道議会文教委の質問・答弁概要(28年9月12日)
(道議会 2016-12-13付)

 道議会文教委員会(九月十二日開催)における川澄宗之介委員(民進党・道民連合)、加藤貴弘委員(自民党・道民会議)の質問、および杉本昭則教育部長、土井寿彦新しい高校づくり推進室長、原光宏教職員課長、河原範毅高校教育課長、鈴木淳義務教育課長、松本邦由新しい高校づくり推進室参事(高校配置)(当時)、相馬哲也新しい高校づくり推進室参事(改革推進)の答弁の概要はつぎのとおり。

◆高校教育指針検証について

川澄委員 現行の「指針」を策定した十八年と比べ、本道の教育現場を取り巻く環境は大きく変わってきている。これを受けて、今回の「指針」の検証を踏まえ、どのように考え、新たな指針を作成することとしたのか伺う。

相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 「指針」の検証について。現行の「指針」は、本道の未来を担う人材を育むための高校教育の基本的な考え方と施策の方向性を示したものであり、十八年度に策定し、二十年度から順次、施策を実施してきた。

 広域分散型の本道においても、かつて経験したことのない人口減少社会を迎える中、地域の教育機能を維持・向上させることは重要な課題になっていることから、「指針」に基づく施策の成果と課題について、検証を行っており、例えば、連携型中高一貫教育校の卒業者の大学等への進学率が導入前と比較して伸びていないこと、アンケート調査において、「フィールド制の高校に入学して良かった」と回答した生徒の割合が、総合学科や単位制と比較して低いことなどの課題がみられる。

 こうした検証結果を踏まえ、これまで導入してきた総合学科などにおける教育環境の充実策や、地域キャンパス校の再編基準の緩和に向けた人数要件などを検討し、「新しい指針」を作成していく。

川澄委員 検証の進め方について。今回、様々なデータを用いて、表などで分かりやすく比較してきたと感じた。例えば、確かな学力の育成にかかわった部分については、学力の状況の比較が二十四年度から二十六年度となっている。「指針」の策定前後でも比較すべきであると考えているが、どういった理由から行ったのか伺う。併せて、ほかの項目についても、比較年度をどのように設定してきたのか伺う。

相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 検証に際してのデータの活用について。検証結果報告書においては、「指針」の施策項目と対応させて、主な取組、成果と課題、今後の方向性などを整理し記載するとともに、特に、成果と課題の分析に当たっては、施策の達成状況や生徒の変容などについて、同一の指標で経年比較ができる客観的なデータを活用するなど、分かりやすい構成に心がけてきた。

 委員指摘の、「確かな学力の育成」における、国語、数学、英語、各教科の「授業の内容はよく分かると回答した生徒の割合」については、調査項目が設定された二十四年度から三ヵ年分を示しているが、例えば、第二章第一節「生きる力」を支える心と体の育成における、体力運動能力テストの全国比較については、十八年度からの調査年度ごとの値を用いている。

川澄委員 それぞれの高校においては、職業観の育成等を含めて、インターンシップが行われていると思うが、学科における実施割合はどのようになっているのか伺う。

河原高校教育課長 インターンシップの実施状況について。道教委が実施している「高校生インターンシップ実施状況等調査」の二十七年度における調査結果では、すべての全日制道立高校二百二校でインターンシップを行っている。

 一方、在学中に一回以上インターンシップを経験した生徒の割合は、農業、工業、商業、水産などの職業学科では九六・五%、総合学科では八八・四%、理科・数学、体育、外国語の専門学科では五四・八%、普通科では四五・二%となっており、学科間で取組に差がみられる。

― 指  摘 ―

川澄委員 インターンシップの在り方にすべて賛成しているわけではないが、現在、自分が学習している内容が社会とどのように繋がっているのかといった点を理解する上では、非常に有効であると考えている。ただ、中には、ほとんど行っていない学校もあると聞いている。こういった差があると、将来に向けて、自分がどういう道に進むのか、そういった職業観や働き方をどうするのかという部分について、差が出てきてしまうと考えているので、校種間、または、学科間で差が出ないような取組をお願いしたい。

