代表高校長研で道教委所管事項説明(上) 政治的中立性確保を要請 生徒に様々な見解提示して(道・道教委 2017-02-15付)
道教委主催の二十八年度第四回全道代表高校長研究協議会(七日、道庁別館)では、各課等の担当者が所管事項について説明した。政治的教養を育む教育の充実に努めるよう要請するとともに、「学校は、教育基本法に基づき、政治的中立性を確保することが求められる」「教職員については、多様な見方や考え方のできることがら等を取り上げる場合には、生徒の考えや議論が深まるよう様々な見解を提示すること、特定の見方や考え方に偏った取り扱いによって、生徒が主体的に考え、判断することを妨げることのないよう十分に留意することが必要」と留意点を示した。説明概要はつぎのとおり。
◆高校教育課
【二十九年度公立高校入学者選抜】
各学校においては、入学者選抜業務にミスが生じないよう、点検、再点検を徹底するなど、引き続き、細心の注意を払っていただきたい。
▼入学者選抜業務における留意事項
▽学力検査の監督業務
一月十五日に実施された大学入試センター試験において、「簿記・会計」を受験した本道の受験生六人が電卓を使用したため、不正行為とされたとの報道があった。
高校入学者選抜の学力検査において、受検者が持参すべきものは一般要項に定めており、各学校においては、教職員全員であらためて確認するとともに、受検者に対して周知を徹底し、こうした問題の未然防止に努めていただきたい。
▽採点ミス等の防止
近年、他都府県において採点ミス等が発生していることを踏まえ、昨年度同様、道教委では、「二十九年度道立高校入学者選抜学力検査等実施要領」を作成し、送付した。
各学校においては、本実施要領を踏まえ、遺漏なく公正かつ厳正に学力検査および採点にかかる業務を実施していただきたい。
▽英語の聞き取りテストの実施
昨年度、放送機器のトラブルによって代替問題を実施した学校は一校。
各学校においては、放送機器や音量の点検などを入念に行っていただきたい。
なお、放送機器の音量調整の実施期間は二月十六日までとしているが、その後も学力検査の前日や当日の点検を確実に実施していただきたい。
また、放送機器の突発的な不具合など、不測の事態が起こった場合、適切に対応できるよう、あらかじめ「二十九年度道立高校入学者選抜学力検査等実施要領」を教職員全員で確認していただきたい。
▽第二次募集の実施
合格発表から第二次募集の合格発表までは、短期間に多くの業務が続くため、中学校、高校間における連絡体制の整備が重要。
昨年十一月に中学校および高校に送付した『〝合格発表〟から〝第二次募集の合格発表〟までの入学者選抜業務マニュアル』等を活用し、適切に実施していただきたい。
▼入学者選抜における配慮事項
▽入学者の選抜
出願者が募集人員に満たない場合は、特別の支障がない限り全員を入学させるよう、配慮いただきたい。
▽東日本大震災によって被災した生徒の出願
二十八年十二月十五日付教高第一六四一号通知に基づき、つぎの点について適切に対応いただきたい。
・被災した生徒の出願に当たっては、出願事情説明書等によって、事情を確認の上、可能な限り出願を認めること。なお、判断が困難な場合は、教育局に相談すること。
・道外からの出願による合格者の中に被災した生徒が含まれる場合は、道内の受検生への影響に配慮して、募集人員を超える合格も考えられるので、その際は、高校教育課長と協議すること。
・入学検定料等の減免措置については、「著しく大規模な災害による被災者にかかる道立高校入学者検定料等の免除取扱要領」(二十三年七月二十六日教育長決定)によって対応すること。
▽特別な事情がある生徒の受検
児童自立支援施設に入所しているなど、特別な事情がある生徒に対しては、質問内容に十分配慮しながら適切に面接を実施していただきたい。
▽入学者選抜実施状況報告
校務支援システムの「入選実施状況報告書作成機能」を活用し調査票を作成の上、期日までに報告していただきたい。入力の方法等は昨年度と同様。
『公立高校入学者選抜状況報告書』における「学力検査結果の概要」「学力検査問題正答表」「学力検査問題領域別正答率」については、『公立高校入学者選抜状況報告書(速報版)』として、本年度同様、六月に公表する予定。
