の実践などを紹介している。

　二十四年六月に政府が策定した「がん対策推進基本計画」においては、子どもたちが健康と命の大切さについて学び、自らの健康を適切に管理し、がんに対する正しい知識とがん患者に対する正しい認識をもつよう教育することを目指すこととしている。

　道教委では、文科省の委託を受けて二十六年度から同事業を推進。推進校を指定し、保健体育の授業を中心に、学校の教育活動全体を通じたがんの教育について検討している。

　今回は、各学校におけるがんの教育の取組の充実を図るため、推進校である札幌市立東月寒中、天塩高の取組を中心に、指導計画や取組の成果などを紹介した実践事例をまとめた。

　東月寒中では、研究テーマ「がんに関して正しく理解し、いのちの大切さについて考える態度を育成する」に沿って学習計画を作成。三年生の保健体育科で生活習慣病の予防、喫煙と健康、飲酒と健康の指導の際にがんにかかわる内容を取り扱ったほか、日本対がん協会が作成したＤＶＤ「がんって、なに？いのちを考える授業」を活用した。

　医療関係者による講演会、教員向けの研修会も開催しており、「講演会を通して、生徒はがんに対する理解を深めるとともに、がんの予防につながる自分や家族の生活習慣について考えることができた」「中学生の発達段階を踏まえた学習資料の内容や指導方法について、さらに検討する必要がある」とまとめている。

　天塩高では、「がんに対する正しい理解と、がん患者に対する正しい認識および命の大切さに対する理解を深める」を研究テーマとし、生徒にがんのイメージに関する事前・事後アンケートを行ったほか、医療関係者による講演や保健体育科教諭と養護教諭によるＴＴ指導の授業を実施。

　講演後の授業では、命の大切さについて考えるため、がん検診の重要性やがん治療、緩和ケアについて理解を深め、身近な人や自分ががんだったらという視点でグループワークも行った。

　「がんに対する正しい知識を身に付けるとともに、がんを身近な病気として捉え直していた。将来のがんを予防するための行動変容にもつながる」と成果を示している。

　このほか、兵庫県の中学校の指導計画、夏休みの課題「がんについてのレポート」も紹介している。

　実践事例は道内の中・高校にデータを送付したほか、道教委の　Ｗｅｂページにも掲載している。

　道教委では、「生活習慣にも関係するがんについて、どこでどのように指導するか、年間指導計画に位置づけてほしい」と期待している。

(道・道教委 2016-04-18付)