道議会文教委の質問・答弁概要(28年11月1日)
(道議会 2017-02-02付)

 道議会文教委員会(二十八年十一月一日開催)における加藤貴弘委員(自民党・道民会議)、川澄宗之介委員(民進党・道民連合)、佐野弘美委員(日本共産党)の質問、および杉本昭則教育部長、村上明寛総務政策局長、松浦英則生涯学習推進局長、加賀学施設課長(当時)、船木誠生涯学習課長、道の佐藤則子学事課長の答弁の概要はつぎのとおり。

◆アスベスト使用状況調査

加藤委員 新聞報道によると、札幌市教委は、アスベストを含む断熱材の点検を文部科学省から二十六年七月と二十八年八月に指示されたのにもかかわらず、点検を実施していなかったことが明らかとなった。

 また、これまでに小・中学校十五校の給食調理用ボイラーの煙突から、アスベストを含む疑いのある断熱材が落下していたことが判明し、当該学校では、パンや牛乳の簡易給食となっているとのことである。

 児童生徒の安全安心を確保すべき学校施設において、このような事態が発生したことは大変な驚きであり、残念な結果であると思っている。

 今回の札幌市教委の事案の概要を伺う。

加賀施設課長 札幌市教委における煙突用断熱材の点検未実施について。二十六年度に石綿障害予防規則が改正され、吹き付けアスベストに加え、新たにアスベストを含有する断熱材等が規制対象として追加されたことから、文部科学省では、児童生徒等の安全対策に万全を期すため、二十六年度に学校施設等における煙突用断熱材等の使用状況調査を行い、本年度は、その後のフォローアップ調査を実施している。

 札幌市教委からの報告では、十八年度に煙突用断熱材の剥落によって、給食用ボイラーが運転不調となった学校があったため、独自にステンレス以外の煙突について、剥落等の調査および不具合があった煙突の清掃や改修を行っており、二十六年度の文科省からの調査に当たっては、専門業者等による調査委託費用の確保が難しいことなどから、業務委託による調査は実施できないと判断し、十八年度の調査結果を報告した。

 なお、道教委としては、現在取りまとめ中の本年度の調査について、文科省と協議し、札幌市教委の対応状況を見極め、全道分を報告することとしている。

加藤委員 札幌市教委は、国の二十六年度調査時点では、どういう内容で報告していたのかを伺う。

加賀施設課長 二十六年度調査の報告内容について。札幌市教委からは、煙突用断熱材を使用している二百一校二百五十一本の煙突のうち、百四十四校百七十一本でアスベストを含有する断熱材を使用しているものの、劣化、損傷等によってアスベストの粉じんが飛散し体内に取り込まれるおそれはないと報告があった。

加藤委員 今後、札幌市教委はどのように対応していくつもりなのか。また、道教委は札幌市教委に対し、どのような指導をしているのか伺う。

村上総務政策局長 札幌市教委の対応などについて。札幌市教委では、アスベストを含む疑いのある断熱材が落下した学校について、煙突の使用を停止した上でアスベスト含有の調査を実施し、含有が認められた場合、早急に必要な改修を実施するとともに、このたびの点検で断熱材の落下が確認できなかった煙突についても、計画的な改修を検討している。

 道教委としては、文科省からの指導を踏まえ、札幌市教委に対し、速やかに、アスベスト含有の疑いのある煙突のみならず、すべての学校の煙突の点検実施を指示するとともに、具体的な点検方法や劣化、損傷等のあった煙突の改修計画を十一月中を目途に報告させるなど、適切なアスベスト対策に万全を期していく考えである。

 また、このたびの事案によって、札幌市内の一万人を超える児童生徒に通常の給食を提供することができず、保護者から不満の声が寄せられていることに、事実関係を含め丁寧な説明を尽くすよう指導していく。

加藤委員 今回の札幌市教委の事案を踏まえると、他の市町村からの報告内容は正確と言えるのだろうか。

 また、学校施設以外の教育関係施設についての対応はどのようになっているのかを伺う。

加賀施設課長 他の市町村からの報告内容について。文科省が本年度実施している調査において、公立学校については、道教委に提出する期限を九月二十八日とし、調査集計後、十月二十四日までに文科省あて提出することとされていた。

