札幌市社会科教育連盟が研究大会 未来を拓く力育てる 2日間で計5授業を公開(関係団体 2016-10-19付)
琴似中3年の授業
札幌市社会科教育連盟(山岸徹委員長)は六・十一日の二日間、札幌市立琴似中学校(黒澤敏行校長)と札幌市立米里小学校(平岡弘之校長)で第四十四回札幌地区社会科教育研究大会を開催した。研究主題「未来を切り拓く資質・能力を育む社会科の授業」のもと、両日合わせて五授業を公開。「問題解決学習」や「社会参画」といったこれまでの研究実践も踏まえ、主題実現に向けて取り組んできた成果を発表した。
本年度は新たな三ヵ年継続研究の一年次。その視点として、①地域(社会)に誇りをもつ教材化②社会的事象の意味(意義)を明らかにする問題解決の学習展開③知識・技能を定着させる教師のかかわり―の三点を設定した。
◆琴似中3年―避難生活の人権
六日は琴似中学校で、長尾美保子教諭が三年生「個人の尊重と日本国憲法~人権と共生社会」を指導した。
本時は八時間扱いの七時間目。長尾教諭は本時のねらいを、「東日本大震災における被災者の人権保障を考えることで、どんな状況になっても各々が幸せに生きられる社会にするためにはどうしたらいいか考え、様々な人権を保障している憲法に基づいて成り立つ今の社会の素晴らしさを再認識することができる」と設定した。
はじめに、「札幌市で震災が起こったらどうなるか」と生徒に問いかけた上で、被災によって当たり前だった人権保障が困難になることを説明。東日本大震災では多くの学校が避難所になったことから、スライドで学校がどのように活用されるかを紹介した。
その上で、学校生活を再開させると避難者の使用スペースを制限する必要が出てくることを説明。避難者の権利について考えさせるため、「高齢者夫婦」「乳児と母親」などの四世帯を想定し、「二つの教室のうち一室を使用できるのは一世帯のみ」「残りの一室は三世帯で共同使用」という条件で教室の使用方法を考えさせた。生徒たちは、各世帯の主張についてグループ交流し、どの世帯に一室を使わせるのが最適かを考えた。
全体交流の際は、「共同で使う教室を暮らしやすくするにはどうしたらいいか」を発表するよう促し、権利を主張しすぎずに個人を尊重し合うことが人権保障につながることに気づかせた。
◆米里小3年―玉ねぎ農家の工夫
十一日は、米里小学校を会場に三~六年生の四授業を公開した。うち、三年生「玉ねぎ農家の仕事~北もみじと札幌黄を生産する中村さんの工夫」を本多正典教諭が指導=写真=。グラフや図を用いて児童の疑問を引き出し、二品種の玉ねぎをつくる農家の工夫が自分たちの食生活を豊かにしていることを実感させた。
本多教諭は、十二時間扱いの十一時間目となる本時のねらいを、「中村さんが北もみじだけではなく、札幌黄も生産する理由の追求を通して、北もみじで安定生産をしつつ、人気でこだわりのある札幌黄をつくり続けている意味を理解し、農家の営みが自分たちの食生活を支えていると気づくことができる」と設定した。
冒頭、玉ねぎを見せながら前時までの内容を振り返るとともに、札幌市の玉ねぎ農家の数を表したグラフを提示。札幌黄は味が良いため人気が高いにもかかわらず、地域で玉ねぎ畑を営む中村さんのように札幌黄をつくっている農家が少ないことから問いを生んだ。
このあと、札幌黄の「育てづらく保存しにくい」というデメリットにふれた上で、中村さんが北もみじだけでなく札幌黄をつくり続ける意図に迫った。消費者と中村さんの二つの視点に分けて児童の意見を板書することで、「こだわり」と「人気」が中村さんの工夫を支えていることに気づかせた。
また、その人気に反して、「これ以上札幌黄の生産は増やさない」と発言した中村さんの意図にも着目。中村さんの畑では、北もみじを多く作付していることを図で示し、北もみじに育てやすく、長く保存ができるメリットがあることを振り返った。
本多教諭は「北もみじもつくっているから、札幌黄もつくり続けることができるんだね」と総括。農家の工夫によっておいしい札幌黄が消費者のもとへ届けられることに気づかせた。
(関係団体 2016-10-19付)
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