また、中学校における学力向上に資するため、本年度同様、学力検査問題領域別正答率の中学校別資料を各中学校に送付する予定。
【三十年度入学者選抜における学校裁量にかかる事項】
学校裁量にかかる事項の調査は、三月上旬に通知、五月上旬を報告締切とし、公立高校配置計画案が示されたあとの六月中旬に公表する予定。
各学校においては、例年同様、早めに学校裁量にかかる事項を検討していただきたい。
【教育課程の編成・実施】
▼二十九年度教育課程表の提出および点検
二十九年二月二日付教高第一九二七号通知「二十九年度高校教育課程の届出について」に基づき、作成、届出いただきたい。
教育課程A、B表の教育局への提出期限は三月十三日。
教育課程C、D表、学校教育目標等、生徒用時間割表および教師用時間割表の教育局への提出期限は四月十日。
C表の作成にかかわり、学習指導要領に示された基準に従うことはもとより、前年度の実施状況を十分に検証しながら、計画を立案いただきたい。
土曜日授業については、D表によって実施報告していただくとともに、次年度の計画を立て、C表にその旨記載いただきたい。
▼学校設定教科・科目の設定、届出
二十五年度以降、学校設定教科・科目を実施する場合は、「学校設定教科・科目」設定届の提出が毎年必要となっており、届出の締切は三月十五日。
新規の学校設定教科・科目については、円滑な実施に向けて、事前に教育局と十分連携を図り、可能な限り早めに届出を提出していただきたい。
▼準教科書および教材の選定・届出
二十六年六月九日付教高第四一四号通達「準教科書および教材の選定・届出について」に基づき、適切に対応いただきたい。
▼次年度の使用教科書採択
本年度、全国的に高校用教科書の採択にかかわって不適切な行為が判明した。教科書の選定に当たっては、対外的に説明責任を果たすことができるよう、「教科書選定委員会」において、「教科書採択に関する基本方針」「教科書採択に関する観点」などに基づき適切に実施するとともに、資料を整備・保存していただきたい。
次年度に行う三十年度に使用する教科書の選定に当たっては、教育長の採択後に、教科書の変更や追加がないよう十分に確認していただきたい。
▼英語教育の充実
▽英語教員および生徒の英語力の向上
道教委では、二十九年度までに、英検準一級以上等を取得している高校の英語教員の割合を七五%以上、高校卒業段階で、英検準二級以上を取得している生徒、または同程度の力を有していると考えられる生徒の割合を五〇%以上とすることを目標としている。
「CAN-DOリスト」の作成・活用や、授業における英語担当教員の英語の使用、ならびに英語担当教員の積極的な外部検定試験の受験など、教員および生徒の英語力向上に向け、引き続き取り組んでいただきたい。
▽グローバル化に対応した英語教育指導力向上研修
本研修は、外国語(英語)担当教員に対し、英語指導力の向上を図ることを目的として、二十七年度から実施している。
本研修において、講師となる英語教育推進リーダーを派遣いただいている学校には、感謝申し上げる。
本研修は、三十一年度まで実施し、最終的には全高校の全英語担当教員に対して実施することを予定しており、計画的な対応が必要。
各学校においては、本研修の意義と趣旨を踏まえ、教員の派遣に配慮いただきたい。
▼授業時数の確実な確保
臨時休業等によって、教科・科目の授業時数が一単位当たり三十五単位時間を下回ることが見込まれる場合には、生徒の負担等に配慮しつつ、年度末までの授業時数を見通した上で、午前授業の見直しや七時間目の設定、土曜授業の実施、学年末休業の短縮など、不足時数を補うための対策を確実に講じていただきたい。
また、ホームルーム活動についても、三十五週以上の実施を適切に行っていただきたい。
▼学校における政治的教養を育む教育
▽政治的教養を育む教育の一層の充実
選挙権が十八歳以上に引き下げられてから初めての国政選挙である参議院議員通常選挙が昨年七月に行われ、高校生の投票に注目が集まった。今後も、高校生の投票や学校の指導に対する関心が高まることが想定される。