 道教委では、このたびの札幌市教委の事案を受け、文科省の調査実施要領に基づく適切な調査となるよう、すでに報告があった市町村分については、報告内容の精査を行うよう十月二十七日付で通知し、二十八日までの報告を求めており、道立学校および社会教育施設等に対しても、十月三十一日付で同様に通知し、十一月一日までの報告を求めたが、小・中学校については、現時点で三市町が専門業者等の調査に時間を要していることなどによって、報告が遅れている状況であることから、早急に正確な報告を行うよう求めており、今後、それらの状況を踏まえ、今週中を目途に、全道分を文科省に報告していく考えである。

加藤委員 札幌市の事案をはじめ、函館市においても、剥離した断熱材にアスベストが含有していることを確認したのにもかかわらず、飛散防止措置をせず放置していたことが判明した。道教委として、今回の件をどのように受け止めているのか伺う。

 また、こうしたことを踏まえ、今後、アスベスト対策にどのように取り組んでいくのかを伺う。

杉本教育部長 今後の取組などについて。学校は、子どもたちが一日の大半を過ごす学習や生活の場であり、アスベスト対策をはじめ、安心安全な教育環境の整備は、最優先で取り組んでいかなければならないと考えている。こうした中、札幌市教委における事案だけではなく、函館市教委において、速やかなアスベスト対策が行われていなかったことも明らかになったことについて、大変重く受け止めている。

 道教委としては、このたびの事案を受け、本年度の調査結果を的確に把握・分析した上で、市町村教育委員会に対し、必要な措置を速やかに講じることを求めていく考えである。

 今後とも、学校において、アスベストの粉じんの飛散によって、児童生徒等に重大な健康被害が起こることのないよう、知事部局とも一層連携しながら、アスベストに関する情報の提供や技術的な助言を行うとともに、アスベスト対策に向けた必要な財政支援について国に要望するなど、適切かつ迅速なアスベスト対策に取り組んでいく考えである。

 また、現在、調査の精査を行っている中で、市町村から報告内容を修正したい旨の連絡もあることから、アスベスト対策について、児童生徒はもとより保護者の不安を取り除くよう、丁寧な対応について指導していく考えである。

―指摘―

加藤委員 アスベストについては、二十六年に国の石綿障害予防規則が改正され、規制の対象がそれまでの吹きつけアスベストのほか、新たにアスベストが含まれている保温材や断熱材にまで拡大された。そのため、文科省は二十七年度、二十六年十月一日現在におけるこれらの使用状況について、すべての学校や公立の社会教育施設、文化施設を対象に調査を実施し、その結果を公表した。

 私は、この調査に関連し、二十七年十一月の委員会においても、道内の学校等の状況について伺った。その結果、現在調査中と回答のあった学校を除き、問題はないということであった。

 しかし、今回の札幌市の事案をきっかけに、各地で不適切な対応が指摘されていることは、極めて遺憾であると言わざるを得ない。道教委として、今後、しっかりと対応するよう強く申し上げておきたい。

◆生活リズムチェックシート

川澄委員 学校を含めて、子どもたちの生活は、様々な社会環境の変化によって、課題があることは認識している。それを受けて、道教委では、生活リズムチェックシートを配布している。保護者や学校関係者の話を聞くと、その活用の在り方について、様々な意見が出てきている。

 生活リズムチェックシートの目的について、あらためて伺う。

船木生涯学習課長 生活リズムチェックシートの目的等について。子どもたちの学力や体力の向上、心身ともに調和のとれた成長にとって、望ましい生活習慣を身に付けることは重要であり、これまで、「すいみん表」の取組の普及に努めるなど、「早寝早起き朝ごはん運動」に取り組んできたが、依然として本道の子どもたちは、全国と比較し朝食を食べていない児童生徒の割合が高く、テレビ等の視聴時間が長いなど、生活習慣に課題がみられたことから、道教委では、子どもが起床や就寝の時間、学習に取り組む時間など、毎日の生活を記録しながら、自らの意思で改善していくことができるよう、二十三年にPTAをはじめとする関係機関と共同で「生活リズムチェックシート」を作成し、各市町村教育委員会等に対し、その普及および活用に努めてきた。

 二十七年度の実施状況としては、道PTA連合会や学校が独自に作成したシートを含め、学校全体で取り組んでいる学校の割合が、小学校で八二・六%、中学校で七六・七%であると承知している。

川澄委員 毎日の生活を、子ども自ら改善していこう、そのツールとして使われるという点については異論がないが、こういった中で、配布や活用の仕方、その他学校での先生方のコンセンサスの部分において、様々な課題があると考えている。

