全道図書館長会議開く 地域の役に立つ施設へ 図書館振興に向け情報共有
(道・道教委 2016-11-16付)

全道図書館長会議講話
講話する渡邊氏

 道図書館振興協議会、道立図書館主催の二十八年度全道図書館長会議が十日、札幌市中央図書館で開かれた。道内各地の市町村立図書館長など四十人が参加。元藤女子大学教授の渡邊重夫氏=写真=が「いま、図書館に求められる人材とは―司書教育の視点から」と題し講話した。公立図書館が地域で求められる役割を踏まえ、大学で図書館司書や学校図書館司書教諭の養成にかかわってきた立場から、これからの図書館職員に必要な力、図書館に求められる人材について解説した。

 生涯学習時代といわれて久しい昨今、図書館に求められる役割は、ますます多様化している。このような状況の中、同会議は、本道の市町村立図書館・図書室の振興を図るため、館長等が一堂に会し、サービスや経営など、当面する課題について研究協議することをねらいとして開催。道内各地の市町村立図書館長など四十人が参加した。

 開会式では、道図書館振興協議会長で道立図書館の吉田一昭館長があいさつ。公立図書館が力を入れるサービスとして、「貸出サービス」「情報サービス」など六点を示した上で、「かつて、図書館の役割は“資料と人とを結ぶ”ことにあると言われていたが、このことに加え、現在では、地域を支え、地域の役に立つ施設となることも期待されている」と指摘。「活発に議論されるとともに、それぞれの図書館がもつ貴重な情報などを発表、共有し合うことで、会議を有意義なものとしていただきたい」と述べ、会議の成果に期待を寄せた。

◆元藤女子大教授・渡邊氏が講話

 このあと、渡邊氏が「いま、図書館に求められる人材とは―司書教育の視点から」を演題に講話した。

 渡邊氏は「図書館に求められる人材の基本の第一は、図書館に興味・関心をもち、さらに、その世界を探究してみたいという思い、知的好奇心がとても大事」と強調。また、図書館の成長・変革の鍵は、「供給側である図書館の手の中にある」とし、「供給の側に立つ図書館員が常に“変革”を求め、“有機体として成長する姿”を自分の中に投影して、日々の業務に当たる」ことを求めた。

 さらに、「図書館がサービスであるためには、その武器である“言葉”を磨かなければならない」と指摘し、コミュニケーション能力について、「サービスの“要”」と強調。「図書館に勤める多くの人は人と接しつつ、サービスを展開するので、コミュニケーション能力は人材にとっては極めて重要な要素」と述べた。

 最後に、「一人で悩むな、一人で仕事をするな、地域の人と一緒に仕事をせよ。同時に、常に学ぶ心を忘れずに、前へ前へという気持ちをもつことが大事」と話し、「館員を励まし、館員の質的向上を図り、館員がやりがいをもって仕事に当たること、そのことが結局は図書館サービスを向上させ、図書館利用者の満足度を高めることにつながる。みんなと一緒に仕事に当たり、常に学ぶという姿勢をもつことが大切」と呼びかけた。

 続いて、各図書館が、電子書籍の導入や家読(うちどく)の取組状況、図書、雑誌の購入などについて発表し、情報交換。道立図書館が、市町村活動支援事業と展示貸出しについて情報提供。参加者は、図書館・図書室の振興に向け交流を深め、情報を共有した。

(道・道教委 2016-11-16付)

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