川澄委員 教員養成大学との連携を現在の指針でもうたっているが、この間の道内教員養成大学出身者の割合はどのようになっているのか、また、採用試験の改善状況について、具体的にどのような内容になっているのか伺う。

原教職員課長 教員養成大学出身者の割合と採用試験の改善状況について。直近五年間の道公立学校教員の採用候補者名簿登録者における道内教員養成大学出身者の割合は、二十四年度については五二・二%、二十五年度四九・八%、二十六年度四八・三%、二十七年度四七・二%、二十八年度は四六・〇%となっている。

 また、教員採用候補者選考検査における直近五年間の主な改善点として、二十四年度選考では、専門検査における解答のマークシート化を行ったほか、二十七年度選考では、小学校と特別支援学校小学部、中学校と特別支援学校中学部および高校と特別支援学校高等部との併願制度の導入と大学院進学者にかかる登録延長要件の拡大、さらに、本年実施した二十九年度選考では、年齢要件の五十九歳以下への引き上げを行うなど、見直しを行ってきた。

川澄委員 教員の研修の充実について、道教委の主催で行われている研修もたくさんあると思うが、道教委以外で民間教育団体など様々な研修もあるし、校内研修、校外研修とある。こうした状況を、どのように把握してきたのか伺う。

鈴木義務教育課長 校内研修等の教員の研修について。道教委では、各学校における校内研修については、教育活動にかかる調査によって、研修のテーマや方法、計画を、指導主事等の学校訪問によって、具体的な取組状況をそれぞれ把握している。

 また、校外で実施される研修については、道教委に対し、後援名義の要請のあった各種教育研究団体等が主催する研修、各管内で実施される教育研修センター等の講座、長期休業期間中における教職員の校外研修などについて把握している。

― 意  見 ―

川澄委員 研修は、教職員にとって、一番重要な項目と押さえている。道教委主催の研修だけではなく、民間教育団体の研修、校外研修が今後も受けやすい形を、つぎの指針でもしっかりと反映していただきたい。

川澄委員 管理職等の研修にかかわり、主幹教諭の配置は校長のマネジメント能力、機能の向上のために配置されている。配置の目的についての見解を伺う。

原教職員課長 主幹教諭について。二十年四月に学校教育法が一部改正され、主幹教諭などの新たな職を学校に配置できることとされた。法では、主幹教諭は、校長、副校長および教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、ならびに生徒の教育をつかさどるものとされている。

 道教委としては、学校が様々な課題を抱える中にあって、校長がリーダーシップを発揮しながら、迅速かつ的確に対応できる組織運営体制や指導体制の充実を図ることを目的として、主幹教諭を、二十一年度から小・中学校に配置してきており、高校では、二十七年度から順次配置し、現在七校に配置している。

川澄委員 指針の中に、人事評価制度の積極的な活用ということ、人事異動にかかわりという部分があった。この点について、積極的な活用は人事異動にもかかわって活用していくということなのかを伺う。

原教職員課長 学校職員人事評価制度について。道教委では、学校職員の資質・能力の向上および学校の活性化を図り、その成果を児童生徒に還元することを目的として、二十年度から学校職員評価制度を実施してきた。

 こうした中、二十八年四月に地方公務員法が一部改正され、人事評価を人事管理の基礎として、任用、給与、分限、人材育成に活用することとされたことから、道教委においては、これまでの目的に加え、人事評価を人事管理の基礎として活用することとして、現行の学校職員人事評価制度に見直した。

 道教委としては、今後も人事評価の結果を学校職員の人材育成に積極的に活用していきたい。

― 指  摘 ―

川澄委員 人事評価は教育現場になじまない。これは、この間も指摘してきている。人事評価が人事に活用されていく部分について、まだまだ検討していかなければならないと思う。この点については、十分留意していくべきということを指摘しておく。

川澄委員 中高の連携が、課題として挙げられてきたと思う。中学校との連携は、どうしても私としては、高校の魅力を高めるといった方向で行われていると考えている。この点についての見解を伺う。

