道高校長協会等文教要望への道教委回答〈中〉
(道・道教委 2016-09-07付)

Ⅱ 道教委として、つぎの事項について早期実現を図られることを要望する。

3 教職員配置の改善について

(1)教員の加配等の拡充〈重点〉

 生徒一人ひとりの特性や地域のニーズ等に応じた選択履修ができるよう、多様な教科・科目を設定した教育課程を編成実施するための教員加配等の一層の拡充を要望する。

【回答】

 学科や教科・科目の特性に応じた指導の充実を図るため、普通科における多様な教科・科目の開設校や職業系類型・コース開設校、外国語・数学・情報の教科における少人数指導実践校へ、国の加配によって教員の配置を行っている。

 なお、教職員数については、高校標準法に準拠して配置しているが、さらなる配置については、国による教職員定数の改善が必要と考えており、多様な教育の展開を行うための一層の定数措置の拡充について、引き続き、国に要望していく。

(2)講師時間数増と任用の弾力化〈重点〉

 生徒の実態に応じて多様な選択教科・科目を履修させ、生徒と向き合う時間を確保するため、講師時間数を増やすとともに、三間口以下の学校についても、間口数に応じた講師時間数の配当を図ることを要望する。また、外国人講師の拡大およびALTの配置の拡充、民間非常勤講師の時間数確保について配慮することを要望する。特に、特別支援教育支援員の配置についてはさらに拡充することを要望する。

【回答】

 講師時間数については、高校標準法で算定される定数を振り替えて措置しており、講師時間数を大幅に増やすことは現状では難しいものと考えているが、学校の実情や教員配置の状況等を踏まえ、個々に対応を協議していく。

 なお、普通科九学級以下の学校については、定数を講師時関数に振り替えて措置していないことから、学校の実情に合わせて定数を時間講師に振り替えるなど、対応を協議していく。

 ALTについては、現在、JETプログラムによる外国からの招致青年六十二人を教育局や学校に配置している。

 学校配置ALTの増員については、教育局配置から学校配置への切替を進め、充実を図ってきた。

 学習指導要領に示されているとおり、これからの英語教育はコミュニケーション能力の育成を一層重視する方向で改善を図ることが必要とされていることから、今後とも、国の動向や道の財政状況を踏まえながら、適切に対応していく。

 また、道立高校への特別支援教育支援員については、「高校における特別支援教育支援員配置事業」を実施し、発達障がいのある教育上特別な支援を必要とする生徒が在籍する道立高校のうち、当該校の対象生徒の人数や支援の内容、教員の配置数などを考慮し、きめ細かな個別の支援を行うことが難しい状況にある学校を指定し、配置している。

 今後とも、高校への特別支援教育支援員の配置の一層の充実を図るために必要な財源措置について、国に要望していく。

(3)教員配置における学校間連携

 小規模校の教育活動の充実を図るため、近隣校間の教員の配置や出張授業が円滑に実施されるよう、校種・設置者にかかわらず連携や加配等、条件を整備することを要望する。

【回答】

 道立高校間連携の取組は、近隣の道立高校が連携し、相互に教員を派遣することによって、少人数指導の充実など、相互の高校の教育課程の維持充実を図り、教育活動の一層の推進に資することを目的として実施している。

 道教委では、今後とも、こうした取組を通して、小規模校の教育環境の維持充実に努めていく。

 また、道立高校間連携の推進、充実を図るため、校長と協議しながら適切な教員配置に努めていく。

4 教職員の人事について

(1)教職員全般にかかる人事〈重点〉

 人事異動要綱・実施要領については、学校経営の適正化を図るため、地域割りの改善、勤続年数の改善等、抜本的な改定を早急に進めることを要望する。また、都市部・郡部間の異動を一層促進して人事の公平性を保つため、郡部校で中核となり得る人材の異動や単身赴任手当・へき地手当の増額を要望する。

 なお、行政職員については、都市部、郡部間の異動を促進することはもとより、事務主任の全校配置と事務室内の相互牽制を確保するとともに、職種の配分基準にかなった人員を配置すること要望する。

