釧路管内28年度教育推進の重点 未来切り拓く力の育成 教育水準向上へ「5つの責任」
(道・道教委 2016-04-26付)

管内公立学校校長会議表-1
28年度釧路管内教育推進の重点(画像をクリックすると拡大表示されます)

 【釧路発】釧路教育局は二十一日、釧路市内生涯学習センターで二十八年度管内公立学校校長会議を開いた。石川忠博局長=写真=が本年度の管内教育推進の重点を説明した。「学力向上」「豊かな心の育成と体力向上」「信頼される学校づくり」「生活習慣の確立」「生涯学習の環境づくり」の五本の柱を掲げた上で、「未来を切り拓く力の育成」「自立した一人の人間としての心の育成」「学校力を高める取組の充実」などに取り組む考えを示した=6面表参照=。

 教育推進の重点はつぎのとおり。

【はじめに】

 二十八年度管内教育推進の重点を説明する。

 二十六年度から、「道教育推進計画」および「教育行政執行方針」を踏まえ、各管内における喫緊の課題に対応した重点的な取組を管内教育推進の重点として示すことした。

 二十七年度は、「子どもの未来を保障する三つの責任」として、「学力向上」「豊かな心と体力の向上」「生活習慣の確立」を重点とし、各種施策を進めてきた。

 この一年、各種全国調査等の結果を活用した授業改善や、家庭や地域と連携した基本的な生活習慣の確立などの取組を通じて、子どもたちが社会で生きる実践的な力の育成に努めてきたが、依然として、自立して生きていくために必要な学力や体力においては、全国的な水準に達していないなどの課題も見受けられる。

 管内教育推進計画の後期計画である二十五年度から二十九年度までの五年間の中で、二十八年度は教育実践の質的向上期として位置付けられ、これまで積み重ねてきた教育実践の一層の充実・発展を目指し、管内教育全体の教育水準を高める年度とされている。

 二十八年度は、管内教育全体の教育水準を高めるため、五つの責任として、より明確で詳細な方策について示すこととした。

【学力向上】

▼未来を切り拓く力の育成

 責任の一つ目、「学力向上」について二点申し上げる。

 一点目は、「未来を切り拓く力の育成」である。

 子どもが、自らの夢や希望を実現し、生涯を生き抜く力を身に付けるためには、基礎的・基本的な知識・技能と、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等に加え、主体的に学びに向かう力や豊かな人間性などを総合的に育成することが大切である。

 このため、教育局は、「ほっかいどうチャレンジテスト」や「ALL釧路学力・体力向上八策」などを活用し、基礎的知識・技能の習得と発展的思考の育成のバランスを重視した学力向上に取り組む学校を支援する考えでいる。

 各学校においては、つぎの三つのことに取り組み、「未来を切り拓く力の育成」に努めるようお願いする。

 一つ目は、組織的に子どもの学力を保障する授業づくりを徹底して進めることである。

 そのためには、一点目として、子どもたちが課題を発見し、解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習の充実を目指し、特に、授業の冒頭に学習の目標を示し、子どもが見通しをもって課題解決に粘り強く取り組んだり、授業の終末に学習を振り返り、学習を通して身に付けた力を実感したりする場面を位置付るなど、「見通す・振り返る」を重視した学習活動の充実を図るようお願いする。

 二点目として、各種全国調査等の結果を全教職員で共有し、子どもの学力の状況を的確に把握するとともに、主体的・協働的に子どもたちが問題を発見し、身に付けた知識や技能を活用して問題を解決するなど、思考・判断・表現させる場面を意図的・計画的に位置付けた授業を展開できるよう改善に向けた取組をお願いする。

 特に、高校においては、学習状況等調査などの結果に基づいて課題の把握に努めるとともに、生徒が課題の発見・解決に向けて主体的・協働的に取り組む機会や場面を効果的に設定するなど、アクティブ・ラーニングの視点等を踏まえた授業改善に、引き続き積極的に取り組むようお願いする。

 三点目として、管内の自然や文化、観光などの教育資源を活用した学習や、北方領土やアイヌの人たちの歴史や文化に関する学習を位置付けた体験活動の充実を図るなど、地域の特色ある教育資源を積極的に活用する機会の拡充を通して、郷土を愛し、発展させていこうとする気持ちを育むようお願いする。

