千歳市の29年度教育行政執行方針―宮崎教育長が説明 学力向上へ啓発資料作成 学習支援員配置を拡充(市町村 2017-03-15付)
千歳市教委・宮崎肇教育長
千歳市教委の宮崎肇教育長は一日、第一回定例市議会で二十九年度教育行政執行方針を説明した。学力向上や家庭学習の定着を図るため、「学力向上パンフレット」を作成し、全小・中学校の児童生徒や保護者に配布するほか、学習支援員を小学校で増員、中学校で新たに配置する。また、外国語の教科化に向け、「千歳市外国語教育推進協議会」を設置し、「積極的に英語によるコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度を育成する」との考えを示した。
執行方針の概要はつぎのとおり。
▼ふるさと千歳への感謝と希望を育てる
▽学年・学級経営
子どもたちの学校生活における意欲や満足度の調査を行う「ハイパーQU検査」を年二回実施し、検査結果をいじめ・不登校の未然防止や学力の向上などに効果的に活用する。
▽教育相談の体制
スクールカウンセラーや心の教室相談員、スクールソーシャルワーカーを活用し、児童生徒や保護者、教員の悩み・不安のほか、不登校やいじめ、暴力行為、児童虐待など生徒指導上の課題にきめ細やかな対応を行う。
▽いじめ・不登校問題
いじめ問題については、年四回実施する「いじめアンケート調査」や全小・中学校に設置している「いじめ相談ボックス」を活用するとともに、「いじめ問題等対策連絡協議会」と連携し、いじめの未然防止、早期発見、早期対応に取り組む。また、全小・中学校において「人権教室」のほか、いじめ問題についての共通理解を図り、未然防止に向けた全市的な取組を推進する「なかよしさわやかDAYいじめシンポジウム」を開催し、命の大切さと人を思いやる心の教育を推進する。
不登校対策については、学校適応指導教室「おあしす」での体験活動や集団活動を通じて、集団生活における適応能力の向上を図るなど、不登校児童生徒の一日も早い学校復帰に取り組む。
▽就学支援の充実
本市独自の給付型奨学金について、高校生および大学生の交付人数をそれぞれ拡大し、学習する意欲と能力があるにもかかわらず、経済的に修学が困難な学生・生徒が等しく教育を受ける機会の確保を図る。
▽家庭の教育力の向上
子どもたちの家庭学習の時間が少ないことや、メールやインターネットを使用する時間が長いなどの状況に変化がみられないことから、新たに学力の現状や課題、学力の必要性、家庭学習の重要性などを分かりやすく解説した「学力向上パンフレット」を作成し、全小・中学校の児童生徒や保護者に配布するとともに、「家庭生活宣言推進委員会」と連携し、各単位PTAへの普及啓発を行うなど、規則正しい生活習慣や学習習慣の定着に取り組む。
▽地域の教育力の向上
地域や保護者が学校運営に参画し、学校・家庭・地域が一体となって子どもの豊かな育ちと学びを支える「コミュニティ・スクール」の導入に向け、新たに調査研究校を指定し、具体的な検討を進める。
▼国際都市千歳にふさわしいグローバルな感覚を育てる
▽教員の資質・能力
学校指導訪問や授業におけるICT機器の発展的な活用、学力向上検討委員会の運営、小中連携の推進など、学校と連携した取組を促進するため、「学校指導室」に配置している「学校教育主事」を増員し、学校指導体制の充実を図るとともに、教員の授業改善、指導力向上のため、校内研修や市主催の各種研修会を開催する。
▽学校間の連携
中一ギャップの解消や学力向上を図るため、義務教育の九年間を見通した系統的な教育活動としての「小中連携・一貫教育」の導入に向けた具体的な検討を進めるとともに、小学校における幼稚園、保育所等との相互交流を引き続き実施するなど、幼保小連携の促進に努める。
▽ICT教育
子どもたちの学習に対する意欲や関心を高め、より効果的な授業が展開できるよう、小・中学校の少人数指導教室や音楽室をはじめとする特別教室に電子黒板などを整備する。
また、教員のICT機器活用能力の向上を図るため、各学校の研修計画に基づいた校内研修のほか、市教育振興会と連携し、長期休業期間を利用した研修を実施するなど、学校へのサポート体制の充実を図る。
▽外国語教育
早期から英語に慣れ親しませ、積極的に英語によるコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度を育成するため、外国語活動を小学校全学年で実施するとともに、新たに市内教員で構成する「千歳市外国語教育推進協議会」を設置し、次期学習指導要領改訂による小学五・六年生の教科化に向けた取組を進める。
また、小学校の外国語活動の成果を検証し、円滑に中学校の英語科につなげるため、小学校の外国語活動に対応した「英検ジュニア学校版」を六年生で実施するほか、中学校では、長期休業期間中の「外国語サポート事業」を実施する。
▼知的な探求心をもち積極的に行動する力を育てる
▽確かな学力
小学校に配置している「学習支援員」を増員するとともに、新たに中学校に配置し、習熟度別少人数指導の一層の取組を進める。
また、「学力向上検討委員会」の提案による「授業改善案」や「ICT機器活用事例」、「ハイパーQU検査活用事例」などを各校に普及させるとともに、学生ボランティアを活用した「学習サポート事業」の実施や「e―ラーニングシステム」のコンテンツの充実を図るとともに、子どもたちの教育環境の向上を図るため、多様な学習や体験活動の機会拡充として、年四回の「土曜授業」を全小・中学校で実施する。
▽道徳教育
三十年度に完全実施される「特別の教科 道徳」への円滑な移行を図るため、これまでの各種研修会や道徳教育推進校の成果を各校に普及するなど、教員の指導力向上に取り組む。
▽体力・運動能力
今後も一層の体力向上を図るため、「新体力テストの実施方法などの改善に向けた実践指定校」の取組を継続するとともに、遊びの要素を取り入れ、楽しみながら運動能力の基礎を養う「コーディネーション運動」や、各学校が体力の向上や運動習慣の定着に向けて創意工夫した「一校一実践」の取組を推進する。
▽特別支援教育
通常学級において学習や生活面の支援を行う「特別支援教育支援員」や、特別支援学級での児童生徒の生活全般を支援する「児童生徒ヘルパー」、学校において医療的ケアを行う「学校看護師」を配置するなど、より細かな支援を行うほか、特別支援教育学校指導担当主査による学校に対する相談支援や指導助言、研修会を行うなど、特別支援教育のさらなる充実を図る。
(市町村 2017-03-15付)
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