公立小学校長の退職後の動向―道小調べ 再任用23%希望も実際は16% 再就職先―教委関係が大幅増
(関係団体 2016-10-18付)

 道内の公立小学校を昨年度末で退職した校長の六五・六%が「再就職」、一六・八%が「再任用」として勤務していることが、道小学校長会(松井光一会長)が行ったアンケート調査で明らかになった。再任用に比べ、再就職の割合が高い傾向が続いているものの、昨年度と比べると三・一ポイント減少している。校長としての再任用については、約七割が「希望しない」と答えており、理由としては「後進に道を譲る」との声が多かった。再就職の一ヵ月当たりの給与は、「十五万円超二十万円以内」が四〇・〇%と最も高かった。再就職の勤務内容は、「教育委員会関係」が五二・二%と最も高く、道小では、「経験を生かすことのできる職業に就く傾向が今後も続く」と分析している。

 アンケートは、道内の公立小学校を昨年度末で退職した校長百六十七人を対象に実施。百二十五人から回答を得た(回答率七四・九%)。

 退職前の希望では「再就職」が五二・八%(昨年度五一・一%)、「再任用」が二三・二%(同二六・三%)となっている。一方で、現在の状況をみると、「再就職」が六五・六%(同六八・四%)、「再任用」が一六・八%(同一六・五%)となっており、再任用を希望するものの実際には再就職となる傾向がみられる。

 「校長としての再任用制度を希望するか」との問いには、七三・八%の校長が「希望しない」と答えており、三年続けて七割を超えた。理由としては、「後進に道を譲る」「体力面・精神面での不安」「職責に見合わない給与」などを挙げる声が多かった。

 再就職の勤務内容では、「教育委員会関係」が五二・二%(同三六・二%)と、本年度急増。再就職先の勤務地は退職時に勤務した市町村が六九・二%で退職後も勤務した市町村に再就職する傾向が強い。

 再就職先の一ヵ月当たりの給与は、「十三万円超十五万円以内」が二九・一%(同二九・〇%)、「十五万円超二十万円以内」が四〇・〇%(同三八・八%)。

 再任用・再就職に関する満足度では、「満足している」が四二・二%(同四三%)、「普通だと感じている」が四九・四%(同五二%)で概ね九割の校長から肯定的な回答が得られた。しかし、「不満と感じている」が八・四%(同五%)と、昨年度と比べ三・四ポイント増加している。

 退職時の不安解消のためにでは、「再就職先に関する情報」が二二・一%(同一九%)、「年金支給までの健康保険の延長」が二七・七%(同二五・五%)と高い割合を示しており、これらの内容については、現職時代から意識して準備を整えることが必要と分析している。

 このほか、退職者の意見として、「校長の再任用も含めて、年金制度とつながる雇用制度の確立を進めてほしい」「なかなか勤務内容と給与が見合わない」「学校現場での再任用は、定数内だと一般の先生の採用枠を圧迫する。これからの大量退職、年金支給年齢繰り上げで再任用は増えざるを得ない」などの意見が寄せられている。

 また、道教委・校長会に対しては、「これから無年金の期間が増えていくので、退職者に対して、無年金時期だけでも雇用してもらえるような体制づくりを望む」「再就職先や採用方法、再任用の可能性など情報発信をしっかりやっていただきたい」といった意見がみられた。

(関係団体 2016-10-18付)

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