【解説】〝原発いじめ〟防止を

（解説 2016-12-21付）

　東京電力福島第一原子力発電所の事故で自主避難した子どもたちに対するいじめが相次いで発覚していることを受け、文部科学省は、全国の教育委員会などに対し、学校にいじめの有無を確認することや、避難している子どもの心のケアを徹底することなどを求める通知を発出した。

　先月、横浜市で原発事故の影響で福島県から避難している中学一年の男子生徒が避難直後から小学校で、同級生から多額の金銭を要求されるなど、いじめを受けていたことが発覚。その後、新潟市や東京都千代田区、川崎市などでも同様のいじめがあったことが判明し、文科省は、全国各地の学校で原発事故にかかわるいじめが起きていないか、確認するよう求める通知を発出することとした。

　通知では、原発事故によって避難している子どもが在籍している学校は、個別面談、保護者への連絡などによって、いじめを受けていないか、悩みや不安を抱えていないか個別に確認するよう要請。いじめの事実があると思われるときは、速やかに学校におけるいじめの防止対策のための組織において情報を共有し、いじめの事実の有無の確認や被害者への支援の対応を取ることを求めた。

　また、避難している子どもの心のケアを適切に行うとともに、学校生活になじめるよう十分配慮することなどを求めた。放射線に関する誤った理解がいじめにつながる可能性を踏まえ、子どもが科学的な知識を身に付けられるよう、教育内容の充実に努めることも要請した。　

　文科省によると、東日本大震災の影響で転校した小中高生や幼稚園児はことし五月一日時点で一万七千六百四十四人にのぼるという。このうち、北海道には札幌市の三百三十七人を含め、六百二人の子どもが在籍している。

(解説 2016-12-21付)