後期中等教育段階の特別支援検討委 スムーズな情報共有要望 学校間連携の在り方を協議(道・道教委 2016-05-31付)
2つの柱を立てて検討した
道教委設置の北海道の後期中等教育段階における特別支援教育に関する検討委員会の第四回会合が二十六日、道庁別館で開かれた=写真=。「学校間連携の在り方」について協議。委員からは、中学校から高校へ進学する際、本人・保護者の了解の上でスムーズな情報共有やそのためのガイドライン整備、必要な支援の継続を行うほか、個別の教育支援計画を活用した小学校からの一貫した指導・支援の仕組みづくり、特別支援学校の専門性の活用などを求める意見が出された。
同検討委員会は、高校等に在籍する特別な教育的支援を要する生徒の自立や社会参加に必要な力を育成する観点から、本道の後期中等教育段階における特別支援教育の在り方を検討するために道教委が設置。昨年五月から、検討作業を進めてきた。
第四回検討委員会には、委員十四人が出席した。
検討テーマは「学校間連携の在り方」。「高校と中学校の連携促進」「高校と特別支援学校の連携促進」の二つを柱に、それぞれ三つの視点に基づいて検討を進めた。
一つ目の柱「高校と中学校の連携促進」では、入学者選抜や入学後の配慮・支援に関する情報共有について、「中学校から高校へ情報が伝わっていないことが多い。中・高校間の連携とともに、教員が情報をつなぐ努力と、保護者がそれを信頼していくことが必要」「どのような配慮や教育環境の整備ができるのか、学校だけで決めるのではなく、ガイドライン等が必要」と丁寧な対応を求める意見が出された。個別の指導計画・教育支援計画の作成・活用の必要性を挙げるとともに、その前提として、本人・保護者の了解が必要とし、「学校間での安易な引継は行わないでほしい」との声も寄せられた。
生徒に対する必要かつ適切な支援の継続については、「中学校から高校へ進学するとき、これまでと同様に、〝一貫した縦の流れでの支援〟があれば安心できる。同時に、友達関係が大事。いろいろな個性があっていいという教育を行い、〝一貫した横の関係性〟をつくることが必要」「本人や保護者の同意の上で、サポートノートの活用や、関係機関も含めた情報連携のための会議が必要」「単に同じ内容の支援を継続するのではなく、合理的配慮の提供という視点から、本人の意向をしっかりと把握し、支援の内容を細かく見直していくことが必要」などの意見のほか、担当教員の過重な負担の解消や、中・高校の管理職同士の連携を求める声が出た。
また、一貫した指導や支援の仕組みについて、「個別の教育支援計画の作成・活用で、一貫した指導・支援ができる。小・中学校では、作成が進んでいないので、その推進が必要」との指摘や、「コーディネーターを中心に、一人ひとりの特性や希望に応じて支援計画をつくり、必要な手立てとプログラムを作成する〝支援室〟が地域、学校にあればいいのでは」といった要望があった。
二つ目の柱「高校と特別支援学校の連携促進」では、特別支援学校のセンター的機能の活用にかかわり、「高校で、生徒の実態を把握する方法などの研修の機会を設け、生徒の学習上、生活上の困り感の把握に努める必要がある」「地域で困っている子どもたちのために、特別支援学校の専門性を還元してほしい」などの意見が出た。
交流や共同学習の計画的・継続的な実施については、「イベントや長期休業を利用した共同学習の機会などを設けてほしい」「企業内で、障がいのある子どもについての知識や情報が少ない中、学校と企業が連携して、職場体験事業を行うことは有効」など、交流の機会を求める声があった。
また、連続性のある〝多様な学びの場〟の整備について、「いろいろな子どもがいて当たり前という社会をつくるためには、環境を整備し、小さいころから差別の意味を知ることができるようにする必要がある」などの意見が出された。
(道・道教委 2016-05-31付)
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