29年度留萌管内教育推進の重点 未来切り拓く子育む 家庭、地域と一体の取組を―留萌局が管内公立学校長会議(道・道教委 2017-04-18付)
井之口局長が本年度の取組について説明した
【留萌発】留萌教育局は十二日、留萌合同庁舎で二十九年度管内公立学校長会議を開催し、井之口淳治局長が本年度の管内教育推進の重点について説明した。本年度の推進テーマを「学校・家庭・地域社会が協働し、たくましく未来を切り拓く子どもを育む取組の推進」に設定。推進テーマの具体化に向け、重点項目として「社会で活きる実践的な力の育成」など、五つの柱を示した。変化の激しい時代を生きる子どもたちに必要な「たくましく主体的に未来を切り拓いていく力」を付けるため、家庭や地域社会と一体となった学校づくりに期待した。
管内教育推進の重点はつぎのとおり。
【はじめに】
二十九年度のスタートに当たり、管内教育推進の重点を申し上げる。
昨年度は、管内教育推進の重点に基づき、学校経営の改善・充実に取り組んでいただくとともに、道教委の施策に対しても理解と協力をいただき、
▽学校力の向上に向けた学校全体での組織的な取組の推進
▽主体的・協働的な学びの充実を図った「分かる授業づくり」の推進
▽いじめの根絶に向けた子ども主体の取組の充実
▽新体力テストの結果等を踏まえた体力向上の取組や体育の授業改善の推進
▽教職員の資質・能力の向上に向けた教員研修の充実
▽コミュニティ・スクールの導入に向けた体制の整備
▽地域の人材や施設、文化財の活用による学習機会の充実
─などの成果がみられたところであり、あらためてお礼を申し上げる。
教育局としては、昨年度の管内教育推進の重点における各市町村教委や学校の取組の成果や「北海道教育推進計画」に掲げられた基本目標、ことし二月に示された道教委の「教育行政執行方針」、昨年十二月に中央教育審議会から答申のあった「幼稚園、小学校、中学校、高校および特別支援学校の学習指導要領の改善および必要な方策等について」(ことし三月に示された新しい学習指導要領)などを踏まえ、本年度の「留萌管内教育推進の重点」を作成した。
変化の激しい時代において、子どもたちには、ふるさとに誇りと愛着をもち、互いに支え合いながら、たくましく主体的に未来を切り拓いていく力を身に付けていくことが求められている。
こうしたことから、教育局では、このような力を身に付けた子どもを「たくましく未来を切り拓く子ども」とし、学校・家庭・地域社会の協働のもと、目指す子ども像の実現に取り組んでいくことが引き続き重要であると考え、本年度の推進テーマを、「学校・家庭・地域社会が協働し、たくましく未来を切り拓く子どもを育む取組の推進」とした。
この推進テーマを具体化するための大きな五つの柱とそれぞれの重点について申し上げる。
【柱Ⅰ 社会で活きる実践的な力の育成】
一つ目の柱は、「社会で活きる実践的な力の育成」である。子どもたち一人ひとりが、その可能性を開花させ、自らの人生を幸福に過ごすには、社会で自立するために必要な力を確実に身に付けさせることが重要である。
このことにかかわり、本年度、特に重視していただきたい取組を四点申し上げる。
一点目は、「確かな学力を育む取組の充実」。
子どもたちに、基礎的・基本的な知識・技能や、それらを活用して課題を解決するための思考力、判断力、表現力等に加え、学びを生かそうとする態度を身に付けさせる必要がある。
こうしたことから、各学校では、
▽各種学力調査等の結果に基づく学力向上の取組に向けた検証改善サイクルを充実すること
▽「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を推進すること
▽ICTの効果的な活用による教科指導等を工夫すること
―以上について、お願いをする。
二点目は、「望ましい学習習慣の確立」。
子どもたちの望ましい学習習慣の確立に向けては、授業改善と、授業と関連を図った家庭学習などの取組を車の両輪と位置付けて、より一層推進する必要がある。
こうしたことから、各学校では、
▽家庭や地域社会との連携による望ましい学習習慣の定着に向けた取組を充実すること
▽授業内容と関連させた宿題や家庭学習を工夫すること
─以上について、お願いをする。