【回答】

 長年勤務者の解消や都市部と郡部の異動促進については、基準の厳格な適用に努めており、二十七年当初人事から人事異動実施要領に定める特殊事情の考え方の整理をし、長年勤務者の解消、特に、都市部から郡部への異動促進に重点を置いて取り組んでいる。

 今後とも、学校運営の円滑な推進に資するため、人事異動要綱・実施要領の見直しも含め、より効果的な施策の実施に努めていく。

 単身赴任手当については、人事委員会勧告に基づき、二十七年四月から、基礎額および加算額を、二十八年四月から基礎額をさらに改定しており、今後とも、人事委員会勧告を尊重することを基本としながら対処していく。

 また、へき地手当の増額については、現在の公務員給与を取り巻く情勢が厳しい状況や他府県との均衡を考慮すると、難しいものと考えている。

 事務主任への昇任人事に当たっては、人事異動方針において、命課基準を満たす者で、能力および適性があると認められる者については、原則として昇任対象とすることとしており、これによって、未配置校を解消するとともに、事務主任配置基準に沿った人事配置となるよう努めていく。

(2)管理職にかかる人事〈重点〉

ア 管理職の人事については、中・長期的な展望と学校・地域の実態に依拠した指導力と実践力等、計画的で清新な人事を推進することを要望する。

【回答】

 管理職人事については、優れた人材の発掘と育成や若手の起用について十分配慮しながら、中長期的展望に立った人事を推進していく。

イ 校長採用・副校長昇任・教頭昇任に当たっては、副校長・教頭・教諭としての日常的な実践をより重視する観点に立ち、校長の意向を尊重し、学校職員人事評価制度の結果は慎重に活用することを要望する。

【回答】

 校長採用、副校長昇任、教頭昇任の各候補者選考の実施に当たっては、推薦書または申込書を通して校長の意見を把握している。

 学校職員人事評価制度の任用への活用については、現在検討を進めており、今後、機会をとらえて情報提供していく。

ウ 教頭昇任については教頭未配置による学校現場の混乱を避けるためにも、より多くの有能な人材が受検するよう工夫することを要望する。

【回答】

 能力と意欲のある人材を確保するため、二十七年度から主幹教諭を配置してきており、引き続き、教頭昇任候補者の人材確保を図るための方策について検討していく。

エ 副校長の配置については、学級数や学科の状況などに基づき、積極的に配置することを要望する。

【回答】

 副校長配置校については、教頭複数配置校の範囲内で、複数教頭のうち一人を副校長とすることとしている。

 今後の配置については、学級数や学科の状況などをもとに検討していく。

(3)主幹教諭にかかる人事〈重点〉

 主幹教諭の配置については、配置校における成果と課題などを把握し、学校組織運営体制の充実を図るよう配置を工夫することを要望する。

【回答】

 道立学校における主幹教諭については、学校において様々な課題を抱えている中、校長のリーダーシップのもと、学校の組織運営体制・指導体制の充実を図るため、二十七年度から配置した。

 配置校における成果や課題などを把握するなどしながら、今後の配置拡充を進めていく。

(4)新採用にかかる人事

ア 教員の採用に当たっては、人物重視の観点に立って実施するとともに、教員としての適性や実践力を十分に見極めることができるよう、選考方法をより一層充実することを要望する。

【回答】

 教員採用候補者選考検査の方法については、より人物評価を重視した検査となるよう改善を図っており、教科等指導法の記述式検査に加え、個別面接に模擬授業の導入や英語の専門検査等の免除基準を引き上げるなど、実践的指導力のある人材を確保できるよう改善に努めている。

イ 産業教育担当(職業学科)の実習助手の採用について、専門性(知識・技術・技能)を有する者の確保に引き続き十分配慮することを要望する。

【回答】

 産業教育を担当する実習助手の採用に当たっては、各受検教科関係の学科を卒業していること等を受検資格とし、本人の専門性を十分見極め登録している。

 なお、多様な経験や実績のある人材を確保するため、本年度から年齢要件を四十九歳以下から五十九歳以下に引き上げており、今後も専門性を有する者の確保に努めていく。

(5)初任者の配置にかかる人事

 初任者の配置については、効果的な研修の推進や学校経営の適正化が図られるよう、できるだけ小規模校および定時制課程を避けるなど、学校の実情に特段の配慮を要望する。

【回答】

 初任者の配置については、学校の実情を考慮するとともに、校長と十分協議しながら進めていく。

(6)看護および福祉、芸術、家庭、情報の教員配置にかかる人事

 看護および福祉、芸術、家庭、情報の教員配置については、地域や学校の実情を考慮の上、教員の確保、および積極的な任用や他校との兼務のための条件整備や特別免許状制度の活用を図るなど、特段の方策を講じることを要望する。

