道議会文教委の質問・答弁概要(28年11月1日)
(道議会 2017-01-27付)

 道議会文教委員会(二十八年十一月一日開催)における丸岩浩二委員(自民党・道民会議)、田中英樹委員(公明党)、佐野弘美委員(日本共産党)、川澄宗之介委員(民進党・道民連合)の質問等、および梶浦仁学校教育監、北村善春学校教育局長、川端雄一学校教育局参事(生徒指導・学校安全)、道の佐藤則子学事課長の答弁の概要はつぎのとおり。

◆27年度問題行動等調査結果

丸岩委員 文部科学省が実施した「二十七年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の結果について、数点伺っていく。

 道内の公立学校におけるいじめの認知件数は、前年度に比べて増加し、特に、小学校が大幅に増加したという報告があった。いじめの認知件数が増加した要因には、どのようなものがあるのか伺う。

川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) いじめの認知件数が増加した要因について。道教委としては、二十七年八月の国からの調査一部見直し依頼を踏まえ、同年十一月に、いじめの定義や認知に当たっての留意点等をまとめた資料『いじめの積極的な認知に当たって』を作成し、また、二十八年四月には、いじめの把握のためのアンケート調査の実施上の留意点等をまとめた指導資料を作成し、それぞれ市町村教育委員会および学校に配布するなど、いじめの正確な認知に向けて、指導助言してきた。

 各学校においては、こうした指導助言や、いじめが児童生徒の心身に及ぼす影響等を十分に踏まえ、初期段階のいじめであっても、早期に学校を挙げて組織としていじめを把握し、解消につなげることが重要であるとの認識のもと、積極的ないじめの認知に努めた結果、認知件数の増加につながったものととらえている。

丸岩委員 いじめへの対応については、早期に発見し、早期に対応するため、積極的にいじめを認知するとともに、いじめが疑われる事案も含めて学校内でしっかりと情報共有することが重要と考える。道教委として、いじめへの対応について、今までどのように取り組んできたのか伺う。

川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) いじめ問題への対応について。道教委においては、これまで、市町村教育委員会や学校に対して、定期的なアンケート調査の実施や、調査結果を踏まえた学校の指導方針の保護者や地域住民への情報提供、教職員によるきめ細かな教育相談の充実などについて指導助言するほか、研究指定校での実践をもとに、いじめが起こりにくい学校づくりに向けた取組を具体的に掲載した『いじめ未然防止モデルプログラム』や『いじめを速やかに解消した事例集』を作成・配布し、各学校に活用を促すなどして、いじめの未然防止、早期発見・早期対応の取組を支援してきている。

 また、専門的な知識や経験を有するスクールカウンセラーなどの配置や派遣を通して相談体制の充実に努めるとともに、二十七年十月には、児童生徒や保護者等からの相談を受け付け、問題解決の支援につなげる「子ども相談支援センター」を開設するなど、いじめの未然防止、早期発見・早期対応に取り組んできている。

丸岩委員 不登校の状況について、道内の公立学校においては、小・中学校で前年度に比べて増加し、高校は減少したとのことだが、小・中学校で不登校が増加した要因として、どのようなものがあるのか伺う。

川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 小・中学校における不登校の要因について。今回の調査において、本道の小・中学校の不登校の要因のうち、「本人にかかる要因」として多いのは、「〝無気力〟の傾向がある」の二八・七%と、「〝不安〟の傾向がある」の二六・四%であり、これら二つを合わせると半数以上を占める高い割合となっており、例年と同様の傾向である。

 さらに、「無気力」と「不安」の理由としては、「家庭にかかる状況」「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「学業の不振」などが多いことが新たに把握できた。

丸岩委員 不登校が起こる背景は多様であると思う。不登校は、どの児童生徒にも起こり得るものであり、不登校の児童生徒に対し、道教委として、これまでどのような取組を行い、これまで対応する中で、どのような課題が明らかになってきたのかを伺う。

川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 不登校児童生徒への対応について。道教委においては、これまで、市町村教育委員会や学校に対して、児童生徒が安心して通うことができる学校づくりを目指し、児童生徒の自己存在感や自己有用感を高める指導についての助言を行うとともに、不登校を解消した対応事例集を作成・配布し各学校に活用を促すなどして、不登校の未然防止への取組を支援してきている。

