小・中の校務支援システム導入 年間117時間の軽減効果 道教委が実践成果報告会(道・道教委 2017-01-17付)
小・中学校における共同利用型校務支援システム導入によって、学級担任一人当たり年間平均百十六・九時間の校務が軽減され、時間外勤務の減少や授業準備にかける時間の増加、子どもと向き合う時間の増加に効果があった。道教委は、十三日に道庁別館で開いた二十八年度道公立学校校務支援システムモデル実践成果報告会で、このような調査結果を報告した。二十九年度は石狩管内の全自治体で導入見込みであることも明らかにした。道教委では、システム活用による負担軽減を基盤に、子どもに関する情報の共有や、教員と保護者、地域住民のコミュニケーション強化を通して、教育の質の向上を図るよう呼びかけている。
◆29年度に石狩全自治体で導入
道教委では、二十四年度から共同利用型校務支援システムを導入し、道立学校全校と一部自治体の市町村立学校で運用を開始。学校や子どもに関する様々な情報をデジタル化し、教職員間で共有するシステムを構築することによって、教職員の校務負担を軽減し、子どもの成長を教職員全体で見守り、きめ細かな指導の充実などを図っている。
その後、学校や市町村教委から寄せられた要望に応えて小・中学校におけるシステムを見直し、民間ソフトウェアの導入を検討。二十七年度から、石狩管内の千歳市、恵庭市、石狩市、新篠津村の四自治体、小・中学校二十八校でモデル実践を行った。
導入された「EDUCOMマネージャーC4th(シーフォース)」は、電子会議や勤務時間割り振り業務支援などのグループウェア、出欠管理や通知表作成などの教育支援システムで構成され、学校経営の改善・効率化、教職員の校務の軽減・効率化によって、子どもに向き合う時間の確保を図る。また、子どもの所見を記入する「いいとこみつけ」機能などで情報を蓄積・共有し、教育の質の向上につなげるなどの特色がある。
モデル実践校での試行運用を経て、本年度から小・中学校における「C4th」の本格稼働を開始した。
道教委では、モデル実践校の活用事例を引き続き集積し情報発信するとともに、一校や一自治体の取組を管内や全道に広げる、「点」から「面」への導入に向けた普及活動などに取り組んできた。
二十八年十二月現在、四十自治体の百九十九校で運用されている。
実践成果報告会は、校務の情報化に関する意識の向上や、システム活用の一層の促進、全道への普及を図ろうと開かれたもの。
石狩管内のモデル実践校や所管市町村教委の担当者、導入を検討している市町村教委・学校の担当者など七十人が参加した。
教育政策課の河野秀平広報・情報担当課長があいさつに立ち、これまでの経緯を説明するとともに、二十九年度、石狩管内の全自治体でシステムが導入される見込みであることを明らかにした。
また、教育政策課の工藤雅人主査が「モデル実践校の取組と今後に向けて」と題して説明。
モデル実践校を対象としたアンケート調査の結果、システム活用によって、学級担任一人当たり年間平均で百十六・九時間、一日で二十九分の軽減効果があったこと。通知表や指導要録作成の時間軽減で効果が大きかったこと。時間軽減によって、自宅への持ち帰りを含む時間外勤務の減少、授業準備・教材研究にかける時間の増加、子どもと向き合う時間の増加に効果があったことを報告した。
一方、システムの活用状況によって、学校間で軽減効果に差がみられることを課題に挙げ、システム導入を機に、業務の必要性や効率化など校務そのものを組織的に見直すことが必要とした。
また、校務の負担を軽減し、子どもと向き合う時間を確保することを基盤に、教育の質の向上や学校経営の改善につなげていくことが最も重要と指摘。
子どもの学習や生活の状況などの情報を共有するとともに、グループウェアで教員と保護者、地域住民などとのコミュニケーションを強化することで、教育の質の向上につなげるよう呼びかけた。
このあと、道外先進地の取組を紹介する講演、モデル実践の事例を共有する協議、システムの普及・促進に向けた演習などを行った。
(道・道教委 2017-01-17付)
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