小中一貫・連携全道連携協議会 本道ならではの在り方を 京都産業大・西川教授が講演(道・道教委 2016-06-20付)
道教委が進める一貫教育の取組にエールを送った
二十八年度道「小中一貫教育推進事業」運営会議兼「小中連携、一貫教育実践事業」全道連携協議会(十四日、札幌市内道自治労会館)では、京都産業大学文化学部の西川信廣教授=写真=が「小中一貫教育のセカンドステージ~義務教育学校・併設型小・中学校を中心に」と題して講演した。「小中一貫教育は、セカンドステージに入った」「“小さなまちだからできない”ではなく、協力し合いながら北海道ならではの一貫教育を」と述べ、道教委が進めている一貫教育の取組にエールを送った。
西川教授は冒頭、小規模校や一自治体における一小学校、一中学校などを本道の特性として例示し、「小さなまちだからこそできることがある」「義務教育学校は小学校でも、中学校でもない。教育課程を逸脱しない限り創意工夫ができる」と強調。学校や教育委員会は、教育課程の中で単元の連携や、子どものつまずきに応じたカリキュラムを設定することが可能であり、こうしたカリキュラムの設定や教員間の連携の工夫で教員同士の意識の違いなどを克服できることを説き、「このような工夫が、“学校が変わった”と地域の方々に伝えることになり、学校の〝見える化〟につながる」と展開した。
一方で、創意工夫の実現には、「教育委員会の強いリーダーシップや、首長部局および教育委員会の方針に納得し、教員に説明できる校長の存在が鍵を握る」と訴えた。
本道教育のイメージに言及し、「革新的ではないように感じる」と断じた。「従来の六・三・三制の考え方を切り換えてほしい。学校は地域によって支えられている。教師のための学校になってはならない」とし、道外各地で実践されている小中一貫教育のメリットを例に挙げて説明した。
九九%の中学生が高校に進学する現在、「教員は、〝勉強が分からないからと中退する子はいない〟という気概をもってほしい」と述べ、〝十八歳の学力に責任をもつという心構え〟の必要性を説いた。その上で、子どもたちの学力向上の取組に有効な手段として小中一貫教育の事例を挙げた。
中一ギャップについては、「ギャップではない。中一リセット」と持論を展開。「小学校でばらばらな授業をやって中学校に来る。学習環境も含め一貫性がない。この制度ができたときと比べ、子どもたちの成長の変化が大きい」と、現在の六・三制の限界を指摘。各種調査結果の数字を挙げながら、四・三・二制などの成果や具体的な事例を示した。
最後に、「小中連携は当たり前。小中一貫教育とは、小学校教育と中学校教育の独自性と連続性を踏まえた一貫性のある教育。それは小・中の教育課程の構造的理解を踏まえた教師の指導力(授業力・生徒指導力)の向上から始まる」「九年間の教育を通して、何を知っているかではなく、何かができる子どもを育てる」「〝自分の言葉で語ることができる〟〝思いを伝えることができる〟子どもを育ててほしい」と締めくくった。
(道・道教委 2016-06-20付)
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