 実施に当たって、保護者への説明や、回収の方法について、どのようになっているのか伺う。

船木生涯学習課長 保護者への説明などについて。道教委では、「生活リズムチェックシート」の実施に当たり、具体的な説明の方法等については、指導者向けに作成した手引き『生活リズムチェックシート指導者用ハンドブック』に掲載するなどして、支援しており、保護者への説明については、実施している学校が、目的や趣旨について説明を行っていると考えている。

 このチェックシートの活用方法については、学校や団体等の望ましい生活習慣への取組状況に応じて効果的に実施するようお願いしている。

川澄委員 回収したシートについて、学校における活用事例には、どういうものがあるのか伺う。

船木生涯学習課長 学校における活用事例について。シートを回収して活用している学校においては、担任が一週間ごとにシートを回収し、子どもたちの頑張りを認め励ますコメントを記入し、個別の指導に生かしたり、子どもの生活リズムの実態を把握した上で、その分析を行い、学校だよりなどを通じて周知し、保護者の理解を得るなど、学校と保護者が課題等を共有し、連携・協力した、子どもの生活習慣の改善に役立てている取組が行われていると承知している。

川澄委員 このシートの活用によって、家庭や子どもがどのように変化しているのか伺う。

船木生涯学習課長 シートの活用による効果について。二十五年三月に、シートを活用している学校を対象に実施した調査では、子どもたちが生活リズムチェックシートの目標を意識しながら生活することや、保護者が励ましの声をかけたりすることによって、一日三時間以上ゲームをしていた児童生徒が三時間未満になったこと、家庭での学習時間が長くなったこと、読書の習慣が身に付いたこと、就寝時刻が改善されたことなどの効果が現れている。

 また、親子で取り組むことによって、朝食の摂取、睡眠時間、親子のコミュニケーションなど、子どもの生活全般にわたって保護者の関心が高まったことも明らかになっている。

川澄委員 確かに、このシートを活用する中で、親子で自分の生活を見直すことは重要なことだと思っている。ただ、これをどう活用していくかだとか、家庭の状況にどういった配慮がされているのかという部分について、十分な学校内での意思統一がなされていない状況が散見された。

 多様な家庭環境がある中、生活リズムや家庭内の状況について把握していくことについて、配慮が必要と考えているが、どのような配慮が必要と考えているのか、また、実際にどのように学校で行われてきたのかを伺いたい。

船木生涯学習課長 家庭環境への配慮について。生活リズムチェックシートは、望ましい生活習慣に対する関心や意識を高め、その改善と定着をねらいとしており、家庭環境などに応じてそれぞれの子どもと保護者が話し合い、主体的に学習時間や睡眠時間などの目安を設定するものである。

 このシートの学校での活用に当たっては、すべての学校の取組上の配慮事項等については把握していないが、個別の家庭環境等に配慮することも必要であると認識している。

―指摘―

川澄委員 地域の状況をみていくと、厳しい家庭が多い校区も中にはある。そういった中で、このシートをどう活用するかという部分について、職員会議等で検討して、これを配布することが保護者の負担になるのではないかという意見が出た結果、配布をいったん取りやめようとか、保護者に配布し、回収はしないで子どもと話し合う材料の一つとする学校もあると聞いている。これは非常に重要なことと思っている。

 その一方で、校長先生が先生方の意見も一切聞かないで配布、回収を義務付けるところがある。保護者に丁寧な説明がないということで、保護者間でも、自分の家庭の状況を出すことについて違和感を感じていることもあったと聞いている。

 把握はしていないということであったが、十分配慮した形で行うよう、各学校に対して、様々な場面で話していただきたい。

川澄委員 一部、提出義務になっているところがあるということを、今、話したが、こういった部分で、保護者も含め、今後の対応をどのように行っていくのか伺いたい。

松浦生涯学習推進局長 今後の対応について。子どもの生活習慣の定着に向けては、学校・家庭・地域がそれぞれ担うべき役割を踏まえつつ、相互の連携、協力を密にした取組を推進することが重要であり、そうした取組を促すツールとして、「生活リズムチェックシート」の普及および活用を進めてきた。

 道教委としては、今後とも、市町村教育委員会などに対し、研修会や各種会議などにおいて、取組の意義や実践事例、学校や保護者に対する丁寧な説明を行うこと、さらには、シートの活用に当たっての留意点などを周知して、学校と家庭が共通認識に立った取組となるよう努めていく。

