札幌市が子ども議会本会議 五輪招致など4つのテーマで より良いまちへ様々な提案 (市町村 2017-01-13付)
提案を説明する子ども議員
二十八年度札幌市子ども議会本会議が二十八年十二月下旬、市議会議場で開かれた。小学三年~高校三年生の計四十人が子ども議員として出席。「環境に優しい生活の実践」「冬季オリンピック・パラリンピックの招致」などをテーマに議論を重ねてきた四つの委員会が、自分たちにできることを盛り込んだ提案を発表。また、秋元克広市長や板垣昭彦副市長らと市政に関する情報交換も行い、より良いまちづくりに向けて考えを深めた。
未来を担う子どもたちが札幌のまちづくりについて考え、市政への関心・理解・参加を促すとともに、子どもの最善の利益を実現するための権利条例にある意見表明権を体現してもらうことが目的。十三年度から実施している。
十六回目となる今回は、こども議員が①Can Can Can境委員会②トライ!共同参画委員会③児童会館へGo!!委員会④SAPPORO SHOW知委員会―に分かれ、各テーマのもと、約三ヵ月間全六回にわたって調べものや議論を行い、提案をまとめた。
この日、札幌市議会の鈴木健雄議長があいさつ。「提案を耳にすることを楽しみにしていた。緊張するかもしれないが、元気良く提案を発表してほしい」と呼びかけた上で、「もっと札幌市を良くするためにはどうすればよいかを皆さんと一緒に考えていきたい」と述べた。
子ども議会の概要説明のあと、各委員会がポスターを提示しながら提案を発表した。
環境に優しい生活について考えたCan Can Can境委員会は、札幌市民が環境を守るために取り組むべき行動「さっぽろエコ市民二十六の誓い」にならい「ご飯は残さず食べる」「テレビやゲームの使用時間を少しだけ短くする」といった子ども世代でも実践できる「さっぽろエコ子ども十四のちかい」を提案。また、ごみの分別方法を記したカードを小中高生に配布し、家族で話し合う機会を増やすことでごみの減量につなげる考えを説明した。
秋元市長は「自分たちに何ができるかをしっかり考えてもらった。家庭みんなで取り組むことは非常に大切。ぜひ実現に向けて検討していきたい」と答弁した。
男女共同参画をテーマとしたトライ!共同参画委員会は、市が実施した調査から職場での男女平等意識が低いことに着目し、共同参画をブランド化することを提案。企業に対する普及啓発として、共同参画の大切さやメリットを紹介する企業向けのセミナーを開催し、積極的に取組を行う企業に認証マークを与えることで大学生をはじめとする求職者が就職したくなるという循環をつくるなどして意識を高めることを伝えた。
秋元市長は、男性も女性も平等に扱う企業風土が求められている現状にふれた上で、「時代の流れを的確にとらえた提案だった。政策の中にもしっかりと反映していきたい」と答弁した。
児童会館の複合化がテーマの児童会館へGo!!委員会では、地域運動会のような子どもと地域住民が交流を深めるイベントのほか、児童会館のクラブ活動に地域住民が参加できる機会を設けることを提案。併せて、小学校と複合化した場合には、図工室や調理室などの施設を活用した企画によって放課後における活動の幅が広がる上、校内に児童会館があることで交通事故の心配もなく安全だということをアピールした。
秋元市長は「提案のあったイベントを含め、どうしたら皆さんが楽しく一緒に使えるかということを参考にしていきたい」、板垣副市長は「提案いただいたとおり、小学校の様々な施設を活用できることは学校と併設することのもう一つの大きな魅力。皆さんの希望がかなえられるように、活動をどのようにしたらよいか検討していきたい」と答弁した。
SAPPORO SHOW知委員会は、冬季五輪招致について提案。若い世代を中心に多くの市民に興味をもってもらうため、市内のイベントや区民祭りなどにブースを設置し、大会で行われる競技を紹介するポスターや競技用具、バーチャルリアリティーで競技を体験できる展示を行うほか、冬季五輪の招致を訴えるメッセージを施したグッズを年齢別に配布することを説明した。
秋元市長は「ウィンタースポーツを身近に感じてもらうことは非常に重要。皆さんにもオリンピック・パラリンピックをいろいろな人にPRしてもらえるよう情報提供していきたい」と答弁した。
続いて意見交換を実施した。はじめに、Can Can Can境委員会が「“さっぽろエコ市民二十六の誓い”について、市民への広報をどのような方法で行ったのか」と質問。谷江篤環境局長は「環境広場さっぽろなどのイベントでお知らせしたり、環境白書の概要版で“市民ができる行動”として説明したりしている」と答えた。
トライ!共同参画委員会は、男女共同参画に関して子ども議員に取り組んでほしいことを質問。池田佳恵市民文化局長は「家庭でも学校でも社会でも、男性も女性も一緒に参加して活躍するという考え方を知ってもらったので、この意識をもち続けて周りの人たちにも伝えてほしい」と答弁した。
児童会館へGo!!委員会は、小学校と併設されている児童会館で地域の人と交流できるイベントの計画の有無を質問。村山英彦子ども未来局長は、篠路児童会館でもちつき会を開催しているほか、北郷児童会館では不要なものを持ち寄り交換する「ばくりっこ」を実施していることを説明した上で、「今後、より一層地域と密接な関係の中で素晴らしいイベントが計画できる」と答えた。
SAPPORO SHOW知委員会は、①昭和四十七年の札幌五輪で若い人に招致活動を知ってもらうためにどのようなことを行ったのか②招致活動は今後どのように発展していくのか―について質問した。石川敏也スポーツ局長は①について、市内小・中学生を対象に札幌五輪への夢や希望などに関する作文を募集したり、子ども会の五輪大会を実施したりしたことを紹介。②では、約六十の小・中学校で応援グッズの作成や観戦準備を行っていることを紹介するとともに、「こうしたイベントの際には、いただいた意見を参考にしながら啓発活動を行っていきたい」と答弁した。
市からの質問では、学校または家庭で実践している環境に優しい取組や興味のあるウィンタースポーツに関して秋元市長が質問。子ども議員は、「マイバッグを常に持ち歩くようにしている」「スキーが好き。学校や家族で楽しんでいる」と答えた。
長岡豊彦教育長は、男女共同参画の観点から家庭で行っている手伝いについて質問。子ども議員は、「皿洗いと米とぎ。我が家ではそれぞれが得意な家事を分担している」「家では率先してお手伝いができるように頑張りたい」と答えていた。
このあと、子ども議員の小林祐人君が各委員会の提案をまとめた提案書を秋元市長に手交。秋元市長は「世代の違う皆さんが様々な視点で議論し、すばらしい内容になった。皆さんの提案をしっかりと参考にしていかなければとあらためて認識した」と努力をたたえた。
子ども議長を務めた桐木雪充君は「普段の環境では経験できないこと。この先も活発な議論が交わされ、発言したことが一つでも多く市政に生かされれば」と感想を述べた。
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小林君が提案書を秋元市長に手交した
(市町村 2017-01-13付)
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