道議会文教委の質問・答弁概要(28年10月6日)
(道議会 2017-01-20付)

 道議会文教委員会(二十八年十月六日開催)における加藤貴弘委員(自民党・道民会議)、川澄宗之介委員(民進党・道民連合)の質問、および梶浦仁学校教育監、岸小夜子学校教育局指導担当局長、鈴木淳義務教育課長の答弁の概要はつぎのとおり。

◆全国学力・学習状況調査

加藤委員 道教委はこれまで、本道の子ども一人ひとりに、社会で自立するために必要な学力を身に付けさせるため、学力向上を最重要課題として取り組んできたと承知している。本年度の調査結果について、今回報告されたポイントを踏まえながら伺っていく。

 教科に関する調査の結果について、小学校と中学校を比べると、本年度も小学校の方が全国の平均正答率よりも低くなっている。全国との差は、徐々に縮まってきているようであるが、小学校の詳しい状況について伺う。

鈴木義務教育課長 小学校の状況について。小学校では、すべての教科において全国平均を下回っており、国語Aでは一・九ポイント、国語Bでは一・八ポイント、算数Aでは二・三ポイント、算数Bでは二・七ポイント低いものの、全国の平均正答率との差は二・七ポイント以内となり、十九年度の調査開始以来、差が最も小さくなっている。

 なお、特に正答率が低い問題として、国語Aのローマ字を書くことや、算数Aの割合を百分率で表すことのほか、国語Bにおいて、自分の考えを書くことや、算数Bにおいて、言葉や式を使って書くことなど記述式の問題が挙げられる。

加藤委員 中学校は本年度、数学が大きく改善したようであるが、中学校の詳しい状況を伺う。

鈴木義務教育課長 中学校の状況について。中学校では、すべての教科において全国平均を下回っており、国語Aでは〇・五ポイント、国語Bでは一・五ポイント、数学Aでは〇・四ポイント、数学Bでは〇・八ポイント低いものの、全国の平均正答率との差は一・五ポイント以内となり、特に数学では、A・Bともに昨年度と比べて一ポイント未満となり、改善された。

 具体的な問題では、国語Aの話の展開に注意して聞き、自分の考えと比較することや、数学Aの一次関数の式から変化の割合を求めることなどで、全国の平均正答率を上回っている。

 一方で、国語Bにおいて、根拠を明確にして書くことや、数学Bにおいて、数学的な表現を用いて説明することなど記述式の問題で、小学校と同様、正答率が低い状況である。

加藤委員 結果としては、本年度もすべての教科の平均正答率が全国平均以下となっており、特に、小学校の算数は、全国の中で下位の状況。道教委として、この結果をどのように受け止めているのか伺う。

岸学校教育局指導担当局長 調査結果の受け止めについて。本道の状況は、全国の平均正答率との差が、昨年度と比べ、小学校国語B、算数A、中学校数学A・Bの四教科で縮まり、特に、中学校の数学においては、全国平均との差が一ポイント未満となるなど、改善の傾向がみられている。

 しかしながら、すべての教科において、全国平均に届いていない状況にあり、教育委員会や学校、家庭、地域の連携した取組によって、北海道の子どもたちの力をより一層発揮させる必要があると受け止めている。

 今後、本年度で十年目となる本調査に対する、これまでの学力向上関連の取組を検証するとともに、児童生徒や学校を対象とした質問紙調査の回答状況と教科に関する調査の関係などを多角的な観点から分析し、検証改善サイクルをより確かなものとしていくことによって、子どもたち一人ひとりの学習状況を改善することが必要と考えている。

加藤委員 昨年度も、わが会派で質問させていただいているが、授業の中で見通しをもたせることや振り返る活動の状況について、学校と子どもの意識の差があることを確認し、子どもがきちんと授業内容を受け止めることができるよう、指導方法を改善する必要があると指摘させていただいた。

 本年度は、学校と子どもの意識の差は、どのような状況になっているのか伺う。

鈴木義務教育課長 授業における「目標を示す、振り返る」活動の状況について。本年度の調査結果においては、質問紙調査で、授業の中で目標を示す活動について、「よく行った」と回答した学校と、「そう思う」と回答した児童生徒の割合の差は、昨年度は、小学校で一八・三ポイント、中学校で一九・一ポイント、本年度は、小学校で一九・一ポイント、中学校で一五・三ポイントとなっている。

 また、授業の最後で振り返る活動について、「よく行った」と回答した学校と、「そう思う」と回答した児童生徒の割合の差は、昨年度は、小学校で一八・八ポイント、中学校で二五・二ポイント、本年度は、小学校で一八・七ポイント、中学校で二五・四ポイントとなっている。