―指摘―

川澄委員 こういったものを活用しながら、学校と地域、家庭が一緒になって子どもを育てていこうという視点は非常に重要だと思っている。

 ただ、一部の地域で、地域事情を勘案しないまま、一方的に配布するだとか、直接子どもを預かる先生方の意見を聞かないまま一方的にやる、一部には、学校経営計画の中に、「生活リズムチェックシートを活用し、家庭での生活習慣の改善を図る」と明記している学校もあると思う。これがややもすると家庭生活に入り込んでしまうという懸念がある。

 協力して子どもを一緒に育てていきたいという思いは、学校も家庭も同じだと思うので、コンセンサスをしっかりと図っていかないと、保護者との関係づくりに大きな課題を残すことになると考えている。この活用方法を含めて、学校でしっかりと論議していくこと、また、家庭状況を配慮しながら、どのような活用の仕方が相応しいのかを、学校と家庭が共通認識に立った形となるように、丁寧な説明をしっかりとやっていただきたい。

◆アスベスト使用状況調査

佐野委員 札幌市の学校施設で、アスベストを含む煙突用断熱材の落下が確認され、さらに、ほかの自治体にも広がっている。

 文部科学省は、二〇一四年度と二〇一六年度、アスベスト含有断熱材等に関する調査を指示したが、その内容について伺う。二〇一四年度の調査結果についても、併せて答えていただきたい。

加賀施設課長 アスベスト含有断熱材等の調査について。文科省では、二十六年六月の石綿障害予防規則の改正を踏まえて、児童生徒等の安全対策に万全を期すため、同年十月一日現在で、国公私立学校、公立社会教育施設、公立文化施設等を対象に、教室や廊下などに露出している保温材等や学校等が保有する煙突の断熱材について、アスベスト含有の有無、劣化、損傷等によって粉じんが飛散し体内に取り込まれるおそれ、およびその措置状況などの調査を実施しており、本年度は、その後のフォローアップ調査を実施している。

 調査結果については、室内に露出している保温材等を使用している一千六百七十六校においては、劣化、損傷等によって粉じんが飛散しアスベストが体内に取り込まれる恐れはなかった。

 また、煙突用断熱材を使用している一千百六十七校二千二十六本の煙突については、五百三十七校七百三十五本でアスベストを含有する断熱材を使用しているが、これも、劣化、損傷等によってアスベストが体内に取り込まれる恐れはなかった。

 なお、調査日時点において、「調査中」としていた学校は、保温材の使用状況では十校、煙突用の断熱材の使用状況では二百六十五校となっていた。

佐野委員 アスベスト対策を所管する環境生活部は、アスベストを含む保温材や断熱材などレベル2の建材について、年一回の目視による点検を定めている。

 道立学校の定期点検はどのように定められているのか。

加賀施設課長 道立学校の定期点検について。道教委では、建築基準法等を踏まえ、十八年度に所管する建築物等の適切な保全や、長期にわたる機能維持を図ることを目的として、点検・保守・修繕などに関する必要な事項を規定した「道教委建築物等保全規程」を定めている。

 保全規程では、建築基準法に基づく調査項目や方法などを備えた「点検シート」を定め、施設管理者である学校長の管理のもと、建築物の維持保全に関し、二年以上の実務経験のある職員がこのシートによって定期点検を行っている。

 石綿含有保温材等の劣化・損傷の点検についても、この定期点検によって年一回、目視等による点検を行っており、このほか、他の施設設備と同様、日常点検を行い、必要に応じて道教委の技術職員による専門的な点検を行っている。

佐野委員 新聞報道によると、二〇一四年度調査で、北見市は約半数の小・中学校で点検を行わず、本年度の調査に対しても、「年度内に調査をする」として、回答を先送りしていたとされている。

 北見市のように、二年前に「調査中」で、今回も「調査が終了していない」と答えた自治体はいくつあるのか。また、この間、道教委として、調査を促進するために、どのように取り組んできたのか伺う。

加賀施設課長 調査が終了していない自治体などについて。本年度の調査では、現時点で調査が実施されていないことや、調査結果が判明していないことから、保温材や煙突用断熱材のアスベスト含有の有無が不明となっている市町村があるが、道教委では、現在、あらためて、全市町村にその報告内容の確認・精査を求めている。

 また、道教委では、文科省の二十六年度調査の結果を各市町村教育委員会あてに通知した際、「調査中」となっていた学校において、早期に完了するよう要請するとともに、実施予定等についても照会を行い、その結果を踏まえ、調査実施時期の前倒しを働きかけた。