三点目は、「特別支援教育の充実」。
発達障がいを含む教育的支援を必要とする子どもの支援に向けては、関係者との連携による「早期」「連携」「一貫」した取組をより一層推進する必要がある。
こうしたことから、各学校では、
▽一人ひとりの教育的ニーズに基づいた支援や指導を充実すること
▽「個別の教育支援計画」等の活用による校種間の引継ぎをさらに充実すること
─以上について、お願いをする。
四点目は、「今日的な教育課題に対する取組の充実」。
子どもたちが、ふるさと北海道への誇りや愛着をもちながら、豊かな国際感覚を備え、地域社会の一員として、主体的に行動できる力を身に付ける必要がある。
こうしたことから、各学校では、
▽グローバル化に対応した英語教育を推進すること
▽北方領土やアイヌの人たちの歴史・文化等に関する学習を推進すること
▽望ましい勤労観や職業観を育むキャリア教育を推進すること
─以上について、お願いをする。
教育局としては、
▽教委および学校の教育活動のより一層の充実や、次期学習指導要領を踏まえた準備に向けた学校経営指導訪問および学校教育指導訪問の充実
▽「ほっかいどう学力向上支援事業」などの各種指定事業の成果の普及
▽留萌教育局管内特別支援連携協議会および専門家チーム会議における協議を踏まえた取組の推進
─などに努めていきたいと考えている。
【柱Ⅱ 豊かな心と健やかな体の育成】
二つ目の柱は、「豊かな心と健やかな体の育成」。
子どもたちの健やかな心身の成長・発達に向けては、
規範意識や基本的な倫理観、思いやりの心などの豊かな心とともに、生涯を通じて健康に過ごすことのできる健やかな体を育成することが重要である。
このことにかかわり、本年度、特に重視していただきたい取組を五点申し上げる。
一点目は、「道徳教育の充実」。
道徳教育については、発達の段階に応じた道徳性を養うとともに、それを基盤として、主体的に判断し、適切に行動できる子どもを育む必要がある。
こうしたことから、各学校では、
▽家庭や地域との連携を図った道徳教育を充実すること
▽道徳に関する指導力を向上させる取組を充実すること
─以上について、お願いをする。
二点目は、「読書活動の充実」。
子どもたちが、あらゆる機会とあらゆる場所において、自主的に読書活動を行うことができるようにする必要がある。
こうしたことから、各学校では、
▽学校図書館を活用した授業づくりを推進すること
▽家庭や地域との連携を図った子どもの読書機会を拡充する取組を充実すること
─以上について、お願いをする。
三点目は、「いじめや不登校の未然防止等に向けた取組の充実」。
子どもたちが、より幅広い人間関係の中で、達成感を感じることのできる活動の質をより一層高めるとともに、保護者や地域住民との連携によっていじめ問題等を未然に防止する取組を充実する必要がある。
こうしたことから、各学校では、
▽子どもの自己有用感を高める取組を充実すること
▽学校、家庭、地域が一体となったいじめの根絶に向けた取組を推進すること
▽保護者と連携を図った情報モラル教育を充実すること
─以上について、お願いをする。
四点目は、「体力や運動習慣等の改善を図る取組の充実」。
子どもたちが、生涯を通じて、健康で活力ある生活を送ることができるよう、運動等に親しむ資質や能力を身に付けさせる必要がある。
こうしたことから、各学校では、
▽運動やスポーツへの関心・意欲を高める授業改善を充実すること
▽家庭や地域との連携を図った運動習慣の定着を図る取組を充実すること
─以上について、お願いをする。
五点目は、「安心して学校生活を送る取組の充実」。
子どもたちが、日常生活において、健康的に過ごしたり、安全に行動したりすることのできる力を身に付けさせる必要がある。
こうしたことから、各学校では、
▽薬物乱用防止教室の実施やアレルギーへの対応など、健康教育を推進すること
▽防犯教室や交通安全教室、防災訓練など、安全教育を充実すること
─以上について、お願いをする。
教育局としては、
▽各学校における特別の教科「道徳」の推進に向け、各種指導計画や授業の改善など、道徳教育に関する指導力を向上させる教員研修の充実
▽「体育専科教員活用事業」などの各種指定事業の成果の普及
▽留萌地域いじめ問題等対策連絡協議会における協議を踏まえた取組の推進
