【解説】「原発いじめ」文科省実態把握へ
(解説 2017-03-15付)

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で福島県外に避難している子どもへのいじめが各地で明らかになった問題で、松野博一文部科学相は十日の閣議後記者会見で、「年度末を迎えるに当たり、状況を把握したい」と述べ、全国の避難児童生徒に対するいじめの発生件数や学校の対応、解決状況などについて調査する方針を明らかにした。

 昨年十一月、横浜市で原発事故の影響で福島県から避難している中学一年の男子生徒が避難直後から小学校で、同級生から多額の金銭を要求されるなど、いじめを受けていたことが発覚。その後、新潟市や東京都千代田区、川崎市などでも同様のいじめがあったことが判明した。

 こうした問題を受け、文科省は十二月、各学校で避難児童生徒らがいじめられていないか確認し、被害者支援などの対応を取るよう全国の教育委員会などに通知した。

 原発いじめ問題は、十二月の四定道議会でも取り上げられ、柴田達夫教育長は「本道においては、現在、札幌市以外の公立学校で二百十九人の児童生徒を被災地等から受け入れており、このたびの事案を受け、市町村教委や学校に対して緊急調査を行った結果、震災を理由としたいじめの発生は確認されなかった」ことを明らかにした。

 一方、法務省は先月中旬に法務局などに出した通知で、いじめが疑われる場合は学校に対応を求めるのか、警察と連携して対応するのかなどを判断し、「人権侵犯事件」として取り扱うように求めた。

 文科省は、近く小・中・高校でのいじめの件数や解消したかどうかの報告を求め、結果を公表する。松野文科相は会見で、「通知のフォローアップとして状況を把握し、偏見、差別に基づくいじめ防止に努めていきたい」と語った。

(解説 2017-03-15付)

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