後志管内28年度教育推進の重点 スピード感もち課題解決を リーダーシップ存分に発揮して(道・道教委 2016-04-14付)
【倶知安発】後志教育局の武田信吾局長=写真=は十一日、後志合同庁舎で開催した二十八年度管内公立小・中学校長会議で管内教育推進の重点を説明した。武田局長は「社会で活きる実践的な力の育成」「豊かな心と健やかな体の育成」「信頼される学校づくりの推進」「地域全体で子どもたちを守り育てる体制づくりの推進」「北海道らしい生涯学習社会の実現」の五点を柱とする重点と、それにかかる重点的に取り組む事項を提示。出席者に「当面する課題に正面から向き合い、スピード感をもって解決に当たってほしい」と要請した。
管内教育推進の重点はつぎのとおり。
【はじめに】
道教委では、ことし二月、本年度の教育行政執行方針を公表した。後志教育局としても、教育行政執行方針に沿って、その中に掲げられた施策の推進に全力で取り組んでいく。
加えて、北海道教育推進計画に掲げた基本目標および二十七年度の管内における課題等を踏まえ、「二十八年度管内教育推進の重点」を定めたので、その概要について説明する。
【管内教育推進の重点】
▼社会で活きる実践的な力の育成
はじめに、「Ⅰ・社会で活きる実践的な力の育成」についてである。
このことについて、教育行政執行方針では、子どもたちが変化の激しい社会を生きていくためには、基礎的・基本的な知識・技能と、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等に加え、主体的に学びに向かう力や人間性などを総合的に育んでいくことが重要であることが示されている。
このため、教育局として、つぎの二点について重点的に取り組んでいく。
▽確かな学力を育成する学習指導の工夫・改善
「重点的に取り組む事項の一」は、「確かな学力を育成する学習指導の工夫・改善」であり、全国学力・学習状況調査を活用した学力向上の取組を促進するとともに、授業改善の推進と学習習慣・生活習慣の確立に向けた取組を促進していく。
一つ目は、各学校において、全国学力・学習状況調査を実施したあとに、分析ツールを活用した指導の改善を行うとともに、成果や課題等の家庭・地域との共有を進めるなど、調査結果を有効に活用した学力向上の取組について指導・助言を行っていく。
二つ目は、各学校における授業の冒頭で目標を示したり、最後に振り返ったりする活動の位置付けや言語活動の充実、学習規律の徹底、授業と宿題のサイクル化など、授業改善の推進と学習習慣・生活習慣の確立に向けた取組について指導・助言を行っていく。
なお、「授業の冒頭で目標を示したり、最後に振り返ったりする活動の位置付け」の部分は、本年度、新たに付加しているので、特に、各学校での取組を進めてもらいたい。
▽一貫した支援を目指した特別支援教育の充実
つぎに、「重点的に取り組む事項の二」は、「一貫した支援を目指した特別支援教育の充実」であり、個別の教育支援計画および個別の指導計画に基づく支援の充実を図っていく。
具体的な取組としては、個別の教育支援計画の活用促進と、「校内研修プログラム」や「実践事例集」の積極的な活用促進、早期からの相談・支援の取組を推進していく。
以上、第一の柱「社会で活きる実践的な力の育成」について申し上げた。子どもたちが、変化の激しいこれからの社会で生きていくための基盤となる力をしっかりと身に付け、自己の将来に向かい、夢や希望をもって、校種を超えて学び続けることができるよう、校長として、自校の教育に責任をもち、強いリーダーシップを発揮することをお願いする。
▼豊かな心と健やかな体の育成
つぎに、「Ⅱ・豊かな心と健やかな体の育成」についてである。
このことについて、教育行政執行方針では、子どもたちが、互いに尊重し合い、基本的な倫理観や規範意識、思いやりの心や美しいものに感動する心などを育むとともに、自らの生き方を主体的に考えることができる力を育成することが重要であることが示されている。
このため、教育局として、つぎの三点について重点的に取り組んでいく。
▽いじめ・不登校等への取組の充実