生徒が政治参加の重要性や選挙の意義についてより理解を深めるとともに、有権者として自らの判断で権利を行使することができるよう、引き続き、学校における指導の充実を図ることが必要である。
各学校においては、作成した指導計画に基づき、国が作成した副教材を効果的に活用するなど、政治的教養を育む教育の一層の充実を図っていただきたい。
▽政治的中立性の確保
本年度は、道立高校において、教員が授業において特定のことがらを強調したり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなどして政治的中立性が疑われるなど、生徒や保護者、地域住民の信頼を損ないかねない事案が発生している。
二十八年八月二十九日付事務連絡「高校等における政治的教養の教育について」のとおり、学校は、教育基本法第一四条第二項に基づき、政治的中立性を確保することが求められるとともに、教職員については、多様な見方や考え方のできることがら、未確定なことがら、現実の利害等の対立のあることがら等を取り上げる場合には、生徒の考えや議論が深まるよう様々な見解を提示すること、特定の見方や考え方に偏った取り扱いによって、生徒が主体的に考え、判断することを妨げることのないよう十分に留意することが必要である。
各学校においては、政治的教養を育む教育が適切に行われるよう、教職員に対し、指導を徹底いただきたい。
▼ICTを活用した指導力の向上
二十七年度「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」において、本道の高校教員のICTを活用した指導力は、全項目において全国平均を上回っているが、教育におけるICTの重要性を考慮すると、今後も、向上に努めることが必要である。
各学校においては、校内研修で、授業中でのICTの活用方法などを取り扱うなどして、教員のICT活用指導力の向上に取り組んでいただきたい。
【卒業式等における国旗・国歌の実施】
学習指導要領および二十八年八月二十三日付教義第九四三号学校教育局長通知に基づき、適切に実施していただきたい。
【自然環境下で行われる教育活動における事故防止】
宿泊研修において、ハイキングやスキー授業を実施している学校もあるが、山岳部等の部活動を含め、自然環境のもとで行われる教育活動については、火山噴火や地震など自然災害のほか、天候や地理的、地形的な条件の影響による不測の事故が発生する可能性が高いことを踏まえ、参加する生徒の安全確保について細心の注意を払うことが必要である。
二十六年十二月十八日付教高第一四四四号「自然環境のもとで行われる教育活動における事故防止について(通知)」を参照し、自校における「安全に配慮した活動計画の作成」「安全指導の徹底」等に留意し、危機管理体制の一層の充実を図っていただきたい。
【各種事業等】
▼道高校学力向上実践事業
▽学力テスト
二月十五日から三月末日までの間に、すべての道立高校で一年生(中等教育学校は四年生)を対象に実施する。
近日中に問題等を送付するので、実施要領に基づき適切に実施していただきたい。
▽教材作成
教材作成については、これまで、推進校および協力校において精力的に進めていただいており、感謝申し上げる。
本年度作成した教材については、年度内に高校教育課のホームページに掲載する予定。
▽授業実践講座
本年度、「教科指導講座」には百九十二人、「進学指導講座」には九十七人、「ICT活用講座」には二十四人が参加している。
スペシャリストの派遣や教員の参加に配慮いただき感謝申し上げる。
今後、「授業実践講座」の参加者は、課業期間における成果の活用等に関する事後アンケートに回答すること、「教科指導講座」「ICT活用講座」の参加者は、実践事例を提出することとなっているので、二月末日までに提出するよう、指導いただきたい。
▽ハイレベル学習セミナー
一月に深川市で開催した全道セミナーには、全道二十三校九十一人が参加。また、本年度から実施した地区セミナーには、九校百四十八人が参加した。
セミナーの様子については、高校教育課のホームページに掲載している。
全道セミナーの参加者アンケートでは、「大いにためになった」が六六・六%、「ためになった」が二八・六%であり、高い満足度となっている。