―指摘―

佐野委員 いまだに「不明」な市町村があるとの答弁だが、道立学校のように、年一回の点検がされていれば、少なくとも、報道のような断熱材が落下したまま放置されていた事例は、防ぐことができたのではないか。

 過去の議論の中でも、「調査中」の機関に対応し、明らかにすると答弁している。

 市町村に要請するだけではなく、調査が困難な状況について聞き取り、調査方法の相談に応じたり、技術職員を派遣したりするなど、きめ細かな対応が必要なのではないか。

 市町村の責任だとして事態を放置するのは、児童生徒の安全を守る道教委の責任放棄であると言わざるを得ない。

佐野委員 私立学校、専修学校についても同様に、二年前に続き、今回も「調査中」の学校法人・機関が残されているのか。また、道として、調査を促してきたのかについても伺う。

佐藤学事課長 「調査中」の学校法人・機関について。二十六年度の調査において、室内等に露出した保温材等の使用について、「調査中」と回答したのは、私立学校で百十六校、専修学校等で六校、煙突用断熱材の使用について、「調査中」と回答したのは、私立学校で三十八校、専修学校等で二校あった。

 道では、二十六年度以降、調査の都度、状況確認を促してきており、その結果、現在、取りまとめ中である本年度の調査においては、保温材等の使用では三校が「調査中」であり、煙突用断熱材の使用では「調査中」の学校はなくなったが、不明とした学校が五校残っている。

 道としては、引き続き、アスベスト等の適切な対策について指導を行い、生徒等の安全確保に努めていきたいと考えている。

―指摘―

佐野委員 私学に対しても、法人にまかせるだけではなく、調査を実施できない状況を丁寧に把握し、財政支援を国に求めるばかりではなく、実態に即した必要な支援をするべきと指摘する。

佐野委員 予算がないから検査をしないという事態は、決してあってはならない。

 報道によると、断熱材の一部が破損・落下した状態でボイラーを使い続け、大気中からアスベストが検出された事例もある。児童生徒がばく露している可能性は否定できない。

 アスベストは、吸引すると肺がんや中皮腫を引き起こす可能性があり、潜伏期間は数十年に及び、その吸引量と発症の因果関係は、明らかにされていない。

 知らずにばく露し、数十年後に中皮腫等を発症する可能性も否定できず、それに備えた対応が必要と考える。

 問題のあった学校の児童生徒に、危険性を周知する必要があると考えるが、いかがか伺う。

村上総務政策局長 アスベストによる健康問題への対応などについて。道教委としては、現在、あらためて精査を求めている本年度の調査結果を分析した上で、市町村教育委員会に対し、必要な措置を速やかに講じることを求めていく考えである。

 また、児童生徒および教職員の健康相談や在籍管理など、アスベストによる健康問題への対応について、道教委における相談体制や専門機関の相談窓口など、あらためて情報提供を行い、市町村教育委員会が適切に対応できるよう指導助言していく。

佐野委員 市町村からの相談に、きめ細やかに応じる体制をつくっていくことが必要だと考える。知事部局と連携し、そうした体制を構築すべきと考えるが、見解を伺う。

村上総務政策局長 市町村への支援について。学校は、子どもたちが一日の大半を過ごす学習や生活の場であり、アスベスト対策をはじめ、安全安心な教育環境の整備は最優先で取り組んでいかなければならないと考えている。

 道教委としては、今後とも、市町村からの相談にきめ細かに対応するため、環境生活部が所管する「アスベスト問題対策連絡会議」とも一層連携しながら、必要な情報提供はもとより、技術的な助言を行うなど、支援体制の充実を図っていきたいと考えている。

―指摘―

佐野委員 これまでの議会での議論を振り返ってみたが、調査・対策を進めると答弁していた。それなのに、これほどまでにアスベストを含む断熱材の落下が広がっているのは、大変深刻である。

 今後も、煙突用断熱材等の劣化が進み、各地で破損・落下が起こってくることが考えられることから、今回の調査で終わらせず、定期的なチェックと速やかな対応ができる体制を整えることが急務である。

 早急に調査を進めるとともに、手順を標準化して費用負担を伴わず、専門業者等が直接入らなくても定期的なチェックができる体制が求められる。道立高校の点検方法を普及すれば、可能であることを指摘する。

 気づかないままにアスベストが飛散し、吸入することがあれば、のちに深刻な健康被害が予測される。

 今回のような事態を二度と繰り返さないために、環境生活部などと連携して、安全な学校を整備するために、市町村とともに取組を強めることを求める。

(道議会 2017-02-02付)

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