【解説】奨学金、７割超が返済に不安

（解説 2017-02-23付）

　全国大学生活協同組合連合会は、組合員を対象に行った「奨学金制度に関するアンケート」の結果を公表した。奨学金を利用している学生は五六・三％と半数を超え、このうち、七割以上が返済ができるか不安と回答した。

　調査は昨年十一～十二月、全国の国公立および私立大学の学部学生・院生を対象に実施。一千七百二十七人から有効回答を得た。

　全体の五六・三％が奨学金を利用。住まいの形態別にみると、寮生が六八・四％、下宿が（アパート）五七・二％、自宅が五二・九％。利用の内訳は、貸与型（有利子）が四〇・三％、貸与型（無利子）が四一・三％で、給付型は三・〇％だった。

　奨学金の利用目的では、「授業料を賄うため」（六八・六％）と「生活費を賄うため」（六九・七％）がともにほぼ七割を占め、制度の利用が大学生活の維持に不可欠となっている状況がうかがえる。

　月々の貸与額は、「三～五万円」が三三・六％、「五～八万円」が三四・一％。返済について、七四・三％が「返済できるか不安である」と回答。「返済の見通しが立っている」のは四七・三％、五〇・〇％は「立っていない」と答えた。

奨学金に関する事柄への考えでは、「奨学金制度利用時の制度の説明は十分だと思うか」との問いに「はい」と回答したのは三四・七％で、「いいえ」と回答した学生も三四・二％いた。給付型奨学金制度の創設に七六・七％が、無利子奨学金の対象拡大についても七八・八％が「賛成」と回答している。

自由記述では、「奨学金を入学金と学費に充てたため、目指していた派遣留学をあきらめた」「奨学金返済が困難なことが予想され、結婚をあきらめている」などと先行きに不安を抱く声が多かった。

(解説 2017-02-23付)