「重点的に取り組む事項の一」は「いじめ・不登校等への取組の充実」であり、予防的な生徒指導の考え方に立った取組を推進していく。
具体的な取組としては、各学校における自己有用感を高める取組の推進や、「子ども会議」開催の促進、「いじめ未然防止モデルプログラム」の活用促進、教育相談体制の充実などを促進していく。
▽豊かな心を育成する道徳教育の充実
つぎに、「重点的に取り組む事項の二」は、「豊かな心を育成する道徳教育の充実」であり、『私たちの道徳』を効果的に活用した道徳教育を促進していく。
具体的な取組としては、各学校における『私たちの道徳』の活用を位置付けた道徳教育の全体計画や年間指導計画の整備、道徳の時間の一層の充実、PTA研修会等における啓発などを行っていく。
▽健やかな体を育成する体力づくりの推進
つぎに、「重点的に取り組む事項の三」は、「健やかな体を育成する体力づくりの推進」であり、全国体力・運動能力、運動習慣等調査を活用した体力向上の取組を促進していく。
具体的な取組としては、各学校における数値目標を位置付けた全体計画の作成と指導計画・指導方法の工夫改善、体力向上Webシステムの活用促進、家庭における運動の時間の目安の設定などを促進していく。
以上、第二の柱「豊かな心と健やかな体の育成」について申し上げたが、学校と家庭、地域がより一層の連携を図り、いじめ・不登校等への取組を進めるとともに、子どもたちの「心」や「体」を健やかに育むために、各学校において、全体計画や年間指導計画を見直し、指導方法や指導体制などの工夫改善を図るようお願いする。
▼信頼される学校づくりの推進
つぎに、「Ⅲ・信頼される学校づくりの推進」についてである。
このことについて、教育行政執行方針では、人口減少や少子化が進行する中にあっても、学校の規模や地域にかかわらず、教育の質の維持・向上を図ることが重要であることが示されている。
このため、教育局として、つぎの三点について重点的に取り組んでいく。
▽教職員の服務規律の徹底
「重点的に取り組む事項の一」は、「教職員の服務規律の徹底」であり、不適切な勤務の再発防止に向けた取組の推進と、体罰などの不祥事の根絶に向けた指導・助言を行っていく。
具体的な取組の一つ目としては、不適切な勤務の再発防止に向け、服務制度の改正についての指導・助言の充実を図っていく。
二つ目としては、体罰などの不祥事の根絶に向け、各種研修会等における指導・啓発を行うとともに、啓発資料を活用した学校訪問における助言を行う。
▽法令等に基づく教育課程の適切な編成・実施
「重点的に取り組む事項の二」は、「法令等に基づく教育課程の適切な編成・実施」であり、各学校における教育課程の実施状況の進行管理にかかる指導・助言を行っていく。
具体的な取組としては、管理職や教務主任等の指導のもと、義務教育九年間の系統性の明確化を図るとともに、年間指導計画に基づく進行管理を確実に行い、教務主任等の役割を明確にしたチェック体制を確立するなど、各学校において教育課程の適切な編成・実施が進められるよう、様々な機会を通じて指導・助言を行っていく。
▽学校力の向上と教職員の研修の充実
「重点的に取り組む事項の三」は、「学校力の向上と教職員の研修の充実」であり、具体的には、教務主任等ミドルリーダーを対象とした研修の実施と、女性教職員の活躍を支援するための取組を推進していく。
具体的な取組の一つ目としては、教務主任等ミドルリーダーを対象とした研修において、組織マネジメント・教科指導・生徒指導に関する力量形成と、服務等に関する理解の深化を図っていく。
二つ目としては、女性教職員の活躍を支援するため、管内女性教員活躍推進会議を開催するとともに、研修を実施していく。
また、「教育局として引き続き、取り組む事項」に「教員の時間外勤務等の縮減に向けた管理職員の業務管理に対する意識改革などの推進」「管理職員自身の時間外勤務等の縮減に向けた職場の環境づくりの推進」とあるとおり、女性教職員の活躍を支援する取組と併せて、各学校の時間外勤務縮減に向けた支援を行っていく。