 四点目として、全国調査等の結果の保護者や地域住民への分かりやすい公表はもとより、学校、家庭、地域が一体となって、子どもの学力向上に取り組む体制を構築するため、日常の授業改善の成果を交流する公開研究会等を積極的に実施するようお願いする。

 二つ目は、世界的な視野で活躍するためのグローバル人材の育成を進めることである。

 そのためには、一点目として、外国語教育において、四技能を総合的に身に付けるための指導計画を工夫するとともに、学んだ英語を積極的に活用してコミュニケーションを図る学習機会を意図的・計画的に位置付けるようお願いする。

 二点目として、中学校および高校の外国語科において、子どもにどのような英語力が身に付くか、英語を用いて何ができるようになるかなどを明確にし、具体的なCAN―DO形式での学習到達目標を設定するなど、卒業時の子どもの姿を想定した授業改善を図るようお願いする。

 三つ目は、発達障がいを含む障がいのある子ども一人ひとりの自立や社会参画に向けた特別支援教育の充実を進めることである。

 そのためには、一点目として、道教委の「特別支援教育基本セミナー」や教育局独自の研修会への参加を通して、子ども一人ひとりの学びに配慮したきめ細かな授業づくりができるよう、特別支援学級担当教員の各種研修の参加機会を確実に設けるようお願いする。

 二点目として、「障害者差別解消法」の趣旨を踏まえ、すべての教員が通常の学級における発達障がいのある子どもへの指導や支援に関する基礎的な知識や技能を習得することができるよう、「校内研修プログラム」や「通常の学級における特別支援教育の視点を生かした実践事例集」などを活用した校内研修の充実を図るようお願いする。

▼検証改善を重視する不断の教育課程の改善

 二点目は、「検証改善を重視する不断の教育課程の改善」である。

 学校全体の教育活動の充実を図るためには、教育目標の達成に向けた教育課程の役割を踏まえ、各種調査結果や授業評価などを活用し、教育実践の成果と課題を明確にし、教育課程の改善を図る検証改善サイクルを確立することが大切である。

 このため、教育局は、各市町村教委や各学校が、保護者や地域住民に対して、全国調査などの客観的なデータの分析結果等を分かりやすく説明し、課題を共有して一体となった取組を推進することができるよう、全国調査等のデータの分析方法や分析結果の効果的な活用方法を提示するなど、検証改善サイクルの確立を支援していく。

 各学校においては、つぎの三つのことに取り組み、「検証改善を重視する不断の教育課程の改善」に努めるようお願いする。

 一つ目は、子どもの学びを保障する授業時数の確保および授業進度の確実な管理を進めることである。

 そのためには、各教科等において、学年や学期、月ごと等の授業時数や実際の授業進度、子どもの理解の状況について、管理職等が授業を参観するなどして、確実に把握・確認し、指導体制や指導計画、指導方法等の必要な改善を迅速に行う組織体制を構築するようお願いする。

 二つ目は、一人ひとりの社会的・職業的自立に向け、各学校段階を通じて取り組むキャリア教育の充実を進めることである。

 そのためには、各教科等において、多様な他者の考えや立場を理解し、自分の考えを正確に伝える場面を位置付けるなど、キャリア教育で身に付けるべき力を意識した授業改善に取り組むことはもとより、弟子屈町で推進している「小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業」の成果を活用するようお願いする。

 三つ目は、各学校段階で、発達課題に即した指導内容の重点化を図るなど、各校種間の連続性や系統性を踏まえた連携を進めることである。

 そのためには、同一学校種間の連携を進めるとともに、幼稚園と小学校、小学校と中学校、中学校と高校など、異校種間で相互の指導目標や指導内容の系統性・関連性を理解する合同研修会を開催したり、学力や体力の共通課題等を踏まえた指導計画を作成したりするなど、幼児教育から高校教育までを連続的につなぐ取組を推進するようお願いしたい。

【豊かな心の育成と体力向上】

▼自立した一人の人間としての心の育成

 「豊かな心の育成と体力向上」について二点申し上げる。

 一点目は、「自立した一人の人間としての心の育成」である。

 子どもが社会の変化に積極的に向き合ってかかわって、その過程を通して、自らの可能性を最大限に発揮し、より良い社会と幸福な人生を自ら創り出すためには、互いに尊重し合い、基本的な倫理観や規範意識、思いやりの心や美しいものに感動する心などを育むことが大切である。