 また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置や派遣、児童生徒の望ましい人間関係を築く力を育む「中一ギャップ問題未然防止事業」や「高校生ステップアップ・プログラム」を実施するほか、「子ども相談支援センター」を開設するなどして相談体制の充実や不登校を未然に防止する取組に努めてきている。

 なお、今回の調査によって、専門的な相談・指導等を受けていない児童生徒が一定程度いるということが明らかになったことから、不登校に関する悩みなどを有するすべての児童生徒が相談を受けられる体制の整備を今後の課題として、その解決に向け取り組んでいく考えである。

丸岩委員 いじめや不登校の未然防止、早期発見・早期対応に向け、道教委として、今後、どのように取組を進めていくのかを伺う。

梶浦学校教育監 不登校やいじめにかかわる今後の取組について。道教委では、不登校の児童生徒への対応については、本年度から、「児童生徒理解・教育支援シート」などを活用して、不登校になったきっかけや継続理由を的確に把握した上で、学校と関係機関等とで情報共有を図り、きめ細かな対応に努めている。

 また、いじめの対応については、市町村教育委員会や各学校に対して、教育相談等に関する教職員の資質・能力の向上に向けた啓発資料を新たに作成・配布して、校内研修等において活用を図るよう指導するとともに、いじめの問題への取組状況等については、保護者や地域住民等に積極的に説明するようあらためて働きかけるなどして、社会全体でのいじめの未然防止に努めていく考えである。

 今後においても、これらの取組を進め、すべての管内で開催する「地域いじめ問題等対策連絡協議会」や「生徒指導研究協議会」において、問題傾向や効果的な取組に関する情報を共有するなどして、保護者や地域住民、関係機関等との連携を強化して、いじめや不登校への取組を徹底していく考えである。

―意見―

丸岩委員 いじめと不登校は、非常に密接な関係にある。そして、事実を早期に認知することが、問題解決のスタートになると思う。

 文部科学省がまとめた二〇一五年度問題行動調査で、いじめの認知件数が初めて二十万人を突破し、過去最多を更新したと報道された。一方、岩手県で、中学校二年の男子生徒が自殺したという事実があったのにもかかわらず、当該町が認知件数の報告をゼロとしている。都道府県によっても、認知件数に大きな開きがある。児童生徒一千人当たりの件数で、最多の京都が九十・六件に対し、最少の佐賀が三・六件で、約二十六倍の差が生じている。

 相談窓口やカウンセラーの配置、アンケート調査など、様々な取組をしていることは十分承知しているが、いじめを受けている子どもは、自発的に行動することがなかなかできない状況にあると思う。それに対して、今までの道教委の取組は、ある意味、受け身の対応であったような気もする。自分から行動を起こせない児童生徒が、毎日、苦しんでいるという事実をどのように発見して問題を解決するのかが、これからの課題であると思っている。

 いじめは、親や教員が分からない、隠れた場所で行われているものなので、学校や保護者、また、地域の助けも借りながら、早期発見し、その事実を認識して、しっかりと取り組むといった積極的な対応を心からお願い申し上げる。

◆27年度問題行動等調査結果

田中委員 道内の公立小学校における暴力行為の発生件数が、前年度に比べて大幅に増加したという報告があったが、公立小学校における暴力行為の発生件数が増加した要因には、どのようなものがあるのか伺う。

川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 小学校における暴力行為が増加した要因について。暴力行為の発生件数が前年度に比べ大幅に増加した市町村教育委員会に聴き取ったところでは、同じ学校で繰り返し暴力行為が発生したこと、同じ児童が複数回暴力行為に及んだりしたこと、感情のコントロールがうまくできない児童が増え、ささいなことで暴力に至ってしまう事案が大幅に増加したこと、さらには、小学校長会等において、数値が上がることをためらわず、調査実施要領に基づき、正確な数値を計上することを繰り返し伝えたことによって、教職員等の意識が変わったことなども要因として挙げられていた。

田中委員 道内の公立学校におけるいじめの認知件数は、前年度に比べて増加し、特に、小学校が大幅に増加したという報告があった。しかし、いじめの認知件数が増加しているものの、本道のいじめの解消率については、全国平均よりも高く、前年度に比べても高くなっており、各学校などにおける、これまでの取組の成果であるとも言えると考えている。中でも、児童生徒が主体となって、いじめの根絶や防止に向けて取り組む活動は非常に効果的と考えるが、道教委のこれまでの取組について伺う。