相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 中学校と高校の連携について。中高連携を中心とした学校間連携の取組による成果は、取組事例集などによって、道内の公立高校や市町村に提供してきた。連携型の中高一貫教育を導入していない地域においても、中学校と高校が連携して、総合的な学習の時間や特別活動などで、地域の特性や教育資源を生かした職業体験などを行い、ふるさとへの誇りと夢をもった生徒の育成に努めるなど、高校生はもとより、中学生にとっても魅力のある教育活動が実践されている。

 道教委としては、こうした取組の一層の充実に向け、今後、体系的な職業体験やボランティア活動等を通して、地域の未来を担う人材を育成する小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業の成果についても積極的に発信するなど、中学校と高校の連携が一層深まるよう働きかけていく考えである。

― 意  見 ―

川澄委員 中高連携していく中で、高校の魅力または中学校のそれぞれの取組が両方とも取り組める形が必要だと考えている。本来、自分の地域にある高校に進学するのが基本だと考えている。それぞれ子どもたちにとって魅力ある取組となるような連携を模索していただきたい。

川澄委員 小規模校は、二十五年度を境に増加してきている。このような中で、望ましい学校規模を一学年四~八学級として再編することは、検証したことにはならないのではないかと考えている。この点についての見解を伺う。

松本新しい高校づくり推進室参事(高校配置) 望ましい学校規模について。現行の「指針」においては、一学年四~八学級を望ましい学校規模とし、第一学年三学級以下の高校については、中学校卒業者数の状況、欠員の状況、生徒の進路動向などを総合的に勘案し、再編整備を進めてきた。

 その結果、本年度、第一学年の学級数が四~八学級の学校の割合は五二・七%、三学級以下の小規模校の割合は四六・八%であり、望ましい規模の学校の割合は、十八年度と比較して、三・九ポイント増加している。

 道教委としては、今後も一定規模の生徒や教職員による活力ある教育活動を展開するため、望ましい学校規模を四~八学級として再編整備を進めることを基本としながらも、本道の広域性や地域の実情、高校に対する地域の取組なども十分考慮する必要があると考えている。

― 意  見 ―

川澄委員 ポイント数で言えば増加しているということもある。ポイントをとるのか、学校数をとるのかは、考え方の違いもあると思うが、今後、四~八学級を基本とすることは、少なからず地域に与える影響は大きいと思っている。本道の地域性を考えると、一律四~八学級、これについては考慮していくということを明言しているので、今後、新たな「指針」の作成の際については、この四~八学級が本道にふさわしいのか、また、学級規模、子どもの人数についても、検討していくことを求めていきたい。

川澄委員 現在の「指針」に基づき、小規模校の再編を進めてきたと思うが、その結果として、地域に与えてきた影響をどのように検証したのか伺う。

松本新しい高校づくり推進室参事(高校配置) 小規模校の再編による影響について。高校は、生徒や地域の実態などに応じて特色ある教育活動を行うとともに、文化・スポーツ活動といった生涯学習の場にもなるなど、地域において重要な役割を担っており、地域から高校がなくなることは、生徒や保護者はもとより、地域の方々などに対して、少なからず影響を与えることになると認識している。

 道教委としては、高校の配置が地域に与える影響、高校に対する地域の取組などに十分意を用いて、適切な高校配置に努める必要があると考えている。

川澄委員 新たな「指針」に基づいて、総合学科、単位制、フィールド制等を設置してきたが、その違いについて、生徒や保護者に十分、分かりやすいものとなっていたかというと、必ずしもそうではないと認識している。この点についての見解を伺う。

相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 新しいタイプの高校の周知について。道教委では、これまで、新しいタイプの高校について紹介したパンフレットを作成し、全道の小・中学校、高校等へ配布するとともに、道教委のホームページに掲載し周知を図ってきた。さらに、二十三年度からは総合学科を紹介するDVDを、二十七年度からは普通科単位制、フィールド制、中高一貫教育校も含めたDVDを作成し、パンフレットと同様に配布してきた。

 また、各高校においては、中学生を対象とした体験入学などにおいて自校の特色等について紹介するなど、生徒や保護者に向け、積極的な情報提供を行っている。

 道教委としては、今後、新しいタイプの高校がその機能を一層発揮できるよう教育内容の充実を図るとともに、各学校と連携して、中学生が新しいタイプの高校の特色等を十分理解できるよう、積極的な情報提供に努めていく考えである。