 こうした状況から、授業における「目標を示す、振り返る」活動については、依然として、学校と子どもの意識に差がみられており、引き続き、子どもが学習の見通しをもつことができる目標の提示や、振り返る活動の充実などの具体的な授業改善を組織的に進める必要があると考えている。

―再質問―

加藤委員 少しずつ改善が図られているものの、学校と子どもの意識に依然として差があるということは、授業における指導が子どもに十分伝わっていない、十分に理解されていないと考えられ、引き続き、授業改善に取り組む必要があると考える。

 また、見通しや振り返りの活動以外の項目についても、授業に関する学校と子どもの意識を問う項目があり、ほかにも両者の意識の違いがみられるものがあると考えられるが、その状況について伺う。

岸学校教育局指導担当局長 学校と子どもの意識の差がみられる項目について。先ほど担当課長から申し上げた、「目標を示す、振り返る」活動の項目のほか、本年度から新たに学校質問紙と児童生徒質問紙に加わった、「主体的・対話的で深い学び」の視点に関する設問の中で、例えば、「児童生徒は課題を理解して授業に取り組むことができているか」という項目について、肯定的な回答をした小学校の割合は九四・〇%、中学校の割合は九〇・一%に対し、「課題に対して自分から取り組んでいたか」という項目について、肯定的な回答をした児童の割合は七六・三%、生徒の割合は七三・二%となっており、小学校で一七・七ポイント、中学校で一六・九ポイントの差があるなど、複数の項目で学校と子どもの意識に差がみられることから、今後、詳細に分析していく考えである。

加藤委員 道教委は昨年度、「二十八年度にはすべての教科で全国平均以上」という目標を設定し、学力向上の取組を進めてきたと承知している。

 本年度は、すべての教科で全国平均に届いていない状況である。今後の目標については、本年度の結果分析を行った上で、明確にしていくと思うが、現時点において、道教委として、どのように考えているのか伺う。

梶浦学校教育監 今後の目標について。道教委では、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、「すべての教科で全国平均以上」という目標実現に向け、これまで学校、家庭、地域、行政が一体となった取組を進めてきたが、本年度、達成には至らなかった。

 道教委としては、今後、多角的な分析によって、学力向上に向けた具体的な取組について明らかにし、二十九年度には、すべての教科で全国平均以上となるよう、目標の実現に向けて取り組んでいく考えである。

加藤委員 本調査は開始から十年が経過し、これまで学力向上に向けた様々な事業や取組を行ってきている。例えば、道教委独自のチャレンジテストは、基礎・基本の定着に向け、効果的な取組であったと認識している。

 これまでの取組の成果や課題について、一定の整理をするべきではないかと考えている。道教委は、これまでの取組について、今後、どのように検証していく考えなのか伺う。

岸学校教育局指導担当局長 これまでの取組の検証について。道教委ではこれまで、全国学力・学習状況調査の調査結果を踏まえながら、学習内容の確実な定着を図るために、授業の中で活用できる「チャレンジテスト」のWebシステムによる配信、授業改善や指導力の向上を目的に、指定校に配置した教員が巡回指導する「巡回指導教員活用事業」や「授業改善推進チーム活用事業」の実施、さらには、管理職のリーダーシップのもとで包括的な学校改善を推進する「学校力向上に関する総合実践事業」の実施など、様々な施策を展開してきた。

 今後は、こうした学力向上の取組を検証するとともに、教科に関する調査と質問紙調査の各項目の相関関係を明らかにするほか、管内ごとの取組の成果と課題を把握するなど、きめ細かな分析に取り組んでいく考えである。

加藤委員 これまでもわが会派が指摘してきたが、子どもたちの学力向上のためには、学校や保護者、地域住民、教育行政が課題を共有しながら、連携して取り組むことが重要であり、そのためには、調査結果から明らかになった成果や課題を分かりやすく伝えていくことが必要だと考える。

 道教委では、二十六年度から市町村別の結果を公表し、昨年度は百三十五市町村の同意を得て公表を行っていると承知している。

 今後も、市町村別結果公表を進め、道教委の結果報告書を充実させていくべきと考えるが、道教委の見解を伺う。

梶浦学校教育監 調査結果報告書の充実について。道教委では、子どもたちの学力向上のためには、学校、家庭、地域、行政が各地域の課題を共有し、教育施策や児童生徒の学習状況の改善に一体となって取り組むことが重要であると考え、国の実施要領を踏まえ、二十六年度から同意を得られた市町村の結果について、教科の領域別の状況を分かりやすく示すことができるレーダーチャートなどを掲載するほか、授業改善のポイント事例を示すなどして、市町村教育委員会や学校が効果的に活用できるよう、公表の内容の改善に努めてきた。

