札幌英藍高で教諭向け研究成果発表会―道教委 生徒の意欲向上目指す 国語など3科目の授業公開(道・道教委 2017-02-15付)
国語総合「情報と身体」では、「身体」と「心」「精神」の関係性について考えさせた
道教委主催、石狩教育局主管の「高校生の基礎学力の定着に向けた学習改善のための調査研究事業」研究成果発表会が七日、札幌英藍高校(田中俊一郎校長)で開かれた。全道から高校教諭など四十五人が参加。生徒たちの学習意欲の向上を目指し、テーマ「思考力・判断力・表現力を目指した授業改善に向けて」のもと、国語、数学、英語の三科目の授業公開を実施した。
同事業は、文部科学省の委託を受けて実施しているもの。本年度、その実践研究校として同校が選ばれた。同校は、高校教育・大学教育と入学者選抜を通じた高大接続改革を推進するため、生徒の学習意欲の向上や家庭学習の定着を図っている。そのため、道教委が実施する学力テストや試行テスト(仮称)などを取り入れ、実効性のあるPDCAサイクルの確立を目指している。
発表会では、研究実践の発表および協議などを行い、研究成果の共有化を図った。
◆生徒の思考を補助
この日、三科目の公開授業を実施。うち、一年六組(鶴見充展教諭、生徒四〇人)では、国語総合を公開。鶴見教諭は、生徒の学習上の課題を「分からないことがあっても質問しない、できない」「目の前にある問題点が先にどうつながるかをみない」と認識したことから、「生徒の思考を補助するコミュニケーションの工夫」を研究。質問できる雰囲気づくりや、知識や思考がどのようにつながるかを具体的に示唆できるよう努めている。
本時は、吉岡洋著の評論『情報と身体』から、「情報」と「身体」について考え、現実を批判的にとらえる目を養うことが目標。鶴見教諭は、導入で「身体と対になるものは何か」と発問し、多くの生徒から、「心」「精神」との解答を引き出した。
その解答に関連して、近代哲学者デカルトが『方法序説』の中で提唱した「我思う故に我あり」を紹介。その意味を踏まえ、「自分がなぜ、存在しているのか考えたことはあるか」と問いかけ、自分の“身体”だと認識するためには、どのような方法があるかを考えさせた。生徒からは、「他者の手などに触って比較する」「五感を働かせてみる」などの意見が上がった。
その上で、鶴見教諭は、自分の身体を認識するために、他者と体を比較する方法があることを説明した。その方法によって、「人が集まり、情報や文化などが行き交い、社会を形成することにもつながる」と話した。
最後に、「“身体”は精神や心のつながりだけではなく、多くの“情報”にふれることで、社会とつながることができる」と述べ、作者が考える「身体」の性質について理解させた。
(道・道教委 2017-02-15付)
その他の記事( 道・道教委)
文科省 小・中学習指導要領改訂案公表 小5・6で外国語を教科化 全教科で「主体的・対話的で深い学び」
文部科学省は十四日、小・中学校の学習指導要領と幼稚園の教育要領の改訂案を公表した。小学五・六年で実施している「外国語活動」を小学三・四年に前倒しし、五年からは教科書を使う正式な教科「外国語...(2017-02-16) 全て読む
29年度公立高入選出願変更後の状況 全定合計36、732人 平均倍率は0.01ポイント上昇
道教委は十四日、二十九年度公立高校入学者選抜出願変更後の状況(三日現在)を発表した。出願者数は、当初出願時から十三人増え全定合計三万六千七百三十二人。全定平均の倍率は、〇・〇一ポイントアッ...(2017-02-15) 全て読む
道子どもの未来づくり審議会 2割弱が就学援助受給 生活実態調査速報値を報告
二十八年度第二回道子どもの未来づくり審議会が十三日、札幌市内のかでる2・7で開かれた。道が実施した子どもの生活実態調査結果の速報値を報告した。家計の状況をみると、小学校二年生・同五年生・中...(2017-02-15) 全て読む
代表高校長研で道教委所管事項説明(上) 政治的中立性確保を要請 生徒に様々な見解提示して
道教委主催の二十八年度第四回全道代表高校長研究協議会(七日、道庁別館)では、各課等の担当者が所管事項について説明した。政治的教養を育む教育の充実に努めるよう要請するとともに、「学校は、教育...(2017-02-15) 全て読む
教育の情報化セミナーin上川―道教委 ICTで授業改善を 東京学芸大・高橋氏が講演
【旭川発】道教委は十三日、上川合同庁舎で「教育の情報化セミナー2017in上川」を開いた。東京学芸大学教育学部の高橋純准教授が「次期学習指導要領に向けた授業におけるICT活用」と題して講演...(2017-02-15) 全て読む
1、179人が合格 公立特別支援高等部の入選状況―道教委
道教委は十三日、二十九年度公立特別支援学校(高等部)入学者選考検査における合格者の状況を発表した。札幌市立山の手養護普通科を除く、視覚障がい、聴覚障がい、知的障がい、肢体不自由、病弱の計六...(2017-02-15) 全て読む
道教委 インターネット教育モニター 本道の高校教育に関し調査 望む能力は問題解決力
道教委は、インターネット教育モニターの二十八年度第二回アンケート調査結果をまとめた。テーマは、「高校教育に関する調査」。本道の高校教育で、生徒に身に付けてほしい資質・能力は、「自ら考え、判...(2017-02-14) 全て読む
道教委が「がん教育」研修会 教育活動全体で活用を
道教委は九日、札幌市教育文化会館で二十八年度「がん教育」研修会を開いた。文部科学省委託「がんの教育総合支援事業」の一環。実践発表や協議などを通して、がん教育自体を目的とするのではなく、学校...(2017-02-14) 全て読む
釧路局 ミドルリーダー研修会開催 室山義務教育指導監が講話等 前年踏襲から脱却を
【釧路発】釧路教育局は七日、釧路教育研究センターで二十八年度第三回管内ミドルリーダー研修会を開催した。同教育局の室山俊美義務教育指導監が「教育課程の改善に向けてミドルリーダーに期待すること...(2017-02-14) 全て読む
第3回道私学審議会開く 18件の認可申請認める 星槎国際の指導施設追加等
二十八年度第三回道私立学校審議会が九日、道庁別館で開かれた。収容定員にかかる学則変更認可など十八件の諮問事項について審議し、すべての認可を認める旨、答申した。 諮問事項は、収容定員にか...(2017-02-13) 全て読む