道小・全道会長研修会 リーダー中心に力発揮し 松井会長あいさつ
(関係団体 2016-06-29付)

 道小学校長会が二十四日に開催した全道会長研修会における、松井光一会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

 道内二十地区の小学校長会の代表による全道会長会の開催に当たって、一言あいさつ申し上げる。

 本日は、修学旅行をはじめ、校外学習や行事等で忙しい中、このように遠路集まっていただき、心から感謝申し上げる。

 道小の活動は、本年度も、道中学校長会、道教委、道PTA連合会などの教育団体等と協働し、「未来を見据え、チーム北海道として進む道小」をキャッチフレーズに掲げ、全道の校長と二十八年度の活動をスタートした。

 会長会は、各地区小学校長会のリーダーの皆さんに集まっていただき、各地区での具体的な問題等を、共通課題を中心に意見交換を行うことで、全道の情勢や取組の状況を情報交換し、共通理解しながら道小全体としての取組を明らかにしたり、道教委等への要望活動につなげたりする場であると考えている。

 道小および地区校長会の活動の活性化のために活発な意見交換が行われることを期待している。

 さて、全道会長会の開催に当たり、教育情勢について、三点話す。

 一点目は、「中央教育審議会小学校部会総則部会で詰めている総則の内容」についてである。

 まず、「アクティブ・ラーニングという言葉は、学習指導要領には載らない。そして学習指導要領の解説には、〝アクティブ・ラーニングの視点で…〟という記述で載るようだ」という情報が入ってきた。

 総則・評価特別部会の資料の中に、アクティブ・ラーニングという言葉が、十回出てきているが、その中の九回は、「アクティブ・ラーニングの視点」や「アクティブ・ラーニングの視点に基づく…」という言葉になっている。

 したがって、学習指導要領総則のたたき台資料では、総則第三として、「アクティブ・ラーニングの視点に基づく工夫について示す」という記述になっている。

 つぎに、各教科の部会から出されている「各教科等のイメージ(小学校)」があるが、教科の部会とは、例えば国語部会とか社会部会のことで、これは校種に関係なく校種を貫いて、育成すべき資質能力の三つの観点で、どのようなことをそれぞれの部会で考えているのかということが出てきている。

 今後は、校種別の小学校部会とか中学校部会というように、それぞれが、どういう内容でいくといいのかという、校種として考えていく作業に入っていく。

 教科によって文末表現が違うとか、使う用語がばらばらということがあるので、このあたりも、今後整合性を取っていくことになる。

 さらに、プログラミング教育についてであるが、五月二十七日の中教審小学校部会で、「プログラミング教育に関する有識者会議」の内容をもとに、「論理的思考力等を育む側面と、コーディングを学ぶという両側面があるプログラミング教育を進める」と説明された。

 それについては、全連小の大橋会長も含め何人かの委員が、「それは唐突ではないか」「小学校にそれを求められても新しく教科となった英語であるとか、あるいは道徳の在り方について具体的にどうしていくのかということで手一杯の状態である」と、その場で意見表明したところである。

 そのあと、六月十六日、文部科学省から全連小会長に新たな資料で説明があった。

 簡単に言うと、「論理的な思考力を育成するということ」「コーディング(プログラミングの言語を用いたプログラムを作成していく)」の二点を盛り込むと言っていたが、今回は、「コーディングはやらない、論理的な思考力を育成していくことになる」との説明であった。

 総合的な学習の時間や理科、算数などでやっていく方向が出ているので、新しくプログラミング教育という単元を設けるわけではなく、これまでの学習を、プログラミング教育の側面から、もう一回つくり直して指導していくということである。また、そのための時数を増やすことはしないということである。