 本年度においても、より多くの市町村の同意が得られるよう働きかけ、十一月に公表する予定の北海道版結果報告書に、各市町村の効果的な取組事例等を紹介するとともに、学力向上に継続して成果を上げている道内の市町村や学校の事例、さらに、改善傾向がみられる他県の取組も掲載するなどして、内容の工夫改善を図り、各市町村教育委員会や学校の学力向上の取組が一層充実するよう取り組んでいく考えである。

◆全国学力・学習状況調査

川澄委員 本年度の調査結果の受け止めについて、あらためて伺う。

岸学校教育局指導担当局長 調査結果の受け止めについて。二十八年度の本道の状況については、全国の平均正答率との差が昨年度と比べ、小学校国語B、算数A、中学校数学A・Bの四教科で縮まり、特に、中学校の数学において、全国平均との差が一ポイント未満となるなど、改善の傾向がみられるものの、すべての教科において全国平均に届いていない状況にあることから、教育委員会や学校、家庭、地域の連携した取組によって、北海道の子どもたちの力をより一層発揮させる必要があると受け止めている。

川澄委員 どうしても、この問題については、テストの結果内容しか分析ができない。本来であれば、様々な部分、学力としてとらえなければならないので、調査には、まだ課題があると認識している。

 今後の調査結果については、十一月をめどに、詳細に報告書をつくるということだが、今回の分析は、どのような視点に基づいて行われているのか伺う。

鈴木義務教育課長 分析の観点について。道教委が作成する「調査結果のポイント」は、教科に関する調査や質問紙調査について、当該年度の国の結果のポイントに基づいて、公立学校全体の全国と北海道の比較や、本道の当該年度とその前年度の結果の比較などの観点で分析しており、経年変化をみることが可能になるよう、基本的に観点を共通に設定しているものであり、本年度も同様に分析している。

川澄委員 子どもたちの中で無解答、答えを書くことができなかった子どもたちもいるが、その無解答率を表記する理由を伺う。

鈴木義務教育課長 無解答率の表記について。全国学力・学習状況調査の教科に関する調査については、本調査の趣旨に基づき、各設問の正答や、無解答を含む誤答の状況から、課題の有無を把握し、学習指導の改善・充実を図ることができるよう問題を作成しており、「何問中の何問が正答だったか」ということを評価するものではなく、無解答を含む誤答から明らかになる課題に対して、どのような対応をとるのかということが重要であるとして、国は調査結果のポイントに正答率と無解答率を示している。

 道教委では、児童生徒の具体的な解答状況を把握し、学習指導の改善・充実を図ることができるよう、国と同様に、設問ごとの正答率と無解答率を示している。

川澄委員 無解答の問題もあるが、そもそも、この調査内容、設問がはたして正しいものなのかといった観点ももたなければならないと思う。この問題自体は、文科省から委託された業者が作成しているものであるので、中身についても考えながらやっていかなければならないと思っている。

 チャレンジテストについては、私からも文教委員会等で質問させていただいている。

 学校現場からの話を聞くと、単元の振り返りの場面で活用するだとか、つぎの時間の前段の部分で定着を図るといった部分で活用している。その点については、一定程度評価をするが、まだ課題があるのではないか。現場の先生方は、まだ若干負担に感じているところがあると聞いている。子どもたちの実態に応じて弾力的な運用、活用をさせていただきたいといった声も挙がっているが、今後の活用方法について伺う。

鈴木義務教育課長 チャレンジテストについて。チャレンジテストは、全国学力・学習状況調査の結果から、本道の子どもたちが苦手としている問題などを分析し、学習指導要領に示されている各学年の学習内容が確実に定着しているかどうかを把握することができるよう、年間を通して計画的に配信している。

 道教委では、これまでも、チャレンジテストに対する学校等の意見や要望を、様々な機会を通じて把握し、効果的な活用を含めて改善を図ってきており、今後も、各学校がチャレンジテストを教育課程に位置付けて授業の中で活用したり、単元や学期の評価問題として活用したりするなどして、学力向上の取組を進めることができるよう、各学校の意見や要望を聞きながらチャレンジテストの改善・充実に努めていく。

川澄委員 学期ごとにチャレンジテストの結果の入力をする場面があると聞いている。多くの学校は、管理職が行っていると聞いているが、一部の学校では一部の教員が担当になってしまったり、現場の段階で混乱が起きているという状況を聞いている。この点について、どのようになっているのか認識を伺う。