次年度も講師の派遣や生徒の参加について、配慮いただきたい。
▼道高校学習状況等調査
経年比較の観点から、昨年度とほぼ同じ調査項目で、一年生(中等教育学校は四年生)全員を調査対象として実施する。
▼U―18未来フォーラム
二月三日に全道フォーラムを開催し、拠点校八校が一堂に会して、実践発表やICTを活用した交流などを実施した。フォーラムの様子については、後日、高校教育課のホームページに掲載する。
また、年度末までに、拠点校が近隣の高校の教員等を対象に、ICTを活用した海外協力校との交流に関する取組について説明や協議等を行う「地区フォーラム」を開催する予定。近隣の学校においては、教員の積極的な派遣について、配慮いただきたい。
▼地域医療を支える人づくりプロジェクト事業
「高校生メディカル講座」「地域医療体験」については、本事業の指定校および協力校によって十四管内すべてで実施、または、これから実施予定。関係の学校の協力に感謝申し上げる。
昨年度に本事業の実施要綱を改正し、指定校および協力校を毎年度公募することとしている。次年度の指定校および協力校の公募については、年度内に行う予定である。
二十九年度の「メディカル・キャンプ・セミナー」は、八月七~十日にネイパル深川で実施予定。
内容等については、今後、各医育大学および関係機関等と調整し決定。次年度も、教員の派遣および生徒の参加について、特段の配慮をお願いする。
【北方領土の学習の充実】
▼教員の研修の充実等
二十八年五月十一日付教義第二五九号通知「北方領土問題に関する研修や事業等の周知について」に基づき、独立行政法人北方領土対策協会等が行う研修や事業への教員等の参加について、次年度以降も配慮いただきたい。
また、各学校において、同協会のホームページに掲載されているつぎの動画等の活用について、教職員に周知いただきたい。
・動画「北方領土エリカちゃん」
・教材「北方領土学習教材集」
▼諸事業への協力
つぎの諸事業について、次年度以降も、生徒に応募の働きかけをお願いする。また、こうした事業の周知を通して、北方領土問題への関心を高めさせるなど、北方領土学習の充実を図っていただきたい。
・「〝北方領土の日〟ポスターコンテスト」
・「〝北方領土を考える〟高校生弁論大会」
▼アニメ映画「ジョバンニの島」の活用
北方領土における実話をもとに制作された映画「ジョバンニの島」は、北方領土に関する生徒の興味を高め、理解を深める上で有効な素材である。
本映画については、二十六年十二月二十五日付教義第一四八五号通知「北方領土を舞台にした映画〝ジョバンニの島〟の活用等について」のとおり、芸術鑑賞会等での上映の検討や図書館用DVDおよび原作図書の配置等に配慮いただきたい。
本年度は、室蘭東翔高校、旭川工業高校、別海高校の三校の主催で上映会を開催していただき、感謝申し上げる。
次年度についても、上映会の実施を計画しており、実施する管内については現在調整中。三月以降に関係教育局を通じて相談させていただくので、検討をお願いする。
【特別支援教育】
▼高校における特別支援教育支援員配置事業
本年度は、九月に三校を追加し、合計で十二校を特別支援教育支援員配置校として決定した。
本年一月に特別支援教育支援員配置事業実施要綱の一部を改正し、支援を行う対象を発達障がいを含む障がいのある教育上特別な支援を必要とする生徒とした。
次年度の支援員の配置校については、二十九年一月十七日付教高第一八一三号通知「教育上特別な支援を必要としている生徒の状況および支援の状況の把握について」調査によって各学校の状況を把握し、予算の範囲内で決定する予定である。
▼進級・卒業に向けた適切な指導
教育上特別な支援を必要としている生徒に対しては、チーム・ティーチングや個別指導などによるきめ細かな学習指導に努めるとともに、定期的に補習を行うなど、生徒の実態に応じた様々な方策を講じていただきたい。
単位の認定に当たっては、障がいのあるなしにかかわらず、授業における生徒の取組状況や課題の提出状況、補習の出席状況など、個々の生徒の学習状況を十分に考慮しながら、多面的に評価を行っていただきたい。
▼三十年度からの通級による指導の導入に向けて