川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) いじめ防止等に向けた児童生徒の取組について。道教委では、いじめの未然防止に向けて、児童生徒が自らいじめの問題について学び、主体的に考え、いじめの防止に取り組むことが重要であると考えており、二十三年度から、毎年、「どさんこ☆子ども全道サミット」等を開催してきており、具体的には、十四管内をインターネット回線で結び、参加した小・中学生や高校生が、いじめのない学校づくりを推進するための「行動宣言」を取りまとめてきた。

 また、管内ごとに開催する「どさんこ☆子ども地区会議」では、高校生がリーダーとなった、いじめのない明るい学校づくりに向けた小・中・高校生の意見の交流や、管内の学校に配布する『いじめ根絶リーフレット』の作成など、児童生徒の主体的な活動がみられた。

 道教委としては、今後においても、このような取組の充実を図るなど、いじめの根絶に向けた児童生徒の主体的な活動が積極的に推進されるよう取り組んでいく。

―指摘―

田中委員 いじめの問題については、児童生徒が主体的に取り組み、考え、行動することが大切であると考えるので、ぜひとも、こうした環境整備は、引き続きお願いしたいと思う。

田中委員 道内の公立小・中学校における不登校児童生徒数は、前年度に比べて増加したとの報告があった。また、「指導の結果、登校する、またはできるようになった児童生徒」については、特に、小学校では、全国平均より高い状況となっており、これまでの各学校での取組の成果が一定程度表れていると考えられる。

 そこで、小・中学校の不登校の主な要因と、不登校の児童生徒への対応にかかる道教委のこれまでの取組と今後の取組について伺う。

川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 公立小・中学校の不登校について。今回の調査において、本道の小・中学校の不登校の要因のうち、「本人にかかる要因」として多いのは、「〝無気力〟の傾向がある」の二八・七%と、「〝不安〟の傾向がある」の二六・四%であり、これら二つを合わせると、半数以上を占める高い割合となっていることは、例年と同様の傾向である。

 さらに、「無気力」と「不安」の理由としては、「家庭にかかる状況」「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「学業の不振」などが多いことが、新たに把握できた。

 不登校児童生徒の対応について、道教委では、これまで、スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーの配置や派遣、不登校を解消した対応事例集の作成・配布など、未然防止の取組や相談体制の充実に努めてきた。

 今後においては、市町村教育委員会や学校に対して、相談窓口の周知を一層徹底するよう指導するとともに、不登校になったきっかけや継続理由を的確に把握し、その児童生徒に合った支援を行うための「児童生徒理解・教育支援シート」の活用を促すなどして、不登校児童生徒に対する取組が充実するよう努めていく。

田中委員 公立高校の中途退学については、前年度より人数が増加し、全国と比べて中途退学率の割合が高かったとの報告があった。

 未来のある若者が、志半ばで中途退学することは、本道にとっても大きな損失であり、道として、中途退学を減らす努力を行っていくことが必要であると考えるが、中途退学の未然防止に向けた道教委のこれまでの取組と今後の取組について伺う。

梶浦学校教育監 公立高校における中途退学の未然防止に向けた取組について。道内の公立高校においては、入学前に中学生や保護者を対象とした学校説明会や体験入学を実施するほか、習熟度や少人数指導など、個に応じた学習指導の充実、さらに、生徒の悩みを受け止める、きめ細かな教育相談体制の整備や、宿泊研修における望ましい人間関係づくりの活動などに取り組んできている。

 道教委としては、こうした取組を支援するため、これまで、教員の加配をはじめ、スクールカウンセラーの配置や派遣を行うほか、生徒の人間関係を形成する力やコミュニケーション能力を育成するための「高校生ステップアップ・プログラム」事業を実施して、その成果の普及に努めてきた。

 今後においても、このような取組の充実を図るとともに、生徒の中途退学の未然防止に向け、生徒の望ましい人間関係構築に向けた指導の充実や、卒業の意義や将来の進路などについて考えさせる教育相談の一層の充実などについて、各管内で開催する生徒指導研究協議会などにおいて、各学校等を指導していく考えである。