 このため、教育局は、道いじめの防止等に関する条例および基本方針に基づいた取組の強化、道徳の時間の授業改善、読書機会の拡充等を通して、子どもたちが自立した一人の人間として他者とともにより良く生きていくことができるよう、豊かな心を育む教育やいじめ問題等への学校の取組を支援する考えである。

 各学校においては、つぎの三つのことに取り組み、「自立した一人の人間としての心の育成」に努めるようお願いする。

 一つ目は、いじめや不登校等の未然防止を重点とする生徒指導の充実を図ることである。

 そのためには、日常的に望ましい人間関係を形成する学校経営や学級経営に努めるとともに、いじめの疑いや不登校の兆候がある場合には、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどを効果的に活用し、スピード感をもって組織で対応するなど、教育相談の充実を図るようお願いする。

 二つ目は、問題解決型の学習や体験的な学習などを通じて、道徳的価値について多面的・多角的に学ぶ道徳教育の充実を図ることである。

 そのためには、『私たちの道徳』の効果的な活用はもとより、道徳の教科化を踏まえ、多様な見方や考え方の中で子どもたちに考えさせる素材を盛り込んだ教材の充実や指導方法の改善など、「考え、議論する」道徳科への転換を図り、子どもたちが自己の生き方や他者とのかかわりについて考えを深める機会の充実をお願いする。

 三つ目は、本を読む楽しさを味わわせ、豊かな情操を育てるために、子どもたちの読書環境をつくることである。

 そのためには、学校は、校長のリーダーシップのもと、教員、事務職員、ボランティア等が連携・協力して学校図書館の運営に当たり、それぞれの立場から学校図書館の機能の充実を図るなど、子どもたちの読書環境をつくるようお願いする。

▼あらゆる活動の源となる体力の向上

 体力は、「生きる力」の重要な要素としてあらゆる活動の源となるものであり、学校・家庭・地域社会が連携し、子どもに運動や外遊び、スポーツの楽しさを実感させ、運動に親しむ機会をつくるなど、運動習慣の定着を図り、生涯にわたって心身ともに健やかに生きるための基盤をつくる取組を進めることが大切である。

 このため、教育局は、全国調査などの客観的な結果の分かりやすい公表やその効果的な活用方法の提示、「ALL釧路学力・体力向上八策」を活用した体力向上の検証改善サイクルの確立、フッ化物洗口などの健康教育の充実に取り組む考えである。

 各学校においては、つぎの三つのことに取り組み、「あらゆる活動の源となる体力の向上」に努めるようお願いする。

 一つ目は、新体力テストなどの適切な実施による体力向上に向けた検証改善サイクルの確立である。

 そのためには、新体力テストなどの結果を全教職員で速やかに共有し、適切な実施時期や実施に至る取組を工夫するなど、子どもがもっている力を十分に発揮できるよう、年間体力向上計画の改善を図るとともに、授業改善に活用するなど、体力向上に向けた検証改善サイクルを確立するようお願いする。

 二つ目は、新体力テストなどの結果の周知を通した家庭や地域に対する体力向上の具体的な手立ての啓発である。

 そのためには、学校は新体力テストなどの成果と課題はもとより、課題の解決を図るための具体的な手立てを『学校だより』やホームページなどによって広く家庭や地域に公表するとともに、各市町村教委や青少年教育施設等は主催する運動に親しむことを目指した事業への積極的な参加の促進をお願いする。

 三つ目は、すべての子どもが健やかに学校生活を送るためのフッ化物洗口の普及啓発などを通した健康教育の充実である。

 そのためには、学校および市町村教委は虫歯についてすべての教職員に対して、その原因や影響について共通理解を図り、家庭の理解を得ながら、フッ化物洗口の取組を促進するとともに、食物アレルギー対応など学校給食の事故防止に関する危機管理体制を確立するなど、健康教育の充実を図るようお願いする。

【信頼される学校づくり】

▼学校力を高める取組の充実

 責任の三つ目、「信頼される学校づくり」について二点申し上げる。

 一点目は、「学校力を高める取組の充実」である。

 学校教育においては、子どもに「生きる力」を育むため、校長のリーダーシップのもと、全教職員がビジョンと目標を共有し、具体的な手立てによって課題を解決するなど、学校組織マネジメントを重視した学校改善に取り組むシステムづくりを進めることが大切である。

 このため、教育局は、包括的な学校改善の取組である「学校力向上に関する総合実践事業」の成果の普及や、円滑な学校運営を目指す学校組織づくり、日常の授業改善に直結する校内研究・研修の重点化を通した教職員の資質向上の促進に取り組む考えである。

