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石狩管内２８年度教育推進の重点　揺るぎない信念もって　キーワードは「発信と信頼」
（道・道教委 2016-04-14付）

２８年度石狩管内教育推進の重点（画像をクリックすると拡大表示されます）

　石狩教育局は十一日、道庁別館で二十八年度管内小・中学校長会議を開催した。馬橋功局長＝写真＝が本年度の管内教育推進の重点を説明。前年度の基本コンセプト「知識と教養を身に付け、心豊かでたくましい人をつくる石狩の教育」を継承し、キーワードを「発信と信頼」と設定。重点目標として、「やさしさとたくましさをもち、未来に向かって学び続ける子ども」「学ぶ楽しさや喜びがあふれ、人と人とのつながりを広げる学校」「学んだ成果を生かせる活力と潤いのある地域社会」の三点を挙げた＝表参照＝。馬橋局長は「揺るぎない信念と情熱、使命感で社会の変化に対応した管内教育の創造と充実に向け、尽力してほしい」と呼びかけた。

　管内における教育推進の重点はつぎのとおり。

【はじめに】

　前年度、管内教育推進の重点に基づき、学校経営の改善・充実に取り組んでいただくとともに、道教委の施策に対して理解と協力をいただき、

▽「チーム学校」を意識した学校経営の充実

▽個に応じた指導の充実やＩＣＴの効果的な活用による「分かる、できる」喜びを味わうことができる授業づくりの推進

▽「私たちの道徳」を活用した道徳の時間の授業改善

▽体力向上の全体計画に基づく、体育（保健体育）の授業改善

　―などの成果がみられたところであり、あらためてお礼を申し上げる。

　教育局としては、こうした各学校の取組による成果や昨年八月に文部科学省が取りまとめた「教育課程企画部会　論点整理」、十月に道が策定した「北海道総合教育大綱」などを踏まえ、子どもたちが互いに支え合いながら、生涯にわたって生き抜く力を身に付けることができるよう、学力・体力の向上、豊かな心の育成に向けた実効性のある施策を推進し、成果の発信に努めるとともに、各学校の個々の課題の解決に向け、総力を挙げて支援したいと考える。

　校長の皆さんには、リーダーシップを存分に発揮し、柔軟な発想で積極果敢に学校改革を進め、その取組や成果を保護者・地域に広く発信することを通して、学校への信頼を確かなものとし、学校・家庭・地域が一体となった教育活動の充実に全力で取り組んでいただくよう、大きな期待を寄せている。

　それでは、二十八年度管内教育推進の重点について説明する。本年度も、皆さんの理解と協力をいただきながら、管内教育のより一層の充実・発展に努めていくので、よろしくお願いする。

　「基本コンセプト」については、今後二年間変更せず、「知識と教養を身に付け　心豊かでたくましい人をつくる石狩の教育」とし、キーワードを、本年度は「発信と信頼」としている。

　それぞれの取組内容については、管内教育推進計画の進捗状況について、昨年度、皆さんに評価していただいた内容をもとに、二十八年度に重点的に取り組んでいただきたい内容を精選している。

【重点１　やさしさとたくましさをもち、未来に向かって学び続ける子ども】

　重点の一つ目は、管内教育推進計画の目指す姿である「やさしさとたくましさをもち、未来に向かって学び続ける子ども」についてである。

　子どもたちが、個性を伸ばし可能性を開花させ、変化の激しい社会を自立して生きていく力を育むためには、学校・家庭・地域の協力によって、子どもたちの知・徳・体の育成に向けた取組を充実させることが大切である。

　このことにかかわって重視していただきたい取組の観点を申し上げる。

▼学校全体で取り組む確かな学力の育成

　一点目の、「学校全体で取り組む確かな学力の育成」では、学校の重点的な取組を、「学校改善プランに基づく課題・目標・具体策の教職員間での共通理解及び家庭などとの連携、基礎学力の確実な定着」とし、

▽授業評価等を活用した日常の授業改善

▽家庭や地域との学力に関する課題の共有

▽家庭学習の充実

▽チャレンジテストの活用

▽分析ツールの活用

　―など、これまで行ってきた子どもの学力向上に向けた取組を継続・徹底・強化していただくようお願いする。

　教育局としては、「ほっかいどう学力向上推進事業」を通した、学校・家庭・地域が一体となった取組の推進や授業改善をより一層推進するための学校訪問等の工夫に努めていく。

