教育支援センター設置促進へ 今後の支援の充実目指して 道教委が第1回連絡協議会開く(道・道教委 2016-06-03付)
苫小牧・岩見沢・小樽・石狩の四市教委担当者などが出席
道教委は一日、道庁本庁舎で本年度第一回「教育支援センター等の設置促進支援事業」連絡協議会を開催した=写真=。本年度の新規事業で、委託された苫小牧、岩見沢、小樽、石狩の四市教委から担当者が出席。道教委担当者の説明、道教育大学の平野直己准教授の講演のほか、協議を行い、それぞれの市教委が計画している事業の目的や見込まれる成果などを交流した。
わが国の小・中学校の不登校児童生徒数は、二十五年度から二年連続で増加し、依然として高い水準で推移するなど憂慮すべき状況となっている。このため、文部科学省は「フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援モデル事業」を本年度新規事業として立ち上げ、委託先を募集。委託先となった道教委では苫小牧、岩見沢、小樽、石狩の四市教委を決定した。
委託期間は原則、当該年度の三月末まで。様々な事業から当該教委が地域の実情に即した事業を選択して実施。その成果を公表し、道内に広く普及・啓発し、不登校児童生徒の状況に応じた総合的な教育支援体制の構築を図る。
「フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援モデル事業」は、①フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援②教育支援センター等の設置促進―の二つのメニューで構成。
①では、
▽経済的に困窮した家庭の不登校児童生徒が、フリースクール等で学習活動等を行うために必要な経費を支援
▽支援員の訪問等によって学習活動等を把握し、状況に応じた学習指導・進路指導
―を実施する。
②では、
▽学校や関係機関との連携による、不登校児童生徒に対する継続的支援を行うため、教育支援センターなど、不登校児童生徒の状況に応じた学習の場を新規に設置する事業(類型1)
▽教育支援センターにおいて、引きこもり傾向のある不登校児童生徒等に対する訪問相談、訪問あるいはICT等を活用した学習指導等による広域的な支援を新たに行う事業・アウトリーチ型(類型2)
▽不登校児童生徒のアセスメントや学校の対応への援助等を行う人材を配置することによる不登校児童生徒支援のため、教育支援センターの機能を拡充する事業(類型3)
―を設定している。
うち、苫小牧、岩見沢は類型3、小樽は類型2と3、石狩は類型3を選択している。
協議会であいさつに立った学校教育局参事(生徒指導・学校安全)の川端雄一参事は、協議会の趣旨、道内の不登校児童生徒の状況を説明し、「特に小・中学生の不登校が増加しており、憂慮すべき状況」と強調。協議会を通して、「スクールカウンセラーや適応指導教室など公的機関や民間の団体と連携し、相互に協力し合いながら、不登校児童生徒の居場所や社会貢献ができる場をつくり、自己存在感を高める取組を進めることが重要」とし、「多くのヒントをもち帰り、今後の支援の充実に役立てて」と呼びかけた。
引き続き、学校教育局参事(生徒指導・学校安全)の吉村教賢主幹が「北海道における児童生徒の不登校の状況について」説明した。
道教育大の平野准教授は「不登校児童生徒に対する効果的な支援について」と題して講演。不登校が常態化している現状にふれ、「個人内に原因があるという見方から、人とのかかわりの悪循環という見方に変わってきている。人生の中で誰でも何度か経験する“つまずき”でもある」と説明。「子どもを取り巻く人間関係の充実や回復を目指すことが重要」と訴えた。
また、「つまずいたら、立ち上がることが大切。失敗を恐れる教育も要因ではないか」「結果的に不登校であっても、それがあったから今があると思える人生が大切」と語るとともに、「支援によって、その子が抱えている問題が明らかになることもある。不登校は支援の入り口」と強調した。
協議では、参加した四市教委の担当者らがそれぞれ取り組んでいる事業の内容、見込まれる成果、事業の評価方法などを報告し、交流を深めた。
(道・道教委 2016-06-03付)
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