 各学校においては、つぎの三つのことに取り組み、「学校力を高める取組の充実」に努めるようお願いする。

 一つ目は、二十四年度から釧路町で、本年度から釧路市で取り組んでいる「学校力向上に関する総合実践事業」の成果の活用である。

 そのためには、「ALL釧路学力・体力向上八策」の「トライ学校力」を積極的に活用し、同事業の実践指定校の教員を講師とした校内研修を実施したり、実践指定校の公開研究会に参加して日常の授業改善の進め方を学んだりするなど、同事業の取組の成果を積極的に取り入れるようお願いする。

 二つ目は、教職員一人ひとりの特性を生かした適材適所による機能的な組織の構築である。

 管理職は、教職員一人ひとりのこれまでのキャリアや現在の資質能力などの特性を把握することに努めるとともに、目指すべき学校のゴールを示し、ゴールに到達するまでの具体的な道筋や役割を明確にして、各教職員の活躍の場を意図的に設定するようお願いする。

 三つ目は、全教職員の共通理解による研修体制の整備と、日常の授業改善に直結する校内研究・研修の重点化である。

 そのためには、全国調査等の結果から全教職員で課題を共有し、その課題を解決する方策を検討、実践、検証、改善できるよう、全員が日常の授業を交流したり、協議の視点を明確にした事前および事後研修を実施したりするなど、研修体制の整備をお願いする。

▼管理職による教職員の育成

 二点目は、「管理職による教職員の育成」である。

 学校教育の成否は、子どもに直接ふれあう教職員の人間性や指導力によるところが大きく、管理職は、教職員としての自覚を深めさせるとともに、一人ひとりの役割や活躍する場を明確にし、教職員としてのキャリア全体を見通して計画的に力量を高める方策を推進することが大切である。

 このため、教育局は、若手教員や中堅教員、女性管理職候補者の計画的な育成や、教職員の不祥事の根絶に向け、「コンプライアンス確立月間」における集中的な職場研修の実施などの学校の取組を支援する考えである。

 各学校においては、つぎの三つのことに取り組み、「管理職による教職員の育成」に努めるようお願いする。

 一つ目は、将来のスクールリーダーとなる若手教員や学校・管内教育の中核を担う中堅教員の計画的な育成である。

 そのためには、若手教員には、自分の仕事を調整する力を育むとともに、初任段階教員研修など、各種研修会への参加や、シャドーイングを通して目指すべき教師像を確立させるようお願いする。

 また、中堅教員には、各分掌等の全体を見渡し調整する力を育むとともに、校長の学校経営の方針を確実に理解し、他の教職員に伝え意見を集約するなど、学校運営に直接携わる機会を意図的に設定するようお願いする。

 二つ目は、女性教職員の活躍を支援するための積極的な女性管理職候補者の育成である。

 そのためには、管理職は、女性教職員一人ひとりの個性と能力はもとより、学校のみならず家庭での置かれた立場等の十分な把握を通して、女性教職員の活躍に向け、学校組織が解決すべき課題を明らかにするとともに、一人ひとりが個性と能力を発揮する場を意図的に設け、学校改善を担う中核の一人として、学校経営に参画することの意義を実感させる機会の設定などの研修機会の確保をお願いする。

 三つ目は、体罰やわいせつ行為、飲酒運転など、教職員の不祥事の根絶に向けた服務規律の徹底を目指す定期的な職場研修の充実である。

 そのためには、教職員は教育公務員であり、すべての職務は法令に基づいて行われることなど、日常的に教職員としての自覚を促したり、職務上の悩み等を傾聴し、適切な指導助言を与える個人面談を行ったりするとともに、過去のコンプライアンス違反の事例をもとにした服務規律の徹底を目指す定期的な職場研修を実施するようお願いする。

【生活習慣の確立】

▼家庭や地域と連携した取組の充実

 責任の四つ目、「生活習慣の確立」について二点申し上げる。

 一点目は、「家庭や地域と連携した取組の充実」である。

 子どもたち一人ひとりに望ましい生活習慣を身に付けさせるためには、学校、家庭、地域が連携して、子ども自らが目標をもち、主体的に生活を改善しようとする力を育むことが大切である。

 このため、教育局は、生活リズムチックシートの活用促進や子どもの望ましい生活習慣の確立を目指す各種事業の成果の普及啓発を図るとともに、道家庭教育サポート企業の拡大やコミュニティ・スクール導入促進などによって、地域全体で子どもたちを育てていく体制づくりを支援する考えである。