【回答】

 授業時間数の少ない芸術科教科については、地域性等を勘案し教員の確保に努めるとともに、兼務等の制度を積極的に推進していく。

 また、看護科や福祉科の教員配置については、特別免許状制度を活用するなど、地域や学校の実情を考慮し、校長と十分協議しながら進めていく。

(7)公立高校配置計画にかかる人事

 公立高校配置計画に伴う該当校の教職員の定数減については、教育課程の実施をはじめとする学校運営に支障を及ぼさぬよう、引き続き、弾力的な運用等、学校事情に特段の配慮を要望する。

【回答】

 教職員数については、高校標準法に準拠し配置しているが、配置計画に伴い大幅な定数減となる場合には、学校運営に支障を来すことのないよう、期限を設けて段階的に定数減を行うなどの激変緩和措置も含めて個々に協議していく。

(8)再任用制度にかかる人事

 高年齢者雇用安定法の改正を踏まえ、高年齢者の雇用機会の確保と学校の教育活動の充実が図られるよう再任用の在り方について、今後とも、十分に検討することを要望する。また、再任用の配置については、各学校の事情に十分配慮するとともに、人事が停滞しないよう長期的な展望をもって実施することを要望する。

【回答】

 再任用の配置については、十八年度当初人事から、原則A地域での再任用は行わないなどの取扱いを実施しており、再任用者の配置に当たっては、教科および年齢構成にも配慮しながら、学校間で不均衡が生じないよう、制度の趣旨を踏まえた任用について、校長と十分協議しながら進めていく。

(9)期限付き教諭にかかる人事

 学習指導・生徒指導・校務分掌等において優れた資質を有する期限付き教諭を確保するシステムを検討するとともに、正規職員として新採用する際には、面接および勤務校における実績等を十分に考慮することを要望する。また、休職等に伴う期限付き教諭の任用にかかわっては、校長と協議の上、柔軟に対応することを要望する。

【回答】

 期限付き教諭の確保については、道教育庁代替教職員等応募・任用システムが二十四年度から運用されており、システムをより積極的に活用するなどして、優れた資質を有する人材の確保に努めていく。

 教員採用候補者選考検査においては、より人物評価を重視する観点から面接検査の充実、改善を図ってきており、今後とも、実践的指導力のある人材を確保できるよう努めていく。

 なお、休職等に伴う期限付き教諭の任用にかかわっては、これまでも学校運営に支障とならないように代替教諭の確保に努めてきており、今後も、校長と十分協議しながら対応していく。

(10)人事異動にかかわる時間講師の確保〈重点〉

 過員、学校事情等によって、教科・科目の調整が不調になるなど、教育課程の実施が不可能となることから、時間講師を確保することを要望する。

【回答】

 講師時間数については、高校標準法で算定される定数を振り替えて措置しており、講師時間数を大幅に増やすことは難しいものと考えているが、学校の実情や教員配置の状況等を踏まえ、個々に対応を協議していく。

5 研修の充実強化について

(1)教員の専門性を高める研修

 高度情報化や科学技術の進展に対応する産業教育研修の充実や学習指導要領に対応する研修、生徒の心のケアに実践的に対応できる教育相談研修など、教員の専門性を高める研修の充実に努めることを要望する。特に、英語の授業について、いわゆるオールイングリッシュでの授業を推進するため、担当教員の資質・能力の向上に資する研修を悉皆で実施するなど、研修機会の拡充に努めることを要望する。

【回答】

 産業教育研修については、これまで水産、家庭、農業、工業、商業について実施しているが、科学技術等に対応した研修内容を取り扱うよう努めており、また、教育相談研修については演習などを中心とした実践的な内容を実施している。

