全道防災教育研究フォーラム開く 災害に強い地域づくりを 防災担当者がリレートーク(道・道教委 2017-01-19付)
リレートークのあと、今氏が講評した
道教委は十七日、道庁別館地下大会議室で二十八年度「全道防災教育研究フォーラム」を開いた。「防災キャンプ推進事業」(鹿部町教委)、気象台と学校の連携による「学校防災教育」(札幌管区気象台)、「北海道防災教育アドバイザー制度」(道危機対策課)についての発表をもとに、道教育大学札幌校准教授の今尚之氏が講評。防災教育に取り組む柱として、①災害に負けない子どもを育てる②災害に強い地域づくりを進める③災害に強い学校をつくる―の三点を提示。「子どもの命を守るのは地域ということを根本に考えることが大切」と呼びかけた。
文部科学省委託「北海道実践的安全教育モデル構築事業」の一環で、モデル検討会・フォーラムの第二部として開催。市町村教委や小・中・高校、特別支援学校、関係機関の担当者など約六十人が参加した。
フォーラムでは、防災関係事業担当者三人がリレートークを行った。
鹿部町教委社会教育主事の瀧澤静氏は、七飯町、木古内町、ネイパル森と連携し、八月に二泊三日の日程で行った「防災キャンプ推進事業」について報告した。
事業に当たり、各自治体をはじめ、地域の学校、住民、関係機関の教育資源の連携、ネットワーク化を図るため、子どもたちに体験活動の機会を持続的に提供する「渡島地域プラットフォーム」を形成。また、「火山防災」をテーマとして、子どもたちが防災にかかわる「自助」と「共助」について体験的に学ぶことを通して、今後の日常生活や困難に対し、解決する方策を考え実行することをねらった。
滝澤氏は、キャンプのプログラムについて具体的に説明。体験活動で学んだことが子どもたちに身に付きつつあることや、事業の企画・立案でそれぞれがもつ人脈を活用し、活動の下地が形成されたことなどを成果に挙げた。
今後の展開として、「地域プラットフォームの機能の拡充と子どもたちの体験活動の一層の充実に向け、より多くの自治体や団体、学校運営協議会などとも連携した事業が展開できるよう、事業の成果を広く普及していきたい」と述べた。
札幌管区気象台総務部業務課調査官(防災担当)の桶川幸夫氏は「学校防災教育」の取組について発表。学校防災教育にかかる懇談会を通じ、小学校の防災教育の授業の指導案の作成に協力し、公開授業を行った事例など、教育機関との連携について報告。防災教育を推進していくため、「教育、地域、行政、関係機関など、それぞれの“プロ”の連携が不可欠」と強調した。
道総務部危機対策局危機対策課主査(防災教育)の國田博之氏は「北海道防災教育アドバイザー制度」の取組について発表。同制度は、防災に関する様々な分野の専門的な知識を有する人や被災経験者を「北海道防災教育アドバイザー」として登録し、市町村の防災教育の取組ニーズに合わせて紹介するもので、昨年九月から活動を開始。十二月現在、三十二人・二団体が登録されている。
災害伝承などに関する研修や教材を使った防災研修の講師、防災訓練のシナリオの作成やカリキュラムの助言などの活動例を示し、アドバイザーの活用を求めた。
講評に立った今氏は、防災教育に取り組む柱として、①災害に負けない子どもを育てる②災害に強い地域づくりを進める③災害に強い学校をつくる―の三点を提示し、「子どもの命を守るのは地域ということを根本に考えることが大切」と強調。
渡島地域プラットフォームの実践から学ぶこととして、「子どもたちの主体性を育てる」「市町村連携による豊かな学びの実現」「他機関連携」などを挙げ、「防災を一つの柱とした教育が地域の防災教育であり、その取組が地域の仕組みを優れたものにしていく」と述べた。
また、防災教育を進めるため、「教育は自治体中心。防災対策も自治体が基本」「地域の教育計画の中に防災教育は入っているのか」などを意識するよう求め、「自治を育てる社会教育の必要性」を強調した。
(道・道教委 2017-01-19付)
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