オホーツク管内28年度教育推進の重点―高・特 主体的な学びの充実要請 豊かな心の育成へ地域を挙げて(道・道教委 2016-04-22付)
田中局長が教育推進の重点を説明
【網走発】オホーツク教育局は十五日、オホーツク合同庁舎で二十八年度管内高校長・特別支援学校長会議を開催した=写真=。田中宣行局長が、①確かな学力の育成をめざす教育の推進②一人ひとりの教育的ニーズに応じた特別支援教育の充実③豊かな人間性と感性を育む教育の推進④地域とともにある・信頼される学校づくりの推進―を柱とする、教育推進の重点を説明。学力向上に向けて、「主体的・協働的な学びの充実に取り組むとともに、生徒の能力・進路に応じた教育を一層推進してほしい」と要請。豊かな心の育成については、「子どもたち一人ひとりに規範意識や自律心、他者への思いやりの心などを育む取組ができるよう、地域全体が連携した取組を」などと呼びかけた。
管内教育推進の重点はつぎのとおり。
【はじめに】
二十八年度オホーツク管内高校長・特別支援学校長会議に当たり、本年度の「オホーツク管内教育推進の重点」について説明する。
昨年度を顧みると、校長には、二十七年度管内教育推進の重点の趣旨等を踏まえ、子どもたちを中心に据えた学校づくりの推進にリーダーシップを発揮していただいた。
本年度は、オホーツクの未来を支える子どもたちの確かな学力、豊かな心、健やかな体をバランス良く育てる教育の充実と、その基盤となる教育環境づくりに向け、学校・家庭・地域・行政が連携した取組をより一層推進していきたいと考えている。
【国および道の動向】
さて、グローバル化の進展や情報通信技術の発達などが社会のあらゆる領域に様々な変化をもたらしている中、本道が持続的に発展し、地方創生を実現するためには、地域の発展を支える教育の役割がますます重要となっている。
社会が大きく変化する時代にあって、子どもたちには、ふるさと北海道に誇りをもち、互いに支え合いながら、生涯にわたって生き抜く力を身に付けさせることが求められており、こうした期待に応えていくためには、教育に携わるすべての関係者が、それぞれの果たすべき役割と責務を自覚し、「自立」と「共生」という北海道教育の理念を踏まえ、教育行政を推進していくことが重要である。
このような状況を踏まえ、二十七年度の管内教育推進の重点の評価結果に基づき、二十八年度の重点を策定した。
【確かな学力の育成をめざす教育の推進】
「確かな学力の育成をめざす教育の推進」で特にお願いしたいのは、「子どもが主体的に学ぶ力を高めるため、授業改善や学習習慣の定着など、家庭・地域との連携を図った組織的な取組を徹底する」ということである。
高校教育においては、次期学習指導要領の改訂や大学教育との接続にかかわる改革などを見据え、課題の発見・解決に向けた、主体的・協働的な学びの充実に取り組むとともに、生徒の能力・進路に応じた教育を推進することが求められる。
また、選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられたことに伴い、生徒に選挙に関する知識や教養を身に付けさせるため、学校における指導の充実を図ることが大切である。
そのため、各学校においては、家庭や地域との協働のもと、学力向上の数値目標と具体策を明確にし、子どもたちの自学力を高め、学力向上に結びつく取組をより一層推進していただくようお願いする。
教育局としても、斜里高校で取り組んでいる文部科学省「教育課程研究指定校事業」、網走南ヶ丘高校、網走桂陽高校、紋別高校および訓子府高校で取り組む「道高校学力向上実践事業」などの成果の普及に取り組んでいく。
【一人ひとりの教育的ニーズに応じた特別支援教育の充実】
「一人ひとりの教育的ニーズに応じた特別支援教育の充実」で特にお願いしたいことは、「地域の支援体制を確立するとともに、校内研修の充実により、教員の特別支援教育に関する専門性の向上を図る」ということである。
国が目指す「インクルーシブ教育システム」の理念のもと、各学校においては、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点での教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備するとともに、発達障がいのある生徒も含め、一人ひとりに応じたきめ細かな指導や支援をより一層充実させることが求められる。
そのため、各学校においては、市町村が設置する教育支援委員会や特別支援連携協議会を通じて関係機関等との連携を図りながら、域内における早期からの相談・支援体制を確立するとともに、道教委が作成した「校内研修プログラム」および実践事例集を積極的に活用した校内研修に取り組み、子どもたち一人ひとりへの支援の充実に努めていただくようお願いする。
教育局としても、これまでの特別支援教育にかかる研修事業のより一層の充実はもとより、管内の関係機関等と連携を図った研修会の複数回実施および関係機関等が開催する研修に関する情報提供、湧別町立上湧別小学校、湧別中学校、湧別高校で取り組む「発達障がい支援成果普及事業」の成果の普及に取り組んでいく。
【豊かな人間性と感性を育む教育の推進】
「豊かな人間性と感性を育む教育の推進」で特にお願いしたいことは、「教師が自信をもって心の教育を進め、地域の子どもたちが自らの生き方についてじっくり考える機会をつくる」ということである。
子どもたちの豊かな人間性と感性を育むためには、校長の経営方針のもと、重点を明確にした道徳教育の全体計画を充実させるとともに、いじめの根絶・不登校の解消に向けた予防的な取組や、迅速で適切な対応を組織的に行う体制整備を一層充実させる必要がある。
そのため、各学校においては、「地域の子どもは地域で育てる」という共通理念のもと、保護者・地域住民の方々と手を携えながら、子どもたち一人ひとりに規範意識や自律心、他者への思いやりの心などを育む取組を積極的に推進するようお願いする。