 各研修とも、今後も引き続き、今日的な教育課題や学校現場の実態に応じた内容の充実に努めていく。

 英語教育にかかる研修については、二十六年度から、中央研修を受講した英語教育推進リーダーが講師となり、道内の各高校の英語担当教員を対象とした「グローバル化に対応した英語教育指導力向上研修」を実施しており、今後も、英語の指導力向上を図ることを目的とした各種研修を推進していく。

 また、現在、本道の広域性や今日的な教育課題、学校現場の実情を踏まえ、本道の教員研修の見直しを進めており、今後とも、本道の教員一人ひとりの研修の充実に努めていく。

(2)学力向上を推進する研修〈重点〉

ア 授業実践講座等の研修の拡充を図ることを要望する。

イ 難関大学合格のための研修の充実を図ることを要望する。

ウ アクティブ・ラーニングにかかる研修の充実を図ることを要望する。

【回答】

 道教委では、教員の教科指導力の向上を図るため、二十一年度から、学力に関する事業の取組の一つとして、「授業実践セミナー」を実施し、二十五年度からは、同セミナーを「教科指導セミナー」として継続するとともに、大学進学を目指す生徒を指導するために必要な授業力を高める「進学指導セミナー」を実施してきた。

 二十八年度からは、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点からの学習・指導方法の改善など、教員の教科指導力の向上を図る実践的な研修を行う「授業実践講座」を実施するなど、改善を図った。

 また、「アクティブ・ラーニング」にかかる研修については、二十七年度には、国の委託事業の中で全道研究大会を開催し、先進的な取組の紹介や公開授業等を実施してきた。

 二十八年度についても一層研修の充実を図るべく、引き続き、委託事業の計画を申請中であり、万一、国の指定とならなかった場合には、道の指定事業として、道内四圏域に一校ずつ、計四校の研究指定校を指定して、「圏域研究大会」(仮称)を実施するなど、国の委託事業の計画と同様の取組を行っていくこととしている。

 今後とも、これらアクティブ・ラーニングにかかる研修の実施内容・方法の改善に引き続き努めていく。

(3)学校の課題に対応する研修

ア 危機管理に関する実践的な研修の充実を図ることを要望する。

【回答】

 道教委では、コンプライアンス確立会議など、教職員の服務規律等に関する研修機会を設定している。

 さらに、教職員の不祥事防止のため、研修資料等を作成・配布している。

 また、各教育局管内での学校安全教室、全道学校安全研究協議会、全道学校安全研究協議会(三年に一回開催)など、学校安全等に関する研修機会を設定している。

 さらに、学校安全の徹底など、学校の危機管理体制の確立を目指し、『学校における危機管理の手引(改訂2版)』『安全教育実践事例集』『学んDE防災(地震編・津波編・風水害編)』等を作成・配布している。

 各学校においては、こうした取組を積極的に活用して、危機管理の一層の徹底を図っていただきたいと考えている。

イ 特別支援教育に関する校種間の連携の在り方を含めた実践的な研修を繰り返し実施するとともに、特別な配慮を必要とする生徒一人ひとりのニーズに応じた個別支援を充実させるための研修等の施策を講じることを要望する。

【回答】

 特別支援教育に関する研修については、道教委が実施する基本研修等において、特別支援教育について取り扱うほか、「特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業」を全道域で実施し、特別な教育的支援を必要とする生徒に支援体制や支援方法などについて助言等を行っている。

 また、校内研修を支援する指導資料の作成・配布を継続しており、こうした取組を通して、生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導や支援を充実させるための研修等の支援に努めていく。

(4)教員免許更新制の環境整備

 教員免許更新制については、円滑に行われるよう交通不便地で勤務する教員の受講環境の整備を含め関係機関と十分な連携を図ることを要望する。

【回答】

 これまで、更新講習に関する北海道地区国立大学教員免許状更新講習実施事務センターの会議に参加するなど、本道の実情に即した講習が開設されるよう、道教育大学等と必要な連携に努めてきた。

 また、各大学等の実施する更新講習について、道内の国公私立学校や市町村教育委員会に対し、周知や情報提供を行うなど、教員免許更新制の円滑な実施に努めている。

(道・道教委 2016-09-07付)

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