次期学習指導要領改善の具体化に期待 代表高校長研で北村学校教育局長―道教委(道・道教委 2017-04-17付)
あいさつに立つ北村学校教育局長
道教委は十三日、道庁別館で二十九年度第一回全道代表高校長研究協議会を開いた。開会式であいさつに立った北村善春学校教育局長は、次期学習指導要領について、「〝社会に開かれた教育課程〟の理念や学習指導要領等の改善の方向性を具体化する取組を進める」ことを期待した。いじめ問題に対しては、「生徒の訴えに寄り添いながら、条例等の定義に照らし、積極的に認知することが重要」との認識を示し、「情報を全教職員で共有し、保護者等と連携しながら解決に向けて取り組む」などの取組の充実を求めた。
同研究協議会は、本道の高校教育にかかわる教育行政上の諸課題などについて研究協議を行い、学校運営全般の改善・充実に資するもの。
道高校長協会の本部役員や部会長、各管内の代表校長を合わせて三十一人が参加。教育行政上の課題について、説明や質疑応答を行った。
開会式では、北村学校教育局長がつぎのとおりあいさつした。
◇ ◇ ◇
平成三十年には、本道が「北海道」と命名されてから百五十年となる節目を迎える。
道としては、この節目に当たり、道民一人ひとりが、先人が積み重ねてきた歴史を振り返るとともに、これからの北海道の未来を考える契機とするよう、「北海道百五十年事業」を計画、実施している。
その事業の一環として、過日、道民検討会議が、「北海道みらい日誌」と題し、北海道の未来を担う若い世代から「北海道のみらいへの思い」を募集したところ、各学校からの働きかけのおかげもあり、全道から三百九十人もの応募があった。
その中から、このたび、札幌稲雲高校の中川翔真さん、富良野緑峰高校の坪井古都未さん、札幌国際情報高校の山岸志穂さんの三人の作品が最優秀賞に選ばれた。
このように、生徒がふるさとの未来を思い描き、自分の生き方と関連付ける学びは、非常に意義あるものであり、勉学や部活動、学校行事等の合間を縫って、原稿用紙やパソコンの前で思いをはせていただいた生徒と指導いただいた先生方に心から感謝を申し上げる。
本事業にかかわっては、今後も、様々な形で協力いただくことになると思うが、よろしくお願いする。
本日は、このあと、各課から、教育行政上の課題について説明させていただくこととしているが、せっかくの機会であるので、各管内、各部会の代表校長の皆さんを通じて、全道の高校の校長先生にお伝え願いたいことがらについて、三点お話しする。
一点目は、次期学習指導要領について。
昨年十二月の中央教育審議会答申では、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を、教育課程を介して学校と社会とが共有するとともに、これからの子どもたちに求められる資質・能力を教育課程において明確化し、社会との連携・協働によって、その実現を図っていくという、「社会に開かれた教育課程」の理念が掲げられている。
新しい学習指導要領等は、二〇二〇年から、その十年後の二〇三〇年ころまでの間、子どもたちの学びを支える重要な役割を担うことになるが、私たちが、学校教育の将来像を描くに当たっては、この二〇三〇年ころの社会の在り方を見据えながら、その先も見通した姿を考えていくことが重要だと言われている。
私たちが、学生時代を過ごし、社会人としてのスタートを切った昭和の時代と、私たちが今日生きている時代とでは、人口の年齢構成や産業構造、世界とのつながり方やテクノロジーの発達などが、大きく変化し、個人の価値観や働き方、生き方なども、多様になっている。
さらに、今の中学生、高校生が社会の中心となる、二十年後、三十年後には、日本や世界の状況は、相当の変化が予想されており、そのような社会の中で生きていく生徒に対して、これから学校教育は何をなすべきなのかを主体的に考える責任が、私たちにはあると思っている。
こうしたことを踏まえ、各学校においては、「社会に開かれた教育課程」の理念や学習指導要領等の改善の方向性を具体化する取組を進めていただくよう期待している。
二点目は、生徒指導の充実について。
特に、いじめの問題については、「いじめ防止対策推進法」の施行後三年が経過する中、文部科学省で「いじめ防止対策協議会」を設置し、本年三月、「いじめの防止等のための基本的な方針」の改定を行った。
本道においても、施行後三年を目途とする条例の見直し規定に基づき、これまでのいじめ防止対策の取組実績や調査結果等をもとに、成果や課題を分析するとともに、有識者からなる「北海道いじめ問題審議会」における検討を経た上で、「北海道いじめ防止基本方針」の改定を行う予定でいる。
今後、道高校長協会には、より実効性のある基本方針の改定となるよう、意見、協力をいただきたいと考えている。
また、道の基本方針の改定案の検討状況については、適宜、情報提供するので、各学校においても、改正された国の「いじめの防止等のための基本的な方針」を参考にしながら、自校のいじめ防止基本方針の点検や見直しを不断に行うなどの必要な措置を講じていただくようお願いする。
殊に、いじめの認知については、生徒の訴えに寄り添いながら、条例等の定義に照らし、積極的に認知することが重要と考えており、その情報を学校が全教職員で共有し、保護者等とも連携しながら解決に向けて取り組むなど、いじめの未然防止、早期発見・早期対応の取組の一層の充実に努めていただくようお願いする。
三点目は、学校経営の充実について。
「一年の計は元旦にあり」と言うが、学校においては、人事異動で管理職や教職員も代わる中で、学校経営の方向性を示し、新たな学校体制を整備するこの時期こそ、学校経営の元旦に当たる非常に重要な時期と考えている。
管理職の異動の有無にかかわらず、どの学校においても、前年度からの課題を引き継ぎ、解決に向けての取組を進めていただくわけだが、その際には、課題の要因や背景、これまでの学校としての取組などを丁寧に確認した上で、新たな視点から課題解決に当たることも必要だと考えている。
一見、硬直化している問題も、異なった視点で考え直してみることで、その方向性がみえることもあるし、あきらめずに、粘り強く対応することで、解決に至った事例もある。
どうぞ、これらのことも参考にしていただきながら、課題解決に取り組んでいただきたいと考えている。
今日、学校が抱える課題は、複雑化・多様化するとともに、学校経営に求められることが高度化してきており、学校経営への支援体制の整備が急務となっていることから、道教委では、本年度から、学校経営の実態を的確に把握するほか、実践的な指導助言を迅速に行うなど、教育指導監の学校経営指導を中核としながら、本庁と教育局とが一体となって取り組む体制づくりを進めていきたいと考えている。
本年度は、そのスタートの年として、主幹を一人、石狩教育局に配置し、例年よりも、早い時期に採用校長先生の学校を訪問し、学校経営の基本を助言するとともに、経営相談に乗るなど、採用校長先生の学校経営を支援する体制を整備した。
また、本庁の教育指導監については、経験校長先生への学校経営指導や経営相談に対応させていただくこととしており、現在、各教育局を通して、二人の学校訪問日程調整を行っているので、協力をお願いする。
代表校長の皆さんにおいては、勤務校の学校経営の充実はもとより、管内校長会や校長先生同士の情報交流を積極的に行っていただき、教育局等との連携の中で、管内の高校教育の充実にも尽力いただけると幸いと思う。
以上、三点についてお話申し上げた。
本道の高校教育を取り巻く課題は山積しているが、今後とも、課題解決に取り組み、本道の高校教育の充実・発展のために、今述べたとおりの思いで、皆さんと一緒にこの一年の仕事をさせていただきたいと考えている。
引き続き、理解と協力をお願い申し上げる。
(道・道教委 2017-04-17付)
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