 具体的にどういうような指導をしていくとよいのかは、これからの検討課題となり、委員会を立ち上げてその具体例を作成し、指導資料をつくっていくという話である。

 二点目は、「教員の長時間労働の是正に関する動き」についてである。

 教員の勤務負担の現状に関するヒアリングで、小学校の長時間労働の現状を全連小対策部長が話してきた内容である。

 「学校を取り巻く状況は、教員が児童とともに活動したり、面談したり、個別指導したりする、児童と直接ふれあう時間が減少している。また、保護者や関係機関と連携する時間の確保が難しくなっている」や、「ほかにも、今のプログラミング教育などのように、課題が山積している現在、教員一人ひとりにかかる負担は大きく、長時間勤務が常態化することによって学校全体の教育力が低下し、児童に適切な教育環境を提供し、保護者や地域住民から十分な信頼を得られていない状況にある」と説明してきた。

 出席した議員の中には、「こんなに長時間労働をしているのにあまり問題になっていない」という発言もあり、教員の多忙化についての温度差があるようなので、今後はもっと声を大きくしていかねばならない。

 三点目は、「教職員定数のさらなる充実を求める緊急要望書」についてである。

 全連小は、財政審の「経済財政運営と改革の基本方針2016」、いわゆる骨太の方針2016が出たことを受けて、なるべく、どこの団体よりも早くと思い、「教職員定数の更なる充実を求める緊急要望書」を作成した。

 主な内容は五点ある。

▽少子化に応じた機械的な加配定数の削減についての議論はもうしないでもらいたい。昨年もその旨出している

▽地域の実情をもう少し考えていただきたい。不登校児童への対応や専科指導の充実、障害のある児童や外国人児童への対応など、地域学校の実情に合わせて定数は増やすべきである。加配定数をきちんと確保してほしいと言っている

▽少人数学級の速やかな実現、小二については三十五人学級を速やかに実現、小三以降についても速やかにかつ、確実に実現することという言い方をしている

▽教職員の安定的・計画的な採用・配置を行いやすくするために、所要の措置を講じてもらいたい

▽義務教育は普遍的に必要な教育を国の責任において実施するものであることから、財政論、費用対効果の観点のみで教職員定数の合理化について議論せず、学校現場の実情や地方公共団体の政策ニーズも踏まえて判断していただきたい

 ―というものである。

 この内容をもとに、六月二十三日に、道小が、道中・道P連とともに、チーム北海道として要望書を作成し、道知事、道議会議長、道教委教育長に要望してきた。

 知事部局の道総合政策部政策局の佐々木徹総合教育担当局長と、柴田教育長に直接手渡すことができた。道内選出の国会議員には、道小事務所から要望書を郵送し、今回の要望活動を終了した。

 さて、全国の小学校の様子を聞くといろいろなことが分かる。

 昨年は、愛知県の小学校の修学旅行で、京都・奈良の自主研修においては、タクシーを使い、四人グループで一日運転手さんとともに行きたい観光地を回るのが主流だという話をした。

 現在、本州の運動会の時期は、秋が定番だったが、今は本州でも、五月に実施する学校が増えている。暑さと二期制のためだそうである。

 また、神奈川県川崎市では、今、学習発表会、いわゆる学芸会を全学年一斉に行うことはせず、学年ごとに期日を決めて発表するスタイルが主流だそうである。最近多いのは、四年生が二分の一成人式と絡めて、六年生は、卒業学年だからということで、他の学年はしないということである。

 「所変われば品変わる」のたとえのように、それぞれの地区にはそれぞれの事情がある。各地区の活動、要望を大切にしながら、各地区においてリーダーを中心に、いかんなく力を発揮していけるよう、道小としての動きをしっかりと組織していきたい。

 そのためにも、会長会において、充実した研修・情報交流の場となることに努めたい。本道教育の充実を図る活動としてふさわしい会となるようどうぞよろしくお願いする。

 会長会の開催に当たっては、対策部を中心に諸準備をしていただいた。お礼を申し上げ、あいさつとする。どうぞよろしくお願いする。

(関係団体 2016-06-29付)

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