―意見―

田中委員 今後とも、この大切な一人ひとりを様々な形で支援して、本道を担う将来の人材育成に尽力いただくことをお願い申し上げる。

◆27年度問題行動等調査結果

佐野委員 小学校における暴力行為の発生件数といじめの認知件数が大幅に増加しているが、その背景・要因を伺う。

川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 暴力行為といじめの件数が増加した要因について。小学校における暴力行為の発生件数の増加については、同じ学校で繰り返し暴力行為が発生したり、同じ児童が複数回暴力行為に及んだりするケースが増加したことなどのほか、各市町村教育委員会が調査実施要領に基づき、正確な数値を計上することを繰り返し伝えたことによって、教職員等の意識が変わったことなども挙げられていた。

 また、いじめの認知件数の増加については、いじめの定義や認知に当たっての留意点等をまとめた指導資料を市町村教育委員会および学校に配布し、指導助言を行ったことによって、各学校において、初期段階のいじめであっても、いじめを把握し、解消につなげることが重要であるとの認識のもと、積極的にいじめの認知に努めた結果、認知件数の増加につながったものととらえている。

佐野委員 発生した暴力行為やいじめについて、軽視したり見逃したりすることなく、早期に発見、認知することが、未然防止や解消に向けた取組の一環として重要だと考える。そうした意味では、今回の件数増加は、むしろ取組を進めるための前向きな一歩ととらえることもできる。

 大切なのは、発生した個々の事案に対して、どのように子どもに寄り添って取り組んでいくのかということ。担当教員一人に任せるのではなく、情報を共有し、チームで対応すべきだと考えるが、道教委の認識と取組について伺う。

川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) いじめの解消等に向けた取組について。道教委としては、「北海道いじめ防止基本方針」に基づき、学校がいじめを認知した場合には、特定の教員がいじめを抱え込むことなく、迅速に組織的に対応し、いじめを受けた児童生徒を守り通すことが重要であると考えている。

 具体的な取組としては、「地域いじめ問題等対策連絡協議会」等において、関係機関等との連携について市町村教育委員会や学校に指導してきている。

 また、『いじめを速やかに解消した事例集』や『いじめの積極的な認知に当たって』を作成・配布し、各学校に活用を促すほか、道立教育研究所の「生徒指導研修講座」の中で、いじめ解消に向けた組織的な対応の在り方について扱うなどして、学校におけるいじめ解消の取組が充実するよう努めてきている。

―指摘―

佐野委員 いじめや暴力行為の解消には、成長過程にある児童生徒の心に寄り添う粘り強い取組が求められると考える。答弁のような協議会や事例集、研修も大切だが、取組が実践できるような環境整備、例えば、教員同士が連携を強めるための多忙化の解消や子ども同士がふれあうゆとり、教員の目が届くような少人数学級の拡充など、行き届いた教育環境の整備も重要ではないだろうか。暴力行為やいじめへの対策の一環として、教育環境の充実も重要であることを指摘する。

佐野委員 近年の北海道における公立高校の中途退学者数の推移と全国の状況との比較について伺う。そのうち、経済的理由による中途退学者の状況について併せて伺う。

川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 公立高校における中途退学者数の推移について。二十五年度から二十七年度までの過去三年間の中途退学者数は、本道では、二十五年度は一千七百六十四人、二十六年度は一千四百六十五人、二十七年度は一千六百四十八人であり、年度によって増減がみられ、在籍者数に占める割合も、二十五年度の一・六%から、一・四%、一・六%となっている。

 一方、全国においては、二十五年度は三万八千六百二人、二十六年度は三万三千九百八十二人、二十七年度は三万一千九十一人と減少傾向にあり、在籍者数に占める割合も、二十五年度の一・六%から、一・四%、一・三%となっている。

 また、中途退学者のうち、経済的理由による者の占める割合は、本道では、二十五年度は〇・七%、二十六年度は〇・五%、二十七年度は〇・三%と減少傾向にある。

 一方、全国においては、二十五年度は〇・八%、二十六年度は〇・七%、二十七年度は〇・七%となっている。

佐野委員 二〇一〇年度からの「高校授業料無償化」によって、経済的理由による中途退学者の減少に一定の効果があったと推察されるが、この開始前後の経済的理由による中途退学者数の推移を、人数も併せて示していただきたい。また、経済的理由による中途退学者に対する授業料無償化の効果についての道教委の認識を伺う。