 各学校においては、つぎの四つのことに取り組み、「家庭や地域と連携した取組の充実」に努めるようお願いする。

 一つ目は、子どもの生活習慣の基盤を構築する「早寝早起き朝ごはん運動」を推進することである。

 そのためには、適切な睡眠時間の確保や朝食の摂取の意義を、『学校だより』や『保健だより』などを通して家庭や地域に周知するようお願いする。

 二つ目は、子どもが自らの生活を意識し、保護者とともに、生活習慣の確立を図るための生活リズムチェックシートの活用を進めることである。

 そのためには、学級活動等で同シートの効果的な活用方法を指導したり、保護者懇談会等において、同シートの意義や活用方法を学習する機会を設けたりするようお願いする。

 三つ目は、職場の子育て環境の充実等に取り組む家庭教育サポート企業等の地域の協力を得た取組を推進することである。

 そのためには、学校が、地域住民や企業と子育てについて目標やビジョンを共有する場を設定したり、家庭教育サポート企業と連携して職員の家庭において、子どもが早寝、早起きをし、親子で朝ごはんをとることを通して、子どもの生活リズムを向上させる取組を進めるなど、子どもも大人も学び合い、育ち合う環境を構築するようお願いする。

 四つ目は、学校の教育活動の充実および地域の教育力の向上を図るコミュニティ・スクールの導入促進を進めることである。

 そのために、学校は、地域住民とともに子どもに関する課題や目標を共有し、地域の文化や産業・自然等を活用した教育活動を充実することによって、自己肯定感や他人を思いやる心を育て、子どもたちが地域の担い手としての自覚を高めるとともに、教育課程を社会に開き、家庭や地域と信頼関係・協働体制を構築するなど、コミュニティ・スクールの成果を活用し地域の教育力を積極的に取り入れた学校づくりに取り組むようお願いする。

 教育局としても、地域の教育力の向上に有効な手立てとなるコミュニティ・スクールの情報提供に努めていく。

▼メディアとの距離感を重視した情報モラルの定着  二点目は、「メディアとの距離感を重視した情報モラルの定着」である。

 情報通信技術の発達により、自分専用の情報通信機器を所有する子どもが増加している現在、ネットトラブルやネット依存、生活習慣の乱れなどから子どもたちを守るために、学校は、家庭や地域と連携し、ネット利用も含めた望ましい生活習慣の確立を図ることが大切である。

 このため、教育局は、「どさんこアウトメディアプロジェクト」を推進し、学校、家庭、地域におけるルールづくりの促進や、ノーゲームデーの普及啓発などに取り組み、メディアやネットなどのより良い利用の在り方を提示する考えである。

 各学校においては、つぎの二つのことに取り組み、「メディアとの距離感を重視した情報モラルの定着」に努めるようお願いする。

 一つ目は、子どもが安心してインターネット等を利用できる情報モラル教育の一層の充実を進めることである。

 全教職員がネットトラブルに関する共通理解を図るとともに、子どもたちが情報通信機器の正しい使い方を学ぶ機会の充実を図るようお願いする。

 二つ目は、PTAや関係機関、市町村教委との協働による「どさんこアウトメディアプロジェクト」を推進することである。

 そのためには、電子メディアの利用に関する課題をPTAや関係機関等と共有し、「ノーゲームデー」など学校、家庭、地域におけるルールづくりや、道や市町村が行う体験活動や読書活動等に子どもたちのみならず、保護者も一緒に参加することの推奨をお願いする。

 高校においては、スマートフォンなどの利用のルールを生徒自身で決めるなど、生徒が主体となった取組を推進するようお願いする。

【生涯学習の環境づくり】

 責任の五つ目、「生涯学習の環境づくり」について申し上げる。

 教育局として、「道民カレッジ」連携講座の周知や社会教育事業の支援などを通した「生涯を通じた積極的な学びの充実」や、アイヌ民俗文化財の保存・伝承活動の支援や北方領土の歴史や文化等を周知する取組などによる「文化の振興」に取り組んでいく。

【おわりに】

 将来の予測が困難で複雑な社会においては、生涯を通じて学び続け、様々な困難にも果敢に立ち向かい、自らの人生を自らの力で切り拓くことができる人間を育成することが重要である。