教育局としても、生徒指導等に関する研修事業の充実や、管内いじめ問題等対策連絡協議会の協議を踏まえた取組の推進、「どさん子☆子ども地区会議」等の成果の普及に取り組んでいく。
【地域とともにある・信頼される学校づくりの推進】
最後に「地域とともにある・信頼される学校づくりの推進」で特にお願いしたいことは、「家庭・地域と協働した組織、継続的な学校運営組織を確立する」ということである。
学校が地域の方々の信頼と負託に応えていくためには、自校の教育活動についての説明責任と結果責任を果たし、学校経営を不断に改善していくことはもとより、地域の人々と目標やビジョンを共有し、地域と一体となって子どもたちを育む、「地域とともにある学校」へと転換を図る必要がある。
そのため、各学校においては、ミドルリーダーを中核に据えた組織的な学校運営体制を確立するとともに、学校課題と解決方策を明確にした学校経営に努め、保護者、地域住民の学校運営への参画意識を高め、家庭や地域と一体となった信頼される学校づくりを推進していただくようお願いする。
教育局としても、体罰やわいせつ行為、飲酒運転など、教職員の不祥事の根絶に向け、「コンプライアンス確立月間」における集中的な職場研修などを通じて、教職員の自覚を促す指導に、より一層の危機感をもって取り組む。
【おわりに】
以上、二十八年度のオホーツク教育の推進に当たり、重点的に取り組んでいただきたい事柄を申し上げた。
校長には、「未来のオホーツクを担う子どもたちを、我々の手で、地域全体で育んでいく」という認識のもと、日本の教育の動向や本道教育の情勢等を広い視野で見極め、学校・家庭・地域が一体となった教育活動の推進と、教育環境の基盤整備に向けたリーダーシップを発揮していただくことを期待している。
教育局としても、校長会、教頭会、その他教育関係団体等との連携を一層深め、管内教育の充実を図るよう努めていくので、二十八年度管内教育推進の重点への理解と、その実現に向けた協力をお願いする。
(道・道教委 2016-04-22付)
その他の記事( 道・道教委)
釧路管内28年度教育推進の重点 未来切り拓く力の育成 教育水準向上へ「5つの責任」
【釧路発】釧路教育局は二十一日、釧路市内生涯学習センターで二十八年度管内公立学校校長会議を開いた。石川忠博局長=写真=が本年度の管内教育推進の重点を説明した。「学力向上」「豊かな心の育成と...(2016-04-26) 全て読む
道いじめ問題審議会が第1回会合 問題解決・予防の両輪で 取組成果を分析する議論必要
道教委が設置する道いじめ問題審議会(宮﨑隆志会長)の二十八年度第一回会合が二十二日、道教育大学札幌駅前サテライトで開かれた=写真=。道教委がいじめ問題に対して取り組んできた内容を報告し、い...(2016-04-26) 全て読む
十勝局が市町村教委教育長会議 教育充実へ協力求める 担当各課が所管事項説明
【帯広発】十勝教育局は十三日、十勝教育研修センターで管内市町村教育委員会教育長会議を開催した=写真=。管内十九市町村の教育長等が出席。担当各課がそれぞれ所管事項について説明し、管内教育のさ...(2016-04-25) 全て読む
道教委が高校進路指導対策会議開く 地域人材育成へ共通理解 120人参加し実践発表、分科会など
道教委は二十一・二十二日、札幌市内の北農健保会館などで二十八年度高校進路指導対策会議を開催した=写真=。中学校・高校・特別支援学校高等部の進路指導担当教員、校長など約百二十人が参加。講演や...(2016-04-25) 全て読む
27年度学校給食実施状況―27年5月1日現在道教委まとめ 完全給食実施1749校 米飯は週平均3.1回提供
道教委は、道内公立学校の二十七年度学校給食実施状況(二十七年五月一日現在)をまとめた。小学校、中学校、特別支援学校、夜間定時制高校の四校種一千八百七校のうち、完全給食(パンまたは米飯、ミル...(2016-04-25) 全て読む
石狩管内28年度教育推進の重点―高・特 課題解決への取組推進を 積極果敢な学校改革に期待
石狩教育局は十五日、札幌市内の道第二水産ビルで二十八年度管内道立高校長・特別支援学校長会議を開催した=写真=。馬橋功局長は本年度の重点として、①やさしさとたくましさをもち、未来に向かって学...(2016-04-22) 全て読む
文科省「不登校児童生徒への支援モデル」 小樽など4市に人材配置 センター等設置促進へ検証―道教委
道教委は本年度、文部科学省委託事業「フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援モデル事業」に着手する。文科省が用意した二メニューのうち、「教育支援センター等の設置促進支援」を選択。事業期...(2016-04-22) 全て読む
体力向上へ取組の参考に 道教委が運動プログラム・実践研究事例集
道教委は、『二十七年度体力向上パートナーシップ形成事業運動プログラム・実践研究事例集』を作成した=写真=。道教育大学岩見沢校や北翔大学、北海道日本ハムファイターズなど八団体の運動プログラム...(2016-04-22) 全て読む
道教委が新任社教班主査・主事研修会 専門性・資質の向上へ 講義や演習などで研鑚積む
道教委は、札幌市内かでる2・7などを会場に、十九日から二十八年度新任社会教育指導班主査等研修会および新任社会教育主事研修会を開催した。新任社会教育指導班主査等研修会は四人が参加して二日間日...(2016-04-22) 全て読む
道教委 全道代表高校長研で所管事項説明③
◆学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 【二十七年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査】 いじめの重大事態や、不登校生徒にかかわる調査項目が変更・追加される予定。各学校...(2016-04-21) 全て読む