【解説】高等教育の将来構想、中教審に諮問
(解説 2017-03-09付)

 松野博一文部科学相は六日の中央教育審議会(中教審)総会で、二〇四〇年ころの社会を見据えた高等教育の将来構想を諮問した。経済社会の変化やグローバル化の急速な進展、十八歳人口が減少する中、大学などの在り方を総合的に議論することを要請。高等教育全体の規模を視野に入れ、地域での国公私立の枠を越えた連携・統合を含む抜本的な構造改革についても検討するよう求めた。

 二月に任命された第九期の委員による初めての総会で、第八期に続き三井住友銀行取締役会長の北山禎介氏が会長に選ばれた。

 諮問では、あらゆるモノがネットにつながるIоTなどの第四次産業革命や、二〇一六年には約百十九万人だった十八歳人口が二〇四〇年には推計で約八十万人になるといった環境の変化を指摘。「人材育成と知的創造活動の中核である高等教育機関が、一層重要な役割を果たすことが求められる」と強調した。

 その上で、二〇四〇年ごろの社会を見据えた、わが国の高等教育に関する将来構想について、①各高等教育機関の機能の強化に向け早急に取り組むべき方策②変化への対応や価値の創造等を実現するための学修の質の向上に向けた制度等の在り方③今後の高等教育全体の規模も視野に入れた、地域における質の高い高等教育機会の確保の在り方④高等教育の改革を支える支援方策の在り方―の四点について、総合的な検討を求めた。

 一方、昨年十二月に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略(二〇一六改訂版)」において、地方大学の振興、東京における大学の新増設の抑制や地方移転の促進などについての対策を、教育政策の観点も含め総合的に検討し、今夏にも取りまとめることとされている。今回の諮問事項の審議に当たっては、この点についても併せて検討することを要請した。

(解説 2017-03-09付)

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