北村学校教育局長 高校授業料無償化と中途退学者との関係について。道内の公立高校における中途退学者に占める主な理由が経済的理由である者の人数および割合については、二十二年度の「公立高校授業料無償制度」開始前においては、二十年度は五十人で二・三%、二十一年度は三十四人で一・八%であり、無償制度開始後の二十二年度は二十人で一・一%、二十三年度は十三人で〇・七%、二十四年度は二十三人で一・三%、二十五年度は十三人で〇・七%となっている。

 また、現行制度である「高校等就学支援金制度」の開始後の二十六年度は八人で〇・五%、二十七年度は五人で〇・三%となっている。

 中途退学をした理由については、主なもの以外にも複数の理由が関係していることが多いことから、経済的な理由によって中途退学者に対する授業料無償制度の効果については、一概に申し上げることは難しいものと考えている。

―指摘―

佐野委員 授業料無償制度開始前は、五十人、三十四人、開始後は二十三人から十三人、さらに、就学支援金制度開始後は八人、五人と大きく減少している。少なくとも、経済的理由による中途退学者に対する費用面での支援は、効果があると言い切ることができるはずである。

佐野委員 全日制私立高校を中途退学した生徒数の推移と、そのうち、経済的理由によって中途退学した生徒数の推移について伺う。

佐藤学事課長 全日制私立高校の中途退学者数について。国の就学支援金制度導入前の二十一年度の中途退学者数は四百八十四人となっており、このうち、経済的理由による退学者数は十九人で、生徒全体に占める割合は〇・〇六%である。

 ここ最近三年間では、二十五年度は中途退学者数四百五十七人のうち、経済的理由による者は十五人で〇・〇五%、二十六年度は中途退学者数四百人のうち、経済的理由による者は九人で〇・〇三%、二十七年度は中途退学者数三百五人のうち、経済的理由による者は七人で〇・〇二%と推移している。

佐野委員 答えていただいた推移について、道として、どのように認識しているのか、所見を伺う。

佐藤学事課長 中途退学者数の推移に対する認識について。最近における経済的な理由による中途退学者数の推移をみると、人数および全生徒数に占める割合は、いずれも減少傾向となってきており、道が従来から実施してきた授業料軽減補助制度に加え、二十二年度に創設された国の就学支援金制度による修学支援策が一定の成果を上げてきたと認識している。

―指摘―

佐野委員 答弁のとおり、修学支援策が一定の効果を上げており、支援として有効であると言える。高校卒業か中退かでは、その後の就業や収入に大きく影響し、学歴によって就職が制限されれば、子どもの教育に金をかけられず、貧困の連鎖が起きることにつながる。自己肯定感などにもかかわり、その後の人生をも左右しかねない。学びたいと願う学生が経済的な理由によって中途退学を選ばざるを得ない状況はなくさなければならない。経済的支援に加えて、スクールソーシャルワーカーや相談窓口を増やすなど、相談や支援体制の拡充に取り組み、今後、経済的理由による中途退学者をなくすための取組を、目標をもって評価すべきと指摘する。

◆27年度問題行動等調査結果

―指摘―

川澄委員 答弁は求めないが、指摘させていただきたい。

 いじめ問題にかかわって、今、様々な施策または研修会を行っていることを理解している。ただ、今回の認知件数をもって、いじめの問題については良いだの悪いだのと考えるものではない。

 学校現場において、今、子どもたちが、様々な競争や厳しい環境にさらされていることは、一つの原因になると認識しており、例えば、国連の人権委員会から、日本の学校は過度の競争にさらされていると指摘されてきている。こういった中で、いじめの問題については、芽を摘み取るという対症療法だけではなく、学校現場の中で、子どもと向き合うことや、子ども同士の関係性をつくる授業をどのようにつくるかといった点に、しっかりと取り組んでいかない限り、解決につながらないと認識している。

 単にいじめは駄目だとか、良くないことだということを、子どもにいくら話しても、解決する問題ではないということは、身をもって理解している。子ども同士の関係性をどうつくるのかは、学習を通してでなければできないことだと思う。

