後期中等教育段階の特別支援教育 多様な学びの場が必要 検討委で「まとめ」案協議―道教委
(道・道教委 2017-02-01付)

特別支援教育検討委
最終となった第6回検討委

 第六回北海道の後期中等教育段階における特別支援教育に関する検討委員会が一月三十日、札幌市内の道第二水産ビルで開かれた。二年間の検討を踏まえた「意見のまとめ」案について協議した。案は、①インクルーシブ教育システムの構築②教員の専門性向上の取組③学校間連携の在り方④生徒が自立し、社会参加するための教育の在り方―で構成。多様な学びの場として、高校の通級指導教室や特別支援学級の整備、教員の障がいに対する基礎的な理解、中・高校間や高校・特別支援学校間の情報、ノウハウの共有の必要性などを挙げている。それらについての協議をもとに、道教委では、「意見のまとめ」を修正、公開するほか、施策の参考にする予定。

 同検討委員会では、高校などに在籍する特別な教育的支援を要する生徒の自立や社会参加に必要な力を育成する観点から、二年間にわたって、本道の後期中等教育における特別支援教育の在り方を検討してきた。

 最終となるこの日の会合では、事務局が作成した「意見のまとめ」案をもとに協議した。

 「意見のまとめ」案は、①インクルーシブ教育システムの構築②教員の専門性向上の取組③学校間連携の在り方④生徒が自立し、社会参加するための教育の在り方―の四点が柱。

 ①では、「多様な生徒が同じ場でともに学ぶことを目指しつつ、義務教育段階での多様な学びの場が後期中等教育段階においても、同様に整備されることが必要」などと、本道の地域特性を踏まえたインクルーシブ教育システム構築の必要性を指摘。高校において、「障がいの状態に応じた適切な指導の場、連続する多様な学びの場」として、通級指導教室や特別支援学級が必要とした。

 ②の教員の専門性については、障がいに対する基礎的な理解が、発達障がいのある生徒だけではなく、生徒全体への支援にも有効であることから、「教職員が発達障がいの特性を理解し、教職員間で連携を図りながら取り組むことが大切」などと提起。個別の障がい特性などに応じた指導の必要性も指摘した。

 ③の学校間連携では、中・高校間で指導や支援の継続を図る必要性を挙げ、そのためには、「小・中学校段階から個別の指導計画および個別の教育支援計画を作成、活用する」とともに、「管理職の連携充実を図り、情報共有を行う」ことなどが大切とした。高校と特別支援学校との連携も図り、特別支援学校のノウハウ活用などを提起した。

 ④の生徒が自立し、社会参加するための教育の在り方については、地域の中の様々な機関の役割分担、福祉や医療関係者との連携、生徒が社会に出てからも安心してつながることができる仕組みづくりなどの重要性を挙げている。

 これらの案をもとに協議し、出席者からは、「ハード面、ソフト面について、早急に具体的な形にしてほしい」「保護者支援の必要性をしっかりと位置付けていただきたい」「北海道は広く、地域によって状況は違う。画一的ではなく、柔軟性のある制度をつくってほしい」などの意見が出た。

 道教委では、この日の協議も踏まえ、「意見のまとめ」内容を修正、確定し、ホームページ上で公開する。また、今後の施策の参考にしていく考え。

(道・道教委 2017-02-01付)

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