公立学校施設整備151件未採択で道 文科省に緊急要望提出へ 補正予算編成含め財源確保を
(道・道教委 2016-05-11付)

 道は、文部科学省に対して「二十八年度公立学校施設整備費予算に関する緊急要望書」を提出する方針を固めた。本年度当初における公立学校施設整備計画の採択状況をみると、六十二市町村二百四十六件に対して、四月十九日現在、危険改築や不適格改築、老朽化に伴う大規模改造事業、屋外教育環境整備など百五十一件が未採択となった。これを踏まえ、市町村が計画しているすべての公立学校施設整備事業が円滑に実施できるよう、補正予算の編成も含め必要な財源を早期に確保するよう求める。

 十日の道議会文教委員会で明らかにしたもの。

 二十八年度当初における国の公立学校施設整備費は、二十七年度補正予算と二十八年度当初予算を合わせて一千九十七億円。文科省の概算要求額と比べて約一千億円少ない。

 文科省ではこうした予算状況にかんがみ、「二十七年度未採択事業で二十八年度執行可能な事業」「危険改築や不適格改築の継続事業」を優先的に採択したほか、二十八年度新規事業は財源が生じた場合に採択する方針とした。

 本年度、本道の事業計画と採択状況をみると、六十二市町村における二百四十六件、八十七億七千百万円の事業計画に対して、四月十九日現在、二十六市町村の九十五事業、五十二億九千九百万円が採択となった。

 一方で、百五十一事業、三十四億七千二百万円が未採択となり、二十八年度新規事業のうち、老朽化し構造上危険な状態にある危険改築事業、耐震性能を評価する指標Is値〇・三未満と診断された学校を改築する不適格改築事業、施設設備の劣化や機能低下を改修する大規模改造(老朽、トイレ、空調)、グラウンド整備、教員宿舎などが未採択となった。

 改築事業の未採択内訳は、危険改築事業が八市町村で小学校七校、中学校四校。不適格改築事業が七市町で小学校六校、中学校三校、大規模改造事業のうち外壁や屋根、天井等の老朽改修が十一市町で小学校九校、中学校三校。教室や屋内運動場の暖房設備を新設・更新する空調設備改修が八市町で小学校八校、中学校六校、体育館の吊り天井など構造部材の落下を防止する防災機能強化事業が七市町で小学校八校、中学校一校が未採択となっている。

 十日の道議会文教委員会において、道教委の村上明寛総務政策局長は、二十七年度の未採択百九事業のうち八十四事業は市町村の予算などによって実施し、残る事業のうち取りやめが二十事業、二十八年度への変更が五事業となってることを報告した。

 その上で、「学校は子どもたちが一日の大半を過ごし、災害発生時には避難所となることから安全・安心な学校施設整備が最優先で取り組むべき課題」と強調し、「国の財政状況によって市町村の負担増や事業の見直しを行うことは、将来的な整備計画に大きな影響を与える」と指摘。市町村において地域の実情を踏まえた整備計画を円滑に実施するため、国に対し、早期の財源確保を要望する考えを示した。

要望書では、「市町村が計画しているすべての公立学校施設整備事業が円滑に実施できるよう、補正予算の編成も含め必要な財源を早期に確保されたい」と強調。市町村では地域の実情を踏まえた整備計画を策定しており、児童生徒の安全な学習・生活環境を確保するため、計画を着実に実施していく必要があることを指摘し、文科省として市町村の声を予算に反映するよう要望している。

 また、本道の学校施設の耐震化は全国平均に比べ遅れており、耐震化の早期完了に向けた取組を進める必要性を指摘。耐震補強できない老朽化した学校施設の改修など、安全面の不安を抱えた施設や、機能面が不十分な施設の整備を早急に進めるよう求めている。

(道・道教委 2016-05-11付)

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