27年度体罰実態調査結果―道教委 未報告分、新たに10件 「この程度は」との誤認が多数
(道・道教委 2016-05-12付)

 道教委は、道立学校・市町村立学校(札幌市を除く)における二十七年度の体罰にかかる実態調査結果をまとめた。体罰件数は三十一件で、うち、教育委員会への報告がなく、今回の調査で判明したのは十件。「この程度であれば体罰ではない」と教員が誤って認識しているケースが多い。道教委では、各校における指導資料『望ましい指導の在り方』の活用、感情をコントロールするアンガーマネジメントなどに関する研修の実施を呼びかけていく。

 道教委では、二十四年度から体罰に関する実態把握と体罰事故防止の徹底を図ることを目的に調査を実施。二十七年度発生した体罰についてはことし一月、道立学校二百六十四校および市町村立学校一千四百二十八校(札幌市を除く)の教職員、スクールカウンセラー、保護者、中学校、高校、中等教育学校、特別支援学校中等部・高等部の生徒を対象に、体罰の有無等についてアンケート。対象者約五十六万人のうち、約三十九万人から回答を得た。

 体罰件数は、全校種合わせて三十一件で、二十六年度より二件減った。内訳は、これまでに報告を受けていた二十一件、教育委員会への報告がなく今回の調査で十件が判明した。

 判明した十件のうち、「この程度であれば体罰ではない」と教員が誤って判断したケースが七件、「謝罪して子どもと保護者から理解が得られれば体罰ではない」と誤った考えをしたケースが二件、体罰として校長に報告したが相手方から理解を得られたため誤って教育委員会に報告しなかったケースが一件だった。

 学校数は、二十九校(既報告分二十一校、今回判明分八校)で三校の減。被害を受けた児童生徒数は四十四人(既報告分三十三人、今回判明分十一人)で十六人減少した。

 体罰が行われた場面は、「授業中」九件、「部活動中」二件、「休み時間」八件、「その他(放課後、学校行事の準備など)」十二件。体罰の態様は、「殴る」二十四件のほか、「蹴る」一件、「殴るおよび蹴るなど」一件、「その他(あごをつかみ壁に押し付けたなど)」五件。体罰によって傷害(打撲、鼓膜損傷など)があったケースは八件で、二十六年度の倍。感情的になって指導した教員が多かった。

 体罰を把握したきっかけ(複数回答)は、教員からの申告が十七件と最も多く、保護者からの訴えが十三件、児童生徒からの訴えが五件、その他として、施設職員からの通報も一件あった。

 把握した体罰三十一件のうち、十六件(すべて既報告分)は二十七年度末までに処分を終えている。

 体罰防止に関する校内研修やその他の取組等を通じて指導を行った学校は一〇〇%で、これ以外に、体罰防止に関する取組を行った教職員は四四・〇%だった。

 外部指導者による暴力はなかった。

 道教委では、調査で判明したものが十件あったことについて、「体罰は速やかに報告すべきものであり、新たに判明したことは遺憾。“この程度では体罰ではない”と誤った認識をしている教員もおり、周知していきたい」と話している。

 今回新たに把握した体罰に関しては、既報告分も合わせて詳細に事実関係を調査し、厳正に対処する方針。

 また、実態把握の結果を踏まえ、体罰の防止に向けて学校において指導資料『望ましい指導の在り方』を活用し、感情をコントロールするアンガーマネジメントに関する研修、体罰によって処分を受けた教職員対象の研修を引き続き実施するなど、体罰に対する教職員の認識を深めるとともに、体罰事故防止を徹底していく。

(道・道教委 2016-05-12付)

その他の記事( 道・道教委)

高校配置計画地域別検討協―上川管内 32~35年度に南学区6~7学級調整 旭川市など都市部での再編含め

高校配置計画検討協  【旭川発】道教委は四月下旬、二十八年度公立高校配置計画地域別検討協議会(第一回)を行った。上川南学区会場は上川合同庁舎、上川北学区会場は名寄駅前交流プラザ「よろーな」で開催。両学区合わせて...

(2016-05-13)  全て読む

新・道教育長期総合計画策定で道教委 本年度中に骨子案まとめ 道教育推進会議への諮問決定

 道教委は、二十九年度で計画期間を終える「北海道教育推進計画」に代わる新しい道教育長期総合計画の策定について、道教育推進会議に諮問することを決めた。十一日に開いた教育委員会会議で承認された。...

(2016-05-13)  全て読む

キャリア教育の充実要請 道教委が公立高・特校長会議開く―柴田教育長あいさつ

公立高特校長会議  道教委は十日、ホテルライフォート札幌で二十八年度公立高校長・特別支援学校長会議を開いた=写真=。あいさつに立った柴田達夫教育長は、本道の高卒者の早期離職率が四八%に及んでいることを指摘。離...

(2016-05-12)  全て読む

道議会文教委で体罰問題質疑 背景等踏まえ個別に研修 管理職の指導も―杉本教育部長

 道議会文教委員会が十日に開かれ、「体罰にかかる実態把握」調査結果について質疑が行われた。杉本昭則教育部長は「市町村教委と連携して、体罰を行った教職員に対し、体罰発生の背景や傾向も踏まえた個...

(2016-05-12)  全て読む

公立高校配置計画地域別検討協議会空知管内 32~35年度、学級調整が必要 南・北学区とも中卒者減で

公立高校配置計画地域別検討協議会  【岩見沢発】道教委は四月下旬、空知管内の二会場で二十八年度公立高校配置計画地域別検討協議会を開催した。岩見沢市自治体ネットワークセンターでは南学区、深川市経済センターでは北学区の検討協議会...

(2016-05-12)  全て読む

私立学校は計6件 道の体罰実態調査結果

 道は、私立学校における二十七年度の体罰にかかる実態調査結果をまとめた。調査対象は小学校(三校)、中学校(十六校)、高校(全日制五十一校、通信制六校)で、体罰件数は中学校一件、高校(全日制)...

(2016-05-12)  全て読む

生活・読書習慣ガイドライン策定―上川教育局 オール上川で生きる力を 教委と連携した取組盛り込む

生活・読書習慣ガイドライン  【旭川発】上川教育局は、新たに上川生活習慣・読書習慣定着ガイドラインを策定した=写真=。三つのベクトルを設け、市町村教委と学校・家庭・地域が連携した取組を盛り込み、望ましい生活習慣、読書習...

(2016-05-11)  全て読む

公立学校施設整備151件未採択で道 文科省に緊急要望提出へ 補正予算編成含め財源確保を

 道は、文部科学省に対して「二十八年度公立学校施設整備費予算に関する緊急要望書」を提出する方針を固めた。本年度当初における公立学校施設整備計画の採択状況をみると、六十二市町村二百四十六件に対...

(2016-05-11)  全て読む

本年度〝学びカフェ〟推進事業で道教委 新たに4管内で研修実施 市町村独自にナビゲーター養成も

 道教委は、本年度の「地域人材による家庭教育支援推進事業~家庭教育“学びカフェ”推進事業」における取組方針を固めた。新たに「家庭教育ナビゲータースキルアップ研修」を全道四ヵ所で開催。保護者の...

(2016-05-10)  全て読む

道・札幌市教員採用候補者選考 道の受検資格59歳以下に 今月16日から願書受付開始

 道教委・札幌市教委は、二十九年度道・札幌市公立学校教員採用候補者選考検査実施要領を発表した。第一次検査は六月二十五日、第二次検査は八月五~七日に実施。願書は今月十六日から受け付ける。今回の...

(2016-05-09)  全て読む