― 意  見 ―

川澄委員 小樽では、小樽桜陽高校が単位制、後志全体では、余市紅志高校が総合学科となる。このあと、商業と工業が再編されて、新たな単位制として誕生するが、この違いが生徒にしっかりと伝わっているかというと、そうではない状況が実際にある。この趣旨については、しっかりと進めていただきたい。

川澄委員 職業学科を有する学校は、地域における人材育成の役割を一定程度担っていると認識している。募集停止や学科改編などによって、市町村への影響はどの程度あったのか、その点についての認識を伺う。

相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 職業学科の再編等について。職業学科では、専門分野の基礎的・基本的な知識・技術を習得させるとともに、地域や地元企業と連携し、商品開発に取り組むなどして、本道の産業を支える人材の育成に努めており、道教委ではこれまで、学科の設置状況はもとより、地域の方々の要望や地域産業の特性、各学校の実情などを考慮し、再編整備や学科転換を行ってきた。

 高校の再編整備は地域に対して少なからず影響を与えるものと認識しており、再編整備や学科転換に当たっては、例えば、普通科と職業学科との再編に際して、資格取得が可能となるよう選択科目を開設したり、複数の職業学科を再編する際には、生徒の進路を考慮し、両方の学科における学習を継承するなど、今後とも、生徒の学習ニーズに対応した選択幅の確保や、地域の産業を担う人材の育成に努めていく考えである。

川澄委員 総合学科について、大学進学率の向上や学習意欲を引き付ける授業を行うことができたと考えるが、一方で、自分の専門以外の部分で授業の準備をしなければならないという部分で、先生方の負担が増している。小規模総合学科の教職員年齢構成および負担増について見解を伺う。

原教職員課長 小規模の総合学科校の教職員年齢構成などについて。道立の総合学科校十五校のうち、第一学年三学級以下の小規模校八校の教諭の年齢構成は、二十代が二二・四%、三十代二九・一%、四十代三二・八%、五十代以上が一五・七%で、平均年齢は三十九歳となっており、比較的若年層が多い状況である。一方、四学級以上では、二十代が五・五%、三十代一五・六%、四十代四四・五%、五十代以上が三四・四%で、平均年齢が四十五・三歳と、小規模校と比較して高い状況である。

 総合学科校は、多様な学習ニーズや幅広い進路希望に対応するため、幅広く科目を開設している。若年層が多い郡部の総合学科校においても、生徒の学習ニーズに対応した多様な科目の開設のため、いわゆる高校標準法に基づき、全日制普通科高校と比較して手厚く教職員を配置しており、今後とも、教育活動の充実に努めたい。

― 意  見 ―

川澄委員 この点について、小規模校で総合学科であれば、その魅力を高めるためには、教職員の配置または年齢構成といった部分での配慮をしていけば、生徒の確保に向けた取組にもつながると思うのでお願いする。

川澄委員 生徒のアンケート結果によると、総合学科を希望した生徒であるが、総合学科を希望した理由として、「特にない」と回答した数が二〇%近くになっていた。このことについての認識を伺う。

相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 総合学科について。今回のアンケート調査では、総合学科への進学を決めた理由について、「学びたい科目を自分で選択できるから」と回答した生徒が七二・九%と高かった一方で、「特に理由はない」と回答した生徒が一九・六%であった。

 このことについては、様々な要因が考えられるが、中学生の段階において、生徒が興味・関心や進路希望等に応じて科目を選択して学習するといった総合学科の特色について、必ずしも理解が深まっていなかったことも要因の一つとして考えられる。

 道教委としては、各学校と連携して、総合学科などの新しいタイプの高校の特色等を十分理解できるよう、積極的に情報提供するとともに、地域の産業や自然環境といった教育資源を活用した特色ある教育活動を充実させ、子どもや地域にとって、魅力ある高校となるよう努めていく。