以上、第三の柱「信頼される学校づくりの推進」について申し上げたが、教育のプロとして、直接子どもの教育に携わる教職員の服務規律の徹底を図り、子どもたちに対する深い愛情と使命感をもち、豊かな人間性や社会性、高い指導力を身に付け、地域や保護者から信頼され、安心して子どもを託すことのできる学校経営を進めるとともに、接続する学校種との連続性・系統性を重視した教育活動を推進するようお願いする。
▼地域全体で子どもたちを守り育てる体制づくりの推進
つぎに、「Ⅳ・地域全体で子どもたちを守り育てる体制づくりの推進」についてである。
このことについて、教育行政執行方針では、社会が急激に変化する中、学校・家庭・地域・行政が連携協力して、子どもたちを守り育てることが重要であり、家庭や地域での教育の充実を図るとともに、社会の幅広い教育機能の活性化が求められていることが示されている。
このため、教育局として、つぎの二点について重点的に取り組んでいく。
▽家庭・地域の教育力の向上
「重点的に取り組む事項の一」は「家庭・地域の教育力の向上」であり、保護者が学ぶ機会の拡充を図り、学生や地域ボランティアによる学習支援活動を推進していく。
具体的な取組の一つ目としては、「家庭教育“学びカフェ”推進事業」の実施を通して、保護者が日常的に家庭教育や子育てに関する学習や相談の機会を得ることができる環境づくりを支援していく。
二つ目としては、「学校サポーター派遣事業」等の展開による、学校を地域で支える体制づくりの推進を通して、地域の教育力の向上を図っていく。
▽子どもの読書活動の推進
「重点的に取り組む事項の二」は、「子どもの読書活動の推進」であり、地域が連携した子どもの読書活動推進の取組を普及することとしている。
具体的な取組としては、複数の地域が連携した子どもの読書活動推進の取組の成果が多くの市町村へ波及し、すべての子どもがあらゆる機会と場所において、自主的に読書活動を行うことができるよう、管内市町村や学校をはじめ、子どもの読書活動推進にかかわる団体やボランティア、家庭教育サポート企業等と一層連携を密にし、積極的に子どもの読書環境の整備を図っていく。
また、「教育局として引き続き、取り組む事項」に、「望ましい生活習慣の定着に向けた各種取組の充実」とあるとおり、「時間の目安を決めて子どもの生活リズムを整える!」や生活リズムチェックシートの活用促進、「早寝早起き朝ごはん運動」の展開、通学合宿等の運営支援を行っていく。
▼北海道らしい生涯学習社会の実現
最後に、「Ⅴ・北海道らしい生涯学習社会の実現」についてである。
このことについて、教育行政執行方針では、道民が潤いのある生活を送るとともに、持続可能な地域づくりを進めるためには、生涯を通じ積極的に学び、その成果を生かせる環境をつくることが重要であることが示されている。
このため、教育局として、つぎの二点について重点的に取り組んでいく。
▽学びの環境の整備
「重点的に取り組む事項の一」は「学びの環境の整備」であり、市町村における地域住民の多様な学習活動への支援に取り組む。
具体的な取組としては、道民に様々な学習機会を提供する「道民カレッジ」の連携講座の拡充と、小・中学生の道民カレッジ登録の促進を図っていく。
▽文化の振興
「重点的に取り組む事項の二」は、「文化の振興」であり、文化財の保護と活用および発信に取り組むこととしている。
具体的な取組としては、日本遺産の認定に向けた取組の支援や、美術品等にふれる機会の少ない学校への支援を行っていく。
【むすびに】
以上、本年度の管内教育推進の重点について申し上げた。
後志の子どもたちが将来、道内外のそれぞれの分野で力を十分に発揮するためには、全国と同水準の教育を確保し、将来どこへ行っても通用する力を身に付けさせる必要がある。そのために、当面する課題に正面から向き合い、スピード感をもって解決に当たっていただきたい。
また、校長の皆さん方には、課題を的確にとらえ、具体的な取組を組織的・計画的に進め、本年度内にすべての課題の解決を図るという気概をもって、学校経営の最高責任者としてのリーダーシップを存分に発揮していただきたい。
