京極町小中連携教育実践発表大会 安心して学べる場創出へ 公開授業やワークショップ(市町村 2016-12-07付)
小中連携の取組の成果を普及しようと開催
【倶知安発】京極町小中連携協議会と京極町教委は十一月二十五日、京極町立京極小学校(根井朗夫校長)と京極町立京極中学校(木村和義校長)を会場に小中連携教育実践発表大会を開いた。両校で参加した管内の小・中学校長、教頭、教諭に一授業ずつ公開するとともに研究協議を実施。同町が推進する小中連携教育にかかる実践を披露し、成果の普及を図った。
町では、「社会生活の基盤であり、生涯にわたって学び続けるための大事な力、中学卒業までに身に付けさせたい力」として、「基礎学力」「基本的生活習慣」「生かす力」の三点を掲げ、三年前に小中連携協議会を立ち上げた。「円滑な接続で安心して学べる場の創出」を目的に、①学習指導の連続性と学力保障(学習規律の統一、授業改善)②生徒指導の連続性と問題行動の防止・解決(情報交流による確かな児童生徒理解)③家庭教育との連携(課題の共有、解決への協力、学びの土台づくり)―の視点を設け、小中連携を開始した。
一年次目は、指導に当たる教職員が協議に加わる場がないといった課題もあったことから、二年次目に京極小、南京極小、京極中の全教職員で構成する教育課程編成部会、授業研究部会、家庭・地域連携部会の三部会を設置。これによって、小中合同研修会や部会の役割の明確化、各学校の経営方針や全体計画等への位置付けを図るなど、町の児童生徒の学力向上や育成につながる体制を整備した。
実践発表大会は、これまでの小中連携の成果の普及や今後の取組に生かすことを目的としたもの。
当日は、町内の教職員をはじめ、後志管内町村の校長、教頭ら関係者約五十人が参加した。京極小、京極中でそれぞれ一授業を公開した。
授業後の研究協議では、京極町教委の髙橋武志教育長のあいさつに続き、半田健一指導主事が実践概要について説明した。
このあと、「京極の授業づくりSTANDARDと小中連携について」を柱に、参加者全員でワークショップ型の協議を展開し、討議した。
◆長さを縮図で求めよう 京極小6年算数
京極小学校では、六年生算数「拡大図と縮図」(山岸晴美教諭・細川あゆみ教諭、児童数三〇人)の授業を公開した。
本時は、十時間扱いの九時間目。単元の目標は「拡大図、縮図について理解する。また、拡大図、縮図を作成することができる」「縮図の意味と表し方を知り、縮図上の長さと実際の長さの関係を考え、活用することができる」に設定している。
本時では、「縮図を活用して、実際には測定しにくい長さの求め方を考えることができる」「実際には測定しにくい長さを求める場合に、縮図を用いるよさに気づき、活用しようとする」を目標に掲げた。
山岸教諭は、前時までの学習を振り返らせ、二千分の一の縮図で、一㌢㍍の長さは実際に何㍍かを求めたことを確認した。
続いて、「木の高さは何㍍か」と問題を示した。児童たちに実際には測定しにくいものの長さを求めることに気づかせ、縮図を使えばよいことを理解させた。
山岸教諭は「縮図を使って、実際の高さを求める方法を考えよう」と課題を提示。児童たちに縮図としてどのような図形を書けばよいか考えさせた上で、三角形の作図条件「一つの辺の長さとその両端の角の大きさ」を確認させた。
児童たちは、木から測る人までの距離が十㍍、木と地面の間の角度が九十度、見上げる角度が四十度の条件から、ノートに縮図を描いた上で、周囲と考えを交流し合った。
このあと、児童数人が実物投影機で映し出した自身のノートで、どのように答えとなる「木の高さ九・七㍍」を導き出したかを説明し、それを見ながら全体で考えを交流。「縮図の高さから計算すると求めることができる」ことを理解した。
さらに、別の問題「体育館の天井の高さは何㍍ですか」に取り組んだ児童たちは、天井から垂直に下した地点から、測る人までの距離が五㍍、天井を見上げる角度は五十八度、床から測る人の目までの高さが百五十㌢㍍―と縮図を描くために必要な要素から答えとなる「天井の高さ九・五㍍」を導き出した。
終わりに、山岸教諭は本時の学習を児童に振り返らせた。
◆比例・反比例を表そう 京極中1年数学
京極中学校では、一年生数学「比例・反比例」(春日高明教諭、生徒数二二人)の授業を公開した。
単元目標は「比例、反比例の二つの数量の関係に関心をもち、それらを活用して考えたり判断したりしようとする」「比例、反比例で学習したことを活用しながら、事象の見通しをもって論理的に考察して表現したり、その過程を振り返って考えを深めたりすることができる」「比例、反比例の関係を表、式、グラフで的確に表すことができる」「関数の意味、比例や反比例の意味、特徴を理解することができる」と設定している。
本時は、二十時間扱いのうち、十四~十七時間目に当たる「比例、反比例の活用」の一時間。「速さが比例関係になっていることを理解し、それをグラフにすることができる」「二つのグラフから様々な関係性を見いだし、問題解決に生かすことができる」を目標に掲げた。
春日教諭は、小学校の既習事項として分速の意味を確認した上で、うざきと亀の物語を題材に「かめは分速二十㍍、うさぎは分速四十㍍で八百㍍先のゴールを目指して進む。その様子をグラフにしなさい」と問題を示した。生徒たちにかめとうさぎの二つのグラフを作成させ、「グラフから、どんなことが読み取れるだろうか」と課題を提示した。
続いて、春日教諭が「うさぎとかめがそのままの速さでゴールまで行ったら何分かかるか」「かめは十五分で何㍍進んだか」「スタートから十分後に、かめとうさぎの差は何㍍になるか」と発問した。
このあと、「y=ax」の式で比例を表せることを確認。さらに、「うさぎとかめは同時にスタートしましたが、うさぎは十五分後に昼寝をした」と仮定し、「かめはうさぎが寝てから何分後に追い付くか。また、それはスタートから何㍍の地点か」「追いついたところでうさぎが起きたらどちらが勝つか」「うさぎが何分長く昼寝をしていたら、かめは勝てるか」などと発問。生徒たちはグラフを作成し、そこから推測した。
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京極小6年算数「拡大図と縮図」
京極中1年数学「比例・反比例」
(市町村 2016-12-07付)
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