 教育局としては、「釧路の子どもたちの未来保障」の理念のもと、次代を担う人材の育成に向け、市町村教委や学校との連携を一層密にしながら、各種事業の実施等に総力を挙げて取り組んでいく。

 皆さんの理解と協力を引き続きお願い申し上げる。

この記事の他の写真

管内公立学校校長会議
説明する石川局長

(道・道教委 2016-04-26付)

その他の記事( 道・道教委)

道教委AL調査研究で旭川朝日小など 本年度、実践事例集作成へ 研究授業数増やし深化図る

 【旭川発】道教委の「課題解決型授業(アクティブ・ラーニング=AL)に関する調査研究プロジェクト」の研究チーム「ALPS」は本年度、実践事例集の作成を目指す。引き続き同プロジェクトにおいて、...

(2016-04-28)  全て読む

道高校学力向上実践事業に着手―道教委 学力テスト作成へ77校指定 新たに拠点校4校でハイレベルセミナー

 道教委は二十八年度、道高校学力向上実践事業に着手する。二十五年度から三ヵ年計画で行った「道高校学力向上推進事業」を発展させ、①三つのモデルを設定した学力テスト・教材の開発・作成②ハイレベル...

(2016-04-28)  全て読む

授業改善推進教員配置校を決定―道教委 前年度から倍増の44校 16チーム編成、後志など3管内で初

 道教委は、「授業改善推進チーム活用事業」にかかる授業改善推進教員配置校を決定した。二十七年度の倍増となる四十四校に授業改善推進教員を一人ずつ配置し、全道に十六の「授業改善推進チーム」を編成...

(2016-04-27)  全て読む

授業改善推進チーム等全道研修会―道教委 各校の課題解決へ協議 大妻女子大・樺山准教授の講演も

授業改善チーム全道研修会  道教委は二十五日、札幌市内の道第二水産ビルで二十八年度授業改善推進チーム等全道研修会を開催した。授業改善推進教員配置校などから約百三十人が参加。講演や協議を通して、それぞれの専門性や資質能...

(2016-04-27)  全て読む

高校の特別支援教育支援員配置―道教委 月形など9校を決定 9月ころに1~2校追加

 道教委は、「高校における特別支援教育支援員配置事業」の二十八年度配置校に、月形高校など九校を決定した。ことし二月に実施した「教育上特別な支援を必要としている生徒の状況および支援の状況の把握...

(2016-04-26)  全て読む

道いじめ問題審議会が第1回会合 問題解決・予防の両輪で 取組成果を分析する議論必要

いじめ問題審議会  道教委が設置する道いじめ問題審議会(宮﨑隆志会長)の二十八年度第一回会合が二十二日、道教育大学札幌駅前サテライトで開かれた=写真=。道教委がいじめ問題に対して取り組んできた内容を報告し、い...

(2016-04-26)  全て読む

十勝局が市町村教委教育長会議 教育充実へ協力求める 担当各課が所管事項説明

十勝管内教育長会議  【帯広発】十勝教育局は十三日、十勝教育研修センターで管内市町村教育委員会教育長会議を開催した=写真=。管内十九市町村の教育長等が出席。担当各課がそれぞれ所管事項について説明し、管内教育のさ...

(2016-04-25)  全て読む

道教委が高校進路指導対策会議開く 地域人材育成へ共通理解 120人参加し実践発表、分科会など

高校進路指導対策会議  道教委は二十一・二十二日、札幌市内の北農健保会館などで二十八年度高校進路指導対策会議を開催した=写真=。中学校・高校・特別支援学校高等部の進路指導担当教員、校長など約百二十人が参加。講演や...

(2016-04-25)  全て読む

27年度学校給食実施状況―27年5月1日現在道教委まとめ 完全給食実施1749校 米飯は週平均3.1回提供

 道教委は、道内公立学校の二十七年度学校給食実施状況(二十七年五月一日現在)をまとめた。小学校、中学校、特別支援学校、夜間定時制高校の四校種一千八百七校のうち、完全給食(パンまたは米飯、ミル...

(2016-04-25)  全て読む

オホーツク管内28年度教育推進の重点―高・特 主体的な学びの充実要請 豊かな心の育成へ地域を挙げて

オホ高特校長会議  【網走発】オホーツク教育局は十五日、オホーツク合同庁舎で二十八年度管内高校長・特別支援学校長会議を開催した=写真=。田中宣行局長が、①確かな学力の育成をめざす教育の推進②一人ひとりの教育的...

(2016-04-22)  全て読む