 不登校の子どもの問題についても、学校に来なさいということだけではなく、この子がかかえている課題に丁寧に寄り添う、また、学級の子どもたちと一緒に、その子の課題等について考える。こういった取組を、息の長い取組にはなるが、やっていかない限り解決にはならないと認識している。

 学校は、子どもたちにとって幸せな場所ではないと認識しているので、教職員の多忙化の問題をここでは申し上げないが、子どもに教員が丁寧に向き合うことができる、子どもがゆとりをもって学ぶことができる環境を、道教委としても、様々な研修等は必要だと思うが、それと合わせて、こういった取組をしっかりとやっていただきたいということを指摘しておきたい。

(道議会 2017-01-27付)

その他の記事( 道議会)

道議会文教委(29年2月7日) ネイパルの利用拡大へ 自治体等と連携し、利用者層を開拓

 道議会文教委員会が七日に開かれ、ネイパルの利用促進について質疑が行われた。梶浦仁学校教育監は、施設の利用拡大に向け、「各種施策への活用、地域活動等での利用など、新たな利用層の開拓について、...

(2017-02-09)  全て読む

道議会決算特別委の質問・答弁概要(28年11月10日)

 決算特別委員会(二十八年十一月十日開催)における勝部賢志委員(民進党・道民連合)の質問、および柴田達夫教育長、梶浦仁学校教育監、磯貝隆之学校教育局特別支援教育担当局長、桜井康仁教育政策課長...

(2017-02-09)  全て読む

道議会決算特別委の質問・答弁概要(28年11月10日)

 道議会決算特特別委員会(二十八年十一月十日開催)における久保秋雄太委員(自民党・道民会議)の質問、および柴田達夫教育長、杉本昭則教育部長、村上明寛総務政策局長、岸小夜子学校教育局指導担当局...

(2017-02-08)  全て読む

道議会文教委の質問・答弁概要(28年11月1日)

 道議会文教委員会(二十八年十一月一日開催)における加藤貴弘委員(自民党・道民会議)、川澄宗之介委員(民進党・道民連合)、佐野弘美委員(日本共産党)の質問、および杉本昭則教育部長、村上明寛総...

(2017-02-02)  全て読む

道議会各会派が知事に対し要請 本道経済に資する人材を 29年度予算編成に向け

 道議会各会派は二十七日、高橋はるみ知事に対し、二十九年度当初予算編成などに関する申し入れを行った。教育関係では、本道経済の発展に資する人材育成、学力・体力の向上、いじめ・不登校問題への対応...

(2017-01-31)  全て読む

道議会文教委の質問・答弁概要(28年11月1日)

 道議会文教委員会(二十八年十一月一日開催)における加藤貴弘委員(自民党・道民会議)、佐々木恵美子委員(民進党・道民連合)の質問、および梶浦仁学校教育監、磯貝隆之学校教育局特別支援教育担当局...

(2017-01-26)  全て読む

道議会文教委の質問・答弁概要(28年10月6日)

 道議会文教委員会(二十八年十月六日開催)における田中英樹委員(公明党)、丸岩浩二委員(自民党・道民会議)、川澄宗之介委員(民進党・道民連合)の質問、および杉本昭則教育部長、梶浦仁学校教育監...

(2017-01-24)  全て読む

道議会文教委の質問・答弁概要(28年10月6日)

 道議会文教委員会(二十八年十月六日開催)における加藤貴弘委員(自民党・道民会議)、川澄宗之介委員(民進党・道民連合)の質問、および梶浦仁学校教育監、岸小夜子学校教育局指導担当局長、鈴木淳義...

(2017-01-20)  全て読む

3定道議会予算特別委の質問・答弁概要(28年10月4日)

 三定道議会予算特別委員会第二分科会(二十八年十月四日開催)における安住太伸委員(北海道結志会)、中野渡志穂委員(公明党)の質問、および柴田達夫教育長、北村善春学校教育局長、磯貝隆之学校教育...

(2017-01-19)  全て読む

3定道議会予算特別委の質問・答弁概要(28年10月4日)

 三定道議会予算特別委員会第二分科会(二十八年十月四日開催)における道下大樹委員(民進党・道民連合)の質問、および柴田達夫教育長、杉本昭則教育部長、原光宏教職員課長、伊賀治康教職員課服務担当...

(2017-01-18)  全て読む