鈴木義務教育課長 チャレンジテストの結果の入力について。道教委では、学期末・学年末のチャレンジテストについては、各学校が校務用のパソコンを通して結果を入力することで、集計・分析を行うことができるようにしており、入力後、学校の平均正答率や無解答率などが直ちに表示されること、全道・管内との比較ができること、さらに、正答率が低い問題には類似問題等がサポート問題として提供されることなどによって、学年全体や学級全体の学習内容の定着状況を把握したり、教科における子ども一人ひとりのつまずきに応じたきめ細かな指導に役立てたりすることができると考えている。

 このため、各学校では、チャレンジテストの実施から採点、結果の入力などの一連の取組を、学級担任や教科担任などが協力して学校全体で組織的に行い、明らかになった課題を全体で共有し、自校の子ども一人ひとりの学習状況の改善につなげていくことが大切であると考えている。

―再質問―

川澄委員 チャレンジテストは、様々な課題があると思っている。例えば、入力の期限を守るのは当然ではあるが、諸事情で間に合わない、ぎりぎりになってしまう状況もあると聞いている。それに対して、各局の指導主事から催促がきたり、学校現場でも追い立てられる状況にあると聞いている。

 また、子どもたちの基礎学力定着の部分では、一つのツールとして今後も活用することが大事かと思いながらも、なかなかそれが実態に合った形で、担任、教科担任が運用できない状況が、まだ課題として残っていると思う。

 こういった運用方法を含めて、今後も検討すべきと考えるが、再度、見解を伺う。

岸学校教育局指導担当局長 今後のチャレンジテストの活用等について。道教委では、これまでも、チャレンジテストに対する学校等の意見や要望を、様々な機会を通じて把握し、改善を図ってきており、今後においても、引き続き、学校等の意見や要望を聞きながら、子どもたちに基礎的・基本的な学習内容の定着を図ることができるよう、効果的な活用を含めて、チャレンジテストの改善・充実に努めていく考えである。

―指摘―

川澄委員 チャレンジテストの今後の運用について、今、答えがあったように、学校等の意見を聞きながら改善・充実を含めて取り組んでいただくことを指摘しておく。

川澄委員 子どもたちにとって、基礎的・基本的な学力を定着させるのは、もちろんだと思う。それをベースに、様々なものの見方や、多角的にとらえる力が養われると思っているが、そういった部分で、今回、児童生徒の解答で、読むだとか組み立てる力が足りない部分が明らかになってきていると感じている。

 国語の授業で、物語文を丁寧に読み取る授業や、算数・数学で、結論や解答をどう導き出してきたのか、論理的に考える授業を、これまでも保障してきたが、この調査が入ってきて、そういったものから、読み書き計算を主体とした授業が中心になってきていると考えている。

 この点についての認識を伺う。

鈴木義務教育課長 授業づくりについて。道教委では、本道の子ども一人ひとりに基礎的・基本的な知識・技能、具体的には、読み書き計算など、実生活やあらゆる学習の基盤となる知識・技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力などや、主体的に学習に取り組む態度をしっかりと養うことが重要であると考えており、これまでも、基礎的・基本的な知識・技能の定着を図る授業はもとより、資料を読み取り、考えを整理して文章を書くことや、筋道を立てて考え、証明することなど、学習指導要領に基づいて、各教科の指導内容を確実に身に付けさせる授業改善を一層推進するよう各学校に指導助言してきた。

川澄委員 調査が入ってきてから、授業がシステマチックなものになってきている。もちろん、めあてを書いて、最後にまとめるというのは授業の基本であるが、それだけではなく、子どもたちが主体的にこの時間の学びは何をめあてにしているのかを探っていくだとか、答えに対して、どういった導き出し方があるかを多角的に考えるといった授業づくりをサポートしていく必要があると考えているので、そういった点についても、しっかりと考えていきたい。そういった点について、道教委も指導をお願いしたいと思っている。

 子どもたちの回答結果から、伝える・聞く・深める活動がまだ十分ではないといった回答があったと読み取っている。学力向上策に、こういったことに対する支援が不十分だったのではないかと思っているが、今後、どのように対応していくのか伺う。

鈴木義務教育課長 言語活動等に関する学習活動への支援について。道教委では、これまでも、子どもたちに、相手に分かりやすく説明する力、協働して課題を解決する力などを身に付けさせる必要があると考え、言語活動の充実を図る授業改善の方策を示した手引きを各学校に配布するとともに、各教科等の指導方法に関する研修会などにおいて、説明や協議を行うなどの取組を進めてきた。