二十八年十二月十六日付教高第一六五三号で通知したとおり、学校教育法施行規則の一部を改正する省令等が公布され、三十年度から高校における通級の指導を実施できるようになった。
道教委では、国のモデル事業を実施している道立高校三校の成果や課題等を踏まえ、三十年度からの導入に向けた準備を進めていくこととしている。
【学校評価】
二十七年度の学校評価を自校のホームページに掲載し公表している学校は一〇〇%。
今後も、保護者はもとより、広く地域住民に学校の状況を理解していただくために学校評価を公表するとともに、学校評価の結果を学校運営の改善に生かしていただきたい。
【進路指導】
▼二十九年三月新規高校卒業予定者の就職内定状況(十二月末現在、道労働局調査)
求人倍率は、前年同期比〇・一七ポイント増の一・九六倍。
▼二十九年三月公立高校卒業予定者の就職内定状況(十二月末現在、道教委調査)
就職希望生徒数は、前年同期比二百六十六人減の八千六百四十七人。就職内定生徒数は、三十三人減の七千六百六十一人。就職未内定生徒数は、二百三十三人減の九百八十六人。就職内定率は、二・三ポイント増の八八・六%になっている。
▼就職を希望する生徒への支援
昨年十一月に道経済部と連携して、道内の求人状況・求職状況などについて理解を深めるとともに、効果的な就職支援策等について研究協議を行う「全道新規高卒者就職対策会議」を開催した。
各学校においては、就職が内定していない生徒に対し、最寄りのハローワークに求職登録し、就職相談を受けるよう働きかけるほか、地元企業を積極的に訪問するなど、求人の確保に向けた取組を一層推進していただきたい。
▼就職試験を一度も受験していない生徒への指導
就職を希望しながら就職試験を一度も受験していない生徒は、十二月末現在三百四十八人となっており、昨年に比べ百十四人減少。
各学校においては、希望する求人を待っている生徒の対応等も含め、進路相談員を積極的に活用した進路相談や情報提供を行うなど、就職先が決定するまで粘り強くチャレンジするよう指導していただきたい。
▼労働に関する教育の充実
昨年十一月に、各教育局の進路相談員を対象に、道労働局の労働紛争調整官を講師として労働法制について講義を行う「進路相談員研修会」を実施した。
各学校においては、進路相談員による講演を実施するなどして、生徒の労働に関する知識等が高まるよう計画的に取り組んでいただきたい。
【キャリア教育】
▼キャリア教育の推進
生徒の進路希望等が多様化し、進路を取り巻く状況が大きく様変わりしている中、社会的・職業的自立に向け必要な基盤となる資質や態度を育み、キャリア発達を促すキャリア教育を充実させることが重要。
各学校においては、インターンシップの実施や様々な体験活動などの取組を、教育課程に適切に位置付け実施するとともに、その内容の充実に努めていただきたい。
▼インターンシップの充実
インターンシップについては、道立中等教育学校を含むすべての全日制道立高校において実施されているものの、職業学科の生徒の九六・五%が在学中にインターンシップを経験しているのに対し、普通科の生徒は四五・二%、専門学科の生徒は五四・八%にとどまるなど、依然として取組に差がみられることや、実施日数についても、二十七年度は、体験した生徒の七割近くが二日以内の実施にとどまっている。
普通科においては、二十六年五月に作成・配布した『普通科における効果的なインターンシップ指導事例集』を活用するなどして、二十九年度に向け、一人でも多くの生徒が体験できるよう内容の充実を図っていただきたい。
また、職業学科や専門学科においても、実施期間や回数を拡大するなど、内容の一層の充実を図っていただきたい。
▼早期離職の防止
本年度の道労働局の調査によると、道内新規高卒者が卒業後から三年間に離職する割合は四八・七%であり、全国平均と比較すると八ポイント程度高い状況。
各学校においては、引き続き、自分の能力・適性、職業に対する理解の深化やコミュニケーション能力の育成を図るため、入学当初から計画的に行う進路相談の実施はもとより、地域の職業人を講師とする職業講話や進路ガイダンスを実施するなど、地域や企業等との連携を深めた取組の一層の充実を図っていただきたい。