― 意  見 ―

川澄委員 全道的に、総合学科の在り方については、十分充実させるような取組も検討していかなくてはならないと考えている。

川澄委員 フィールド制は課題があると思っている。フィールド制の授業において、どの程度、専門性を追求した中身となっていたのか伺う。

相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) フィールド制について。現在、全道で七校に導入しているフィールド制は、一定程度のまとまりのある分野の科目群を設定し、生徒が自らの興味・関心、進路希望等に応じて、選択して学習できるシステムであり、各学校においては、数学や理科などでの発展的な内容を扱った科目や、情報、福祉、環境などの専門科目を含むフィールドと呼ぶ科目群を複数設定している。

 こうした中、例えば、野幌高校の「コミュニケーションメディアフィールド」には、教科「情報」の科目として、「課題研究」が開設されており、選択した生徒は、江別市内の大学において、定期的に講義を受講するなど、専門性の高い教育活動が行われている。

 一方、教育課程編成においては、教員配置の関係から開設できる科目に限りがあり、ほかの普通科高校との差別化を図ることが難しいという校長の意見もある。

― 意  見 ―

川澄委員 フィールド制については、道教委が目玉として導入してきたと認識している。校長先生からの意見にもあるように、差別化が難しいという状況もある。総合学科については、教員の加配が進んでいる状況にあるが、フィールド制も、教職員の定数について考えていかなければ魅力あるものにならないと思っている。この点についても、しっかりと取組を進めていただきたい。

川澄委員 定時制の在り方について。勤労青年だけではなく、学び直しの場としての機能もあることを十分認識しなければならない。全日制と同様の考え方では、こういったニーズに対応しきれないと考えている。この点についての認識を伺う。

相馬新しい高校づくり推進室参事(改革推進) 定時制の在り方について。定時制課程においては、報告書案にも記載しているように、勤労青少年をはじめ、全日制課程からの転入学者や、ほかの高校を中退し、あらためて入学を希望する生徒、再び高校での学習を希望する社会人など、様々な入学動機や学習歴をもつ生徒が学んでいる。

 こうした中、道教委では、これまでも、生徒の能力・適性、興味・関心、進路希望等に応じて、生徒一人ひとりの多様なニーズに対応した選択幅の広い教育課程の編成・実施や、生徒の生活スタイルに応じて学習機会が確保されるよう、履修形態の弾力化に努めてきた。今後とも、こうした取組を通じ、定時制教育の一層の充実に努めていく考えである。

川澄委員 道立高校に対して、多くの自治体は、様々な財政的な支援も含めて、かなり力を入れている。今回の検証結果には、多くの自治体の道立高校に対する様々な支援について、書かれていないわけだが、この点についての認識を伺う。

土井新しい高校づくり推進室長 道立高校に対する支援について。高校生の修学を支援するため、独自に通学費や下宿費の補助を行っている市町村数は、二十七年度において、延べ九十六市町村あると承知しており、道教委としても大変ありがたく思っている。

 こうした市町村の負担軽減を図るため、道教委では、市町村が実施する通学費等の補助やスクールバスの運行にかかる経費に対する財政措置などについて、国に対して要望している。

 今後とも、本道の広域性に配慮した財政措置の一層の充実が図られるよう、引き続き、国に対して強く働きかけていく。

川澄委員 二十九年度をめどに新たな「指針」の作成ということであるが、今回の検証結果の対応方向、三つの視点を重視するには、これまでの地域別検討協議会等を含めて、地域や学校関係者の意見を聞きながら作成するのは当然であると考えている。

 何よりも、直接、指導に当たる現場教職員の意見や、今回、生徒に対しアンケートをとってきたことは、重要なことだと思っている。学ぶ側の生徒の意見を聞く場も設置しながら進めるべきと考えているが、見解を伺う。

杉本教育部長 今後の進め方について。「新しい指針」の作成に当たっては、庁内の高校教育検討委員会において検討を進めるとともに、外部の有識者によって構成する検討会議を設置し議論をいただく必要があると考えている。