▼道徳教育を基軸とした豊かな心の育成

　二点目の、「道徳教育を基軸とした豊かな心の育成」では、学校の重点的な取組を、「道徳教育推進教師を中心とした道徳教育の諸計画の改善充実と道徳の時間の特質を踏まえた授業改善の推進」とし、

▽「道徳教育の全体計画（別葉）」の作成および「道徳の時間の年間指導計画｣の改善・充実

▽『私たちの道徳』と『はあと・ふる』『おもてなしハンドブック』の活用

▽校内研修の充実

　―など、道徳科への移行を見据えた取組を推進していただくようお願いする。

　教育局としては、道徳科への移行を踏まえた道徳教育に関する研修講座の改善・充実、道徳教育推進委員と連携した道徳の時間の特質を踏まえた道徳の時間の授業改善の推進などに努めていく。

▼家庭や関係機関等と連携した健やかな体の育成

　三点目の、「家庭や関係機関等と連携した健やかな体の育成」では、学校の重点的な取組を、「学校における体力・運動能力の向上に向けた取組の検証と改善、健康・安全教育等の改善充実」とし、

▽新体力テストの全学年実施と分析を通した全体計画の改善や家庭や地域との体力に関する課題の共有

▽どさん子元気アップチャレンジへの参加

▽どさん子体力アップ強調月間の取組

▽家庭・地域と連携した望ましい生活習慣の定着に向けた取組の充実

▽フッ化物洗口の導入に向けた体制整備

　―など、子どもの体力や生活習慣の状況を把握し、学校・家庭・地域が一体となった体力向上や望ましい生活習慣の定着に向けた取組の充実に努めていただくようお願いする。

　教育局としては、体育専科教員活用事業、体育授業改善テクニカルサポート事業、体力向上パートナーシップ形成事業の成果の普及と新体力テストの実施状況に応じた指導助言、栄養教諭や関係機関と連携した食に関する指導の充実に向けた支援などに努めていく。

【重点２　学ぶ楽しさや喜びがあふれ、人と人とのつながりをひろげる学校】

　重点の二つ目は、「学ぶ楽しさや喜びがあふれ、人と人とのつながりをひろげる学校」についてである。

　各学校においては、子どもの生きる力を育むため、校長のリーダーシップのもと、教育課程を通じて子どもたちにどのような力を育むのかという教育目標を明確にし、多様な人々とのつながりの中で学ぶことができる環境を整え、学ぶ楽しさや喜びを実感させる教育活動を推進することが大切である。

　このことにかかわって重視していただきたい取組の観点を申し上げる。

▼着実な成果を上げる学校経営の充実

　一点目の、「着実な成果を上げる学校経営の充実」では、学校の重点的な取組を、「学校力向上に向けた学校の組織体制の整備と、保護者や地域住民の学校運営への理解を図る取組の充実」とし、

▽校務分掌の見直し

▽小中連携などの学校間連携

▽学校評価項目の工夫

▽学校運営等の状況の積極的な情報提供

　―など、各中学校区において、義務教育修了時の目標とする子どもの姿を共有し、九年間を見通した教育活動を推進するための組織体制の構築に取り組んでいただくようお願いする。

　教育局としては、「学校力向上に関する総合実践事業」管内推進協議会の開催と会議内容の発信、「小中連携、一貫教育実践事業」「小中一貫教育推進事業」の成果の普及、学習規律や家庭学習の手引など、中学校区で統一した取組の推進に努めていく。

▼教職員が一体となって取り組む教育課程の編成・実施

　二点目の、「教職員が一体となって取り組む教育課程の編成・実施」では、学校の重点的な取組を、「教育課程の適切な編成・実施・評価・改善、学習指導要領の趣旨やねらいおよび北海道の特色を生かした教育活動の充実」とし、

▽教育課程の適切な管理

▽国旗・国歌の指導、アイヌの人たちの歴史・文化などと北方領土に関する学習、本道の自然や文化、観光などに関する学習、安全・防災教育およびキャリア教育の充実

　―など、教職員の共通理解に基づき、法令や学習指導要領などに基づいた適切な教育課程の編成・実施、市町村教委や教育局と連携した本道の特色を生かした教育活動の充実に取り組んでいただくようお願いする。

　教育局としては、教育課程の編成・実施・評価・改善についての指導助言、国旗・国歌の適切な実施に向けた指導助言の継続、学校のニーズに応じた指導主事による学校訪問の実施などに努めていく。

▼専門職としての力量を高める校内研究・研修の充実

　三点目の、「専門職としての力量を高める校内研究・研修の充実」では、学校の重点的な取組を、「日常の授業改善に結び付く組織的・計画的な校内研究と、服務規律の徹底を図る校内研修の推進」とし、