 こうした取組などによって、これまでの全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙調査の結果においては、「〝総合的な学習の時間〟では、自分で課題を立てて情報を集め整理して、調べたことを発表するなどの学習活動に取り組んでいるか」という設問に肯定的な回答をした割合が全国平均を上回り、本年度も同様の状況となっており、一定の成果が現れてきていると受け止めている。

 道教委では、今後も、互いの考えを伝え合ったり、自分の考えを深めたりするなど、言語活動の充実に向けた授業づくりが一層進むよう各学校の実態に応じた指導助言に努めていく。

川澄委員 この間、様々な取組をしてきていることは理解している。ただ、そういった中で、子どもたちが自分で発表したいとか、伝えたいと思うには、自分たちで課題を見つけていく作業が大事だと考えている。最初から課題ありきの学習ではなくて、自らが学びたい、知りたいと思うことがあれば、自ずとそれをどうまとめて人に伝えていこうか、また、それをどのように発表しようかということをしっかりと子どもたち自身が考えていくことになると思う。そういった点は、まだまだ足りない部分だと思っているので、子どもたちが主体となった学びができる環境の充実に向けて取組をお願いしておく。

 本会議の一般質問でも質問させていただいたが、学力の判断材料がこの十年で状況調査がベースになってきていると危惧している。

 本来であれば、子どもたちの基礎的・基本的な学力を含めて、もっと広くとらえていくべきと考えているが、こういった点で学校が必要としている支援をどのように、今後、把握していくのか伺う。

岸学校教育局指導担当局長 学校への支援について。道教委では、これまでも、本調査の教科や質問紙調査の結果の分析はもとより、学校訪問などの機会を通じて、学力向上などにかかわる意見や要望などを把握してきており、今後も、こうした取組を継続するほか、都市教育委員会連絡協議会や町村教育委員会連合会、校長会、PTA連合会、教職員が参加する各種研修会等の様々な機会を通じて意見や要望などの把握に努め、各学校の課題に応じたきめ細かな支援を充実させていく考えである。

川澄委員 市町村の結果公表は、競争をあおるものになるのではないかと危惧があり、公表については十分考慮しなければならない。このことを求めてきたが、その中で、今回の調査結果は、あくまでも学力の一側面であるということをはっきりとしながら、各市町村に活用していただきたい。そういったことを答弁にいただいてきている。そういった中で、いまだに点数を気にする傾向というのは、学校段階に行けばどうしても出てくると考えている。

 本年度も、調査結果が学力の一側面であること、競争をあおるものではないこと、また、児童生徒が自ら学ぶことができる授業が大切であることといった点について、道教委自身が明確に発信していく必要があると思っている。この点についての見解を伺う。

梶浦学校教育監 全国学力・学習状況調査結果の公表について。道教委では、これまでも、調査結果の公表に当たっては、国の実施要領に示されている調査によって測定できるのは学力の特定の一部であること、学校の教育活動の一側面であることなどを留意事項として明示するとともに、平均正答率等の数値を単純に並べ、優劣を付けるといった、いわゆる序列化につながることがないよう、教科の領域別の状況を分かりやすく示すこと、さらに、調査の分析結果と併せて、子どもの学習意欲の向上やほかの教科にも共通する指導方法の改善などの方策を示すことなどについて、市町村教育委員会に丁寧に説明してきた。

 今後の調査結果の公表においても、国の実施要領を踏まえるとともに、市町村教育委員会や校長会等と連携を図りながら、本道の学力向上に向けた取組が一層充実するよう、調査結果の公表に取り組んでいく考えである。

―指摘―

川澄委員 公表に同意をしていない市町村が三十以上あるが、その声を聞いていくと、序列化や個人の特定につながることを懸念する声もある。また、自分の自治体内で十分調査分析をして取り組んでいるので必要ないと考えているところもあると聞いている。

 学校では、まだ点数向上が一つの命題になっていると感じている。

 この調査の本来の目的は、全国での教育の機会均等が十分行われているのか、全国の傾向を把握して解消していくことであったと押さえている。それが十年たった今、点数の向上にフォーカスされているという部分は、いったん立ち止まって考えるべきではないかと思っている。

 こういった点も含めて、十年経過したこの調査の意義について、道教委もしっかりと検討していただき、子どもたちにとって、本当の学力はどういうものであるのか、この調査を今後、どのように活用していくのか、しっかりと検討して進めていただきたいことを指摘しておく。

(道議会 2017-01-20付)

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