 さらには、市町村教委や校長会、経済界など関係団体の協力をいただくとともに、広く道民からの意見を伺い、「新しい指針」の作成に向け、取り組んでいく考えである。

― 意  見 ―

川澄委員 この問題については、わが会派を含めて、再三指摘をしてきた部分も数多くある。それだけ多くの課題を抱えてきたと思う。推進室の皆さんも、この問題に真摯に取り組んでいることは理解をしている。ただ、本道の広域的な事情を考えると、一律に再編できないことは、検討協議会の中で、地域の皆さんや教育関係者から多くの意見をいただいていると思っている。一番大事なのは、学ぶ側の生徒に対して、どのような学習環境を提供することかと思っているので、新たな「指針」をつくる際には、今回の検証結果、また、今後の議論を含めて、しっかりと検討していただきたい。

◆教員選考検査の正答誤り

加藤委員 教員採用候補者選考検査において、採点ミスがあった問題について。道教委と札幌市が実施した二十九年度教員採用候補者選考検査において、二度にわたって第一次検査の問題の正答誤りによる採点ミスがあり、追加合格者を出すに至ったとのことであるが、任命権者として、受検者の信頼を失いかねない事案であることから、現状を含め、今後、道教委として、どのように対応していこうと考えているのか伺う。

 教員採用候補者選考検査の一次検査で複数の採点ミスがあったとのことであるが、この間の経緯を含め、今回の選考検査の状況を伺う。

原教職員課長 教員採用候補者選考検査の概要とこれまでの経緯について。本年度の道・札幌市公立学校教員採用候補者選考検査については、ことし六月二十五日に、第一次検査として教養および専門検査を実施し、この第一次検査の合格者を対象に、八月五日から七日まで、第二次検査として面接検査や実技検査などを実施して、十月十八日に最終合格者を発表する予定である。

 こうした中、第一次検査の中学校および特別支援学校中学部の音楽の専門検査において、道教委が公表している正答に疑義がある旨、外部の方から指摘を受け、あらためて確認したところ、正答に誤りがあることが判明した。

 このため、当該受検区分の全受検者について、採点し直した結果、二人を追加合格とした。また、ほかの受検区分における第一次検査の全設問について、同様の誤りがないか確認したところ、中学校および特別支援学校中学部の英語の専門検査においても、正答に誤りがあったことから、採点し直し、五人を追加合格とし、音楽の追加合格者の二人と合わせて、九月中にあらためて、第二次検査を実施する予定である。

加藤委員 過去において、追加合格を出すに至った事案があるのか伺う。

原教職員課長 過去の状況について。過去五年間においては、二十三年度に実施した選考検査の第一次検査において、中学校および特別支援学校中学部の数学の専門検査で、選択肢に正答のない問題を出題したことが判明したため、当該受検区分の受検者全員の解答を正答として、採点し直した結果、五人を追加合格とし、あらためて第二次検査を実施した。

加藤委員 過去に同様の事案が発生していたとのことである。それにもかかわらず、今回、またしても同じミスが発生した原因はどこにあるのか、また、複数の誤りが発生したことについての道教委の認識と再発防止に向けた今後の取組を伺う。

杉本教育部長 再発防止策などについて。本年度の選考検査において、二件の正答誤りが生じ、受検者の皆様に多大なる迷惑をおかけするとともに、検査に対する信頼を損ねることとなり、大変申し訳なく思っている。

 道教委としては、これまで、検査問題作成時におけるチェックリストによる確認や問題と正答の突け合わせを徹底してきたが、このたびの二件の誤りは、こうした突け合わせや確認が十分でなかったことから発生したものである。

 こうしたことから、今後、複数の問題作成委員が、問題と正答の突け合わせ・確認を徹底することはもとより、校正段階において、あらためて問題を解いた上で、正答表に誤りがないか確認すること、また、点検体制を見直し、新たに点検責任者を定め、問題の作成や校正などの作業段階における点検を強化するなどして、こうした誤りが生じないよう再発防止に万全を期していく考えである。

― 指  摘 ―

加藤委員 このような誤りは本来、あってはならないものであり、道教委は問題の所在などをしっかりと検証し、再発防止に向けた取組に万全を期すべきであることを強く指摘しておく。

 また、試験ということでは、高校入試においても、過去に出題ミスがあり、以後、ミスがないように十分検証を重ねてきたと聞いているが、今後においても、しっかりと確認を行い、ミスのないよう実施するようお願いする。

(道議会 2016-12-13付)

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