また、道経済部と連携した就職活動時や就職後などの各ステージにおけるきめ細かな支援を行うための「若者早期離職防止総合対策プログラム」における「じもと×しごと発見フェア」に積極的に取り組むなどして、早期離職の防止を図るよう努めていただきたい。
【スマートフォンの使用に対する指導】
各学校において、二十七年三月三十日付教高第二一一五号通知「高校生のスマートフォン等の使用に対する指導について」に基づき、生徒による主体的な取組を推進し、スマートフォンの使用についてのルールを定めるなど、スマートフォン等を適切に使用することができるよう、道高校長協会、道高P連および道教委の申し合わせに基づく取組を一層推進していただきたい。
また、二十八年六月十三日付教高第五〇九号通知「〝情報化社会の新たな問題を考えるための教材~安全なインターネットの使い方を考える〟指導の手引き等について」で送付した教員向け、保護者向け資料を積極的に活用し、学校と家庭が一体となって、情報モラル教育を推進していただきたい。
なお、道子どもの生活習慣づくり実行委員会が二月三日付で発出したアンケート調査を活用して、各学校のスマートフォン等の使用時間の縮減などについての取組状況を把握する予定である。
【海外からの教育旅行の受入れ】
グローバル化が進展する中、海外の高校生等が日本を訪れ、併せて、学校を訪問する「教育旅行」を受け入れることは、諸外国の人々と互いの歴史や文化、習慣等を理解し合い、異なる文化や生活習慣をもつ人々と協調して生きていく態度を育成する上で、意義があるもの。
また、より多くの学校が海外からの教育旅行を受け入れることができるよう、道教委のホームページに、受入れを希望する学校の情報等を掲載し、市町村との連携も一層強化しながら、海外からの教育旅行の受入れ体制の充実に努めている。
各学校においては、今後、情報提供や資料作成の依頼があった場合には協力いただきたい。
【日本の次世代リーダー養成塾】
本養成塾は、各界の著名人による講義や企業人を交えたディスカッションなど、多彩なカリキュラムで構成され、全国から集まった高校生と二週間の合宿生活を送る中で、明日を拓く人材を育もうとする取組であり、北海道も参画県の一つとして道内の高校生を派遣する事業を実施する。
本年度は、公私立合わせて十一人が応募、面接試験等を経て十一人が選ばれ、昨年七月二十四日~八月六日に福岡県宗像市と佐賀県唐津市で開かれた養成塾に参加した。
参加者からは、「とても貴重な経験ができ、想像以上に得たものが大きかった」「志の高い高校生と交流を深め、高め合うことができた」など、充実した体験ができた旨の感想が出されており、高校生の視野を広げる上で効果が高いと認識している。
参加者のあった学校においては、体験発表を行う機会を設けるなどして、本養成塾への参加の成果をほかの生徒に還元いただきたい。
ここ数年、公立高校からの応募が少ない状況であり、各学校においては四月からの募集に向け、生徒および保護者に対して積極的な働きかけをお願いする。
【化学薬品の保存・廃棄】
道立高校において、授業の予備実験で使用した理科薬品の廃棄処理が不適切であったことが原因で、化学生物教室の床および教壇の一部を損傷したほか、プロジェクターおよび顕微鏡を焼失する火災事故が発生した。
また、道外の高校において、燃料用に購入しポリタンク等に保存された灯油にナトリウムを入れて保管しようとした際、爆発事故が発生した。
薬品の保管・管理の定期的な点検、確認はもとより、理科薬品使用後の廃液処理および廃棄が適正に行われるよう職員に対し指導の徹底を図っていただきたい。
【コミュニティ・スクールの設置拡大】
道教委では、中央教育審議会の「新しい時代の教育課程や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について(答申)」(二十七年十二月)や地域の意見に加え、モデル校における成果を踏まえ、学校運営協議会を設置する道立高校を拡大することとした。
(道・道教委 2017-02-15付)
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