学力の確実な定着に向け授業改善―道教委 組織的な取組充実を提起 子どもの丁寧な見取りが鍵
(道・道教委 2017-01-01付)

P01黒田・新年号トップ・学校質問紙調査結果と児童生徒質問紙調査結果の比較
学校質問紙調査結果と児童生徒質問紙調査結果の比較(クリックすると拡大表示されます)

 学校が指導を行ったと考えていても、児童生徒がそのように受け止めていない―。道教委が、本年度全国学力・学習状況調査結果を詳細に分析してまとめた『北海道版結果報告書』では、学校と児童生徒との認識に差がみられる実態が浮き彫りになった。道教委では、本道における課題の一端が明らかになったことを契機に、学力の確実な定着に向けた授業改善のため、学校として、組織的な取組のさらなる充実を提起。そのポイントに「子どもたちの丁寧な見取り」を挙げ、改善の視点として、『北海道版結果報告書』を積極的に活用するよう呼びかける。

 本年度全国調査では、学校質問紙調査と児童生徒質問紙調査とで関連を図った設問がある。道教委がまとめた『北海道版結果報告書』では、それらの調査結果を比較・分析した。

 一つは、授業の中で目標を示す活動。

 学校質問紙調査では、「授業の中で目標(めあて・ねらい)を児童生徒に示す活動を計画的に取り入れた」のかどうかを質問。小学校で六八・七%、中学校で五六・五%が「よく行った」と回答した。

 一方、児童生徒質問紙調査ではどうか。「授業の中で目標(めあて・ねらい)が示されていた」ことへの児童生徒の受け止めをみると、小学校で四九・六%、中学校で四一・二%の児童生徒が「当てはまる」と回答した。

 これらを比較すると、小学校で一九・一ポイント、中学校で一五・三ポイントの差がある。学校が行っていると考えていても、児童生徒は必ずしもそのように受け止めていない状況があり、両者の認識に差がみられた=図参照=。

 同様に、授業の最後に学習したことを振り返る活動について、実施したと考える学校と児童生徒の受け止め方では、小学校で一八・七ポイント、中学校で二五・四ポイントの差があった。

 主体的・対話的で深い学びに関する設問でも、同じ傾向がみられる。

 授業で、「児童生徒自ら学級やグループで課題を設定し、その解決に向けて話し合い、まとめ、表現するなどの学習活動」を取り入れたかどうかを尋ねる設問。これに対し、「よく行った」「どちらかといえば行った」と回答した小学校が八五・二%に対し、「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」と回答した児童が七二・七%で、差が一二・五ポイント。中学校では、学校八〇・五%に対し、生徒六六・六%で、一三・九ポイントの差があった。

 同様に、「学級やグループでの話し合いなどの活動で、自分の考えを深めたり、広げたりする」ことができたかどうかについて、学校の認識と児童生徒の受け止め方とでは、小学校で一〇・五ポイント、中学校で一二・五ポイントの差がみられた。

 これらの差異があることについて、「子どもたちによる評価などを通し、学校の取組が定着したのかを、きちんと把握した上で調査に回答したのか」と疑問を投げかける声がある。

 道教委は、「子どもたちの丁寧な見取りが大事」と訴える。

 子どもたちが確実に学力を身に付けることができるよう、授業改善を図るためには、まず、的確な状況把握が必要。何をもって、改善のポイントと言い得るのか。客観的なデータをもとに、授業をみつめる教員の目が重要だ。

 その意味でも、「今回、質問紙調査結果から、いろいろな課題が浮き彫りになったことの意味は大きい」と道教委はみる。

 学校と児童生徒との認識の違いを埋めるため、『北海道版報告書』の内容を、「改善の視点として活用してほしい」と提起。学校として、組織的な取組の充実を呼びかける。

 道教委としても、調査結果を詳細に確認し、関係者と検討。今後の研修会や各種資料に反映することなどを通し、「行政として、学校を支援していかなければ」と話す。

(道・道教委 2017-01-01付)

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