▽学習指導、ＩＣＴの活用、生徒指導、特別支援教育およびび体罰等の根絶に向けたＯＪＴの充実

　―など、授業実践を中核に据え、日常の授業改善に直結する校内研究の推進や、服務規律の徹底や体罰などの未然防止に向けた教職員研修の工夫などに努めていただくようお願いする。

　教育局としては、指導主事の指導助言等による校内研修の充実に向けた支援、市町村単位の教職員研修への支援、特別支援教育に関する情報発信の充実と特別支援教育スーパーバイザーや専門家チームなどの活用の促進などに努めていく。

互いに学び合う環境醸成して

【重点３　学んだ成果を生かせる活力と潤いのある地域社会】

　重点の三つ目は、「学んだ成果を生かせる活力と潤いのある地域社会」についてである。

　地域社会においては、人間関係の希薄化や孤立化などによって、地域の教育力の低下が指摘されていることから、より多くの住民や保護者が子どもの健全育成の取組に参加し、地域とのかかわりを深め、互いに学び合う環境を醸成することが重要である。

　このことにかかわって重視していただきたい取組の観点を申し上げる。

▼地域人材や団体の育成・活用による地域の教育力の向上

　一点目の「地域人材や団体の育成・活用による地域の教育力の向上」では、学校の重点的な取組を、「地域との連携の場や機会の拡充による地域人材や団体の活用の促進」とし、

▽学校支援地域本部事業等、学校サポーター派遣事業の活用

▽地域と連携した通学路の安全確保

▽放課後子ども教室等との連携

　―など、地域との連携の機会をより一層拡充し、地域と共に進める教育活動の推進に努めてほしい。

　教育局としては、各種研修会等の実施や情報提供など、社会教育関係団体の活動と社会教育関係者の育成への支援や学校を核とした地域づくりに向けたコミュニティ・スクール導入の促進など、学校・家庭・地域の連携強化を含め、地域の教育力の向上に努めていく。

▼望ましい生活習慣の定着を基軸とした家庭教育支援の充実

　二点目の「望ましい生活習慣の定着を基軸とした家庭教育支援の充実」では、学校の重点的な取組を、「望ましい生活習慣の定着に向けた保護者との連携の促進」とし、

▽生活リズムチェックシート・「時間の目安」等の活用

▽朝読や家読(うちどく)の推進

▽就学時健診や参観日等の機会を活用した学習や情報提供の推進

▽ＰＴＡ活動の活性化

　―など、望ましい生活習慣の定着を一つの柱としながら、家庭教育支援の充実に努めていただきたいと考えている。

　教育局としては、家庭教育を支援する人材の育成、地域のネットワークづくりの支援、読書環境の整備や家読などの読書活動の充実に向けた助言、「望ましいインターネットの利用に向けた環境醸成推進事業」等、各種指定事業等の成果の普及啓発に努めていく。

▼いじめや不登校の未然防止等に向けた子どもの健全育成の取組の充実

　三点目の「いじめや不登校の未然防止等に向けた子どもの健全育成の取組の充実」では、学校の重点的な取組を、「学校いじめ防止基本方針に基づく全教職員が一体となった取組の充実」「家庭や関係機関と連携した不登校に対する取組の充実」とし、いじめ防止の具体の取組内容として、

▽いじめアンケートや教育相談、子どもが主体となった取組、情報モラルに関する指導の充実

　―など、不登校防止の具体の取組内容として、

▽スクールカウンセラー、スクール・ソーシャル・ワーカーの積極的な活用

　―など、いじめ根絶に向け、子ども同士がより良い人間関係を構築するための取組を進めるとともに、不登校の子どもをなくすため、家庭や関係機関との連携を強化してほしい。

　教育局としては、いじめの防止等に関する条例・基本方針等に基づく学校などの取組への支援、事例研究などの工夫による各種研修講座の充実、「どさんこ☆子ども地区会議」における優れた取組の普及啓発などに努めていく。

【むすび】

　以上、本年度管内教育の推進の重点について説明した。

　学校や教職員への保護者や地域住民の期待がますます高くなり、また、学校課題も複雑化・多様化する中で、校長の皆さんには、苦労も多々あるかと思うが、揺るぎない信念と情熱、使命感で社会の変化に対応した管内教育の創造と充実に向け、管内教育推進計画ならびに本年度の重点に基づく学校経営に尽力いただくようお願い申し上げる。