義務教育などとの連携を 道教委・北村学校教育局長あいさつ概要 全道代表高校長研(道・道教委 2016-04-15付)
あいさつする北村学校教育局長
道教委主催の二十八年度第一回全道代表高校長研究協議会(十三日、道庁別館)における北村善春学校教育局長=写真=のあいさつ概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
昨年度は、旭川東高校の北口榛花さんが陸上競技女子やり投げで「全国高校総体」「国体」「日本ジュニア選手権」の主要大会三冠を達成したり、札幌琴似工業高校定時制演劇部が「全国高校総文祭」で文化庁長官賞を受賞したりするなど、本道の高校生が活躍する話題が数多くあった。
このような例に限らず、生徒が活躍し成長した背景には、生徒たちの努力があったことはもちろんであるが、学びや育ちの基礎をしっかりと培い、それぞれの個性の伸長を図るなど、学校教育が果たした役割も大きかったと感じている。
各学校における教育活動に敬意を表するとともに、あらためて感謝を申し上げる。
新年度を迎え、新たな人事評価制度を活用した学校経営の充実や十八歳選挙権にかかる指導、服務規律や危機管理のほか、各種教育課題の解決に向け、校長の学校経営力の向上が一層求められている。
本日は、各管内、各部会の代表校長の皆さんを通じて、全道の高校長にお伝えしたい事柄について、三点お話しする。
一点目は、「確かな学力の育成」。
ご承知のとおり、子どもたちが変化の激しい社会を生きていくためには、基礎的・基本的な知識・技能と、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等に加え、主体的に学びに向かう力を育んでいくことが重要である。
道教委では、課題の発見・解決に向けた、主体的・協働的な学びの充実に取り組むとともに、生徒の能力・進路に応じた教育を推進するため、本年度から、教材やテストの開発、外部講師による講義等を実施内容とする「高校学力向上実践事業」に取り組むこととしている。
各高校においては、これまでも学科の特色や生徒の実態に応じて、学力向上の取組を進めていただいているが、同事業を積極的に活用し、これからの時代に求められる生徒の資質・能力の育成や教員の教科指導力の向上に努めていただきたいと考えている。
併せて、本年度は、道教委として、ICTを活用した教育の推進を重点的に進めることとしており、教育政策課に担当グループを開設した。
当該研究指定の学校での研究の一層の推進と研究成果の普及に加え、各学校での効果的な活用を模索していただくよう期待している。
二点目は、いじめや不登校への対応について。
昨年度、全国では、いじめが背景に認められる、または疑われる児童生徒の自殺事故が相次ぎ、加えて、学校のその対応等についても大きな注目を浴びた。
各高校においては、「学校いじめ防止基本方針」を定め、いじめの未然防止に取り組んでいただいているが、道と道教委では、このたび、いじめ根絶に向けたメッセージ「いじめをなくし、夢と希望が広がる未来を子どもたちに」を公表した。本メッセージを積極的に周知していただき、いじめの未然防止、早期発見・早期対応の取組を一層充実するようお願いする。
また、二十六年度の公立高校における不登校の状況については、生徒数、在籍比ともに前年度より減少したものの、過去五年間では二番目に高い値となっている。
こうした状況を踏まえ、道教委では、本年度から新たにインターネット回線を活用した「教育カウンセリング活用事業」の実施や「子ども相談支援センター」の開設を行うこととしている。
各高校においては、必要に応じて、これらの事業を活用するほか、教育活動全体を通じて、生徒の自己存在感や自己有用感を高める取組、教育相談体制の充実等に努めていただくようお願いする。
三点目は、義務教育、高等教育、企業等との密接な連携について。
生徒は、義務教育段階を経て高校に入ってきており、高校教育を終えたのちには、大学等の高等教育や就職して社会へと接続していく。
従って、その生徒を指導するに当たっては、生徒のこれまでの学習歴や学校生活歴、高校卒業後の進路や、高等教育や社会で求められる能力、態度等を踏まえて、高校教育を展開する必要がある。
本日お話しさせていただいた先の二点についても、高校だけで解決に当たるものではなく、義務教育、高等教育、企業等との連携の中で、情報収集と情報提供を行うとともに、その結果を踏まえて丁寧に対応し、生徒の姿として具体的にみえる教育成果が求められている。
そのことを視野に、各学校が設置されている地域や、学校および生徒の実態等を踏まえながら、多様な取組がなされるよう、各校長先生の創意工夫ある学校経営の実現に期待する。
以上、三点について申し上げた。
新年度がスタートしたこの時期は、人事異動で管理職や教職員も代わった中で、学校経営の方向性を示し、新たな学校体制を整備しているものと理解している。
道教委の新体制発足に当たって、柴田達夫教育長は、これからの変化の激しい社会を生きていくキーワードとして、つぎの五つを明示した。
一つは主体性、二つ目は多様性、三つ目は協働性、四つ目は継続性、五つ目が人間性である。
このことを私たちの仕事に落とし込んでみると、主体的に物事に向かっていくこと、周囲の多様な意見・考え方を理解し受け入れること、そして、協働してみんなの力で物事を成し遂げること。そこには、継続的に学ぶという努力と、思いやりや優しさといった人間性が必要であるということを述べた。
本道の高校教育を取り巻く課題は山積しているが、今後とも、課題解決に取り組み、本道の高校教育の充実・発展のために、今述べたとおりの思いで、皆さんと一緒に、この一年の仕事をさせていただきたいと考えている。
引き続き、理解と協力をお願い申し上げる。
(道・道教委 2016-04-15付)
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