教育局としても、将来を担う子どもたちが、個性を伸ばし可能性を大いに開花させ、自らの力で明るい未来を切り開いていくことができるよう、市町村教委や学校、校長会、教頭会、管内特別支援連携協議会、管内専門家チーム、後志地域いじめ問題等対策連絡協議会、後志教育研修センター等、関係する教育機関や団体等と連携を図り、重点の推進に当たっていくので、引き続き、変わらぬ協力をお願いする。
この記事の他の写真
武田局長が管内教育推進の重点を説明
(道・道教委 2016-04-14付)
その他の記事( 道・道教委)
石狩管内28年度教育推進の重点 揺るぎない信念もって キーワードは「発信と信頼」
石狩教育局は十一日、道庁別館で二十八年度管内小・中学校長会議を開催した。馬橋功局長=写真=が本年度の管内教育推進の重点を説明。前年度の基本コンセプト「知識と教養を身に付け、心豊かでたくまし...(2016-04-14) 全て読む
心のバリアフリー推進事業で道教委がリーフレットを作成 障がい者スポーツ通した相互理解へ
道教委は、リーフレット『障がい者スポーツを通した相互理解』を作成した=写真=。文部科学省委託事業二十七年度「インクルーシブ教育システム構築モデル事業~学校における交流および共同学習を通じた...(2016-04-14) 全て読む
生涯学習推進状況の評価の在り方 評価踏まえ的確な取組を 審議のまとめを柴田教育長に手交―第12期道生涯学習審議会
第十二期道生涯学習審議会(谷川松芳会長)は十二日、「今後の本道における生涯学習推進状況の評価の在り方について(審議のまとめ)」を道教委の柴田達夫教育長に手交した=写真=。「審議のまとめ」で...(2016-04-14) 全て読む
学校職員評価制度で質疑応答集作成―道教委
道教委は、『学校職員人事評価制度にかかる〝質疑応答〟集』を作成した。 道立学校用と市町村立学校用の二種類を作成。前者は「制度の目的および実施方法」など七項目で七十の設問からなる。「自己...(2016-04-14) 全て読む
CS導入促進目指して リーフレット作成し事例紹介―道教委
道教委は、リーフレット『学校が充実する⇔地域が元気になるコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)』を作成した=写真=。導入のスケジュール例や学校運営協議会の開催計画例などを示し、道内各...(2016-04-14) 全て読む
28年度オホーツク管内教育推進の重点 知・徳・体の育成目指して 学校・家庭・地域の一層連携
【網走発】オホーツク教育局は八日、網走市内オホーツク文化交流センターで二十八年度管内公立小・中・義務教育学校長等会議を開催した。田中宣行局長=写真=が「確かな学力の育成をめざす教育の推進」...(2016-04-13) 全て読む
地域一体の学校支援活動推進へ道教委が実践事例集を発行・配信 新たに子ども未来塾やCS収録
道教委は、『二十七年度学校・家庭・地域の連携による教育支援活動~実践事例集』を発行した。新たに子ども未来塾とコミュニティ・スクール(CS)の取組を含めた学校支援地域本部事業など、十二市町の...(2016-04-13) 全て読む
道・道教委がいじめ根絶に向けメッセージ 夢と希望が広がる未来に 子や家族・地域住民等へ呼びかけ
道・道教委は八日、いじめ根絶に向けたメッセージ「いじめをなくし、夢と希望が広がる未来を子どもたちに」を発表した。依然としていじめ認知件数が多い状況を踏まえ、〝いじめをしない、させない、見逃...(2016-04-12) 全て読む
道教委が円滑な幼少連携実現へリーフレット作成・配布 PDCAサイクルのポイントなど紹介
道教委は、リーフレット『小学校生活を円滑にスタートするために』を作成した=写真=。幼小連携に向けたカリキュラム・マネジメントとして、PDCAサイクルのポイントを提示。幼児教育と小学校教育の...(2016-04-12) 全て読む
道教委が民間施設との懇談会開く 「相互理解」へ連携を フリースクールの実践で情報交流
道教委は八日、札幌市内かでる2・7でフリースクールなど民間施設との懇談会を開催した=写真=。フリースクールなど十二施設から十六人が参加し、道教委の取組とフリースクールにおける実践について情...(2016-04-12) 全て読む