【社説】新学習指導要領の理念実現へ
(道・道教委 2017-01-01付)

概ね十年に一度行われる学習指導要領の改訂作業が終了し、本年度中に文部科学省から告示される予定だ。

 二十六年十一月、文部科学大臣は、中央教育審議会に対して「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」を諮問。これを受け、中教審は二十七年八月に「論点整理」、二十八年八月に「審議のまとめ」を報告、十二月末に答申した。審議過程では、教育関係者が「改訂の内容について、基礎となる部分が公表されるのは珍しい」と言うように、次期学習指導要領が「社会に開かれた教育課程」を理念とし、「教育」が家庭や地域を巻き込み、広く周知され、国民のコンセンサスを得た中で行われる「営み」であることを確認するプロセスだったとも言える。

 内容的には、子どもたちに新しい時代を切り拓いていく資質・能力を育成するために、学校教育の改善・充実の好循環を生み出す「カリキュラム・マネジメント」や、アクティブ・ラーニングの視点による主体的・対話的で深い学びの実現等、改善の方向性が示された。授業時数は、小学校は三年生から三十五時間の増、高校では教科・科目等の新設・再編とともに、高大接続システム改革なども控えており、様々な対応や工夫が求められる。

 こうした中、国の財政制度等審議会は、「二十九年度予算編成等に関する建議」の中で、教職員定数の削減を打ち出した。特に、本道は広域性からも、財政的観点のみからの削減は、地域の教育の崩壊を招きかねない。また、次期学習指導要領の理念を実現するためには、教職員の質と数を充実し、次世代の学校組織・指導体制の改善・充実を図ることが極めて重要だ。

 そのためには、次期学習指導要領の趣旨や内容はもとより、その推進・充実を図る校内外の研修体制の確立を通じて教職員の資質・能力を高める必要がある。また、教職員の協業に基づくカリキュラム・マネジメントや深い学びを実現するきめ細かな指導の充実、教職員の時間的・精神的な余裕を確保することによって、じっくりと授業の準備や子どもと向き合うことができるようにする教職員定数の拡充や、専門スタッフなど多様な人材を活用する「チームとしての学校」を実現していく必要がある。理念の実現のためには、「ヒト」が「要(かなめ)」であることを忘れてはならない。

(道・道教委 2017-01-01付)

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