道教委が教師力向上推進協議会 初任者のニーズに対応を メンター研修の取組交流(道・道教委 2017-02-01付)
道教委は一月二十七日、札幌市内の道第二水産ビルで二十八年度第二回総合的な教師力向上のための調査研究事業推進協議会を開いた。校内で先輩教師が支援者となる〝メンター研修〟に取り組む文部科学省委託事業の調査研究校十校が集い、それぞれの取組内容などを発表・交流。中で、初任者のニーズや必要感に応じた研修の必要性などが挙げられた。道教委は、今後、普及啓発資料の作成・配布や研修事業での事例紹介などを通して、事業成果を普及していく。
道教委は本年度、文科省委託事業「総合的な教師力向上のための調査研究事業~メンター制等による研修実施の調査研究」を実施。学校に先輩教員によるメンターチームを設置し、初任者に必要な資質・能力を円滑かつ効果的に育成するとともに、初任者育成を通じて学校全体の教員の指導力向上を促すシステムを確立する調査研究を行い、総合的な教師力の向上に取り組んだ。
調査研究校十校を指定。各校では、先輩教師が助言者、支援者などを意味するメンターとなり、採用五年目以下の若手教員(メンティ)を育成するメンターチームを設置し、同チームによるメンター研修を進めている。
この日の推進協議会には、調査研究校の校長、教頭、チームリーダー、所管する教育局の指導主事など約三十人が参加した。
開会あいさつに立った鈴木淳義務教育課長は「二十七年十二月に示された中央教育審議会答申において、メンター方式の研修が若手教員の育成のみならず、ミドルリーダー育成の観点からも有効であることが示された。教員相互の学び合いが、お互いを成長させ合う」と指摘。「一年間の取組の成果を共有し、広く全道に普及して、メンター研修など、各学校の実態に応じて、初任段階教員の学びを組織的に支援する取組が推進されるよう努めていきたい」と述べた。
メンターチームを活用した校内人材育成などに、先進的に取り組んでいる横浜市教委の視察研修内容の説明のあと、発表・交流を実施。研究協力校が「経験の浅い教員への支援」「学校全体の活性化の取組」について、自校の取組内容を発表し、それらをもとにグループ協議を行った。
中では、「初任者のニーズや必要感に合わせた研修が大切」「初任者が本音を語れる雰囲気づくり、人間関係が大切になる」などの意見が出た。道教委の研修において、メンター研修を取り入れていく必要性も挙げられた。
感覚の共有が大事
また、北海道大学大学院教育学研究院准教授の姫野完治氏と横浜国立大学教育人間科学部附属教育デザインセンター講師の脇本健弘氏が、まとめとして、「北海道におけるメンター研修への期待」について語った。
姫野氏は「〝学ぶ教師〟と〝学ばない教師〟の分岐点は、校内に位置付けがあり、役に立っているという実感がもてること」「感覚を共有することが大切。例えば、同じ授業参観でも、ベテランは、一人の子どもと全体をみている。一方、初任者は全体だけをみている」などと助言した。
脇本氏は「北海道のメンター研修には、みんなで育てていく雰囲気、学校の実情に合った取組、分からないことを分からないと言える雰囲気がある」などと評価。「参加した教員すべての学びの場であることを忘れない」「先輩が学ぶ姿そのものが、若手教員の学びとなる」「助言は、ともに考えていくスタンスがいい」「一方的な指導やあいまいなアドバイス、メンター間の指導の違いはマイナス効果になる」などと助言した。
道教委では、普及啓発資料をまとめて各学校に配布するほか、研修事業において、メンター研修の事例を紹介するなどして、同事業の成果を普及していく考え。
(道・道教委 2017-02-01付)
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