─などに努めていきたいと考えている。
【柱Ⅲ 信頼される学校づくりの推進】
三つ目の柱は、「信頼される学校づくりの推進」である。
各学校においては、地域の実情や子どもの実態などを踏まえながら、家庭、地域社会との連携を図りつつ、保護者などへの教育活動に関する情報提供や、保護者や地域住民の教育活動への参画を通じて、地域とともにある信頼される学校づくりを推進することが重要である。
このことにかかわり、本年度、特に重視していただきたい取組を三点申し上げる。
一点目は、「管理職のリーダーシップによる組織的な取組の推進」。
子どもの発達段階を踏まえた教育活動の連続性を図るため、学校種間の連携に配慮した教育課程の編成・実施や指導方法の工夫改善など、管理職のリーダーシップによる組織的な取組をより一層充実する必要がある。
こうしたことから、各学校では、
▽学校全体で組織的な取組を推進する学校力を向上すること
▽子どもの学びをつなぐ校種間の連携を図った取組を一層推進すること
▽教育活動の質を高めるカリキュラム・マネジメントを充実すること
─以上について、お願いをする。
二点目は、「家庭や地域と一体となった魅力ある学校づくりの推進」。
家庭や地域と一体となって子どもたちを育てていくという観点から、保護者や地域住民と目標を共有し、地域の声を生かした教育活動をより一層充実する必要がある。
こうしたことから、各学校では、
▽地域の参画を得て学校運営の充実を目指すコミュニティ・スクールを導入すること
▽学校評価等の活用による学校改善を充実すること
▽学校の教育活動や各種調査の結果等の保護者および地域住民への積極的な情報提供を推進すること
─以上について、お願いをする。
三点目は、「教職員の資質・能力の向上」。
学校教育の成否は、子どもたちの教育に直接携わる教職員の人間性や指導力によるところが大きく、教職員一人ひとりに教育の専門家としての資質・能力を向上させるとともに、高い倫理観を身に付けさせる必要がある。
こうしたことから、各学校では、
▽学校課題の解決や教職員の指導力の向上に資する校内研修を改善・充実すること
▽教職員の服務規律の徹底や不祥事の防止に向けた取組を充実すること
─以上について、お願いをする。
教育局としては、
▽「学校力向上に関する総合実践事業」の実践指定校における取組の成果をより一層普及し、管内が一体となった取組を推進すること
▽コミュニティ・スクールの導入に向けた先進事例等の積極的な情報提供と啓発
▽コンプライアンスの確立や服務規律の徹底に向けた資料等の提供と啓発
─などに努めていきたいと考えている。
【柱Ⅳ 地域全体で子どもたちを守り育てる体制づくりの推進】
四つ目の柱は、「地域全体で子どもたちを守り育てる体制づくりの推進」である。
子どもたちの健やかな成長・発達のためには、家庭や地域社会との結び付きを深め、地域社会全体で子どもを守り育てる機運の醸成と体制づくりを推進することが重要である。
このことにかかわり、本年度、特に重視していただきたい取組を二点申し上げる。
一点目は、「地域人材等の活用による地域の教育力の向上」。
子どもたちの成長を地域全体で支えるには、保護者や地域住民の協力を得た教育活動のほか、家庭教育に関する情報提供や相談体制の充実を通して、地域の教育力を向上させる必要がある。
こうしたことから、各市町村教委や学校では、
▽地域の教育資源を生かした土曜日の特色ある教育活動を導入すること
▽家庭教育に関する学習機会と相談体制を充実すること
─以上について、お願いをする。
二点目は、「望ましい生活習慣の定着を基盤とした家庭教育支援の充実」。
基本的な生活習慣を身に付けた子どもを育むことができるよう、ネット利用も含めた望ましい生活習慣の定着に向けた取組を学校と家庭が一体となって進める必要がある。
こうしたことから、各市町村教委や学校では、
▽「生活リズムチェックシート」や「時間の目安」等の活用による家庭と連携を図った取組を推進すること
▽「どさんこアウトメディアプロジェクト」など、望ましい生活習慣の定着に向けた取組を推進すること
─以上について、お願いをする。
教育局としては、
▽外部人材を活用した土曜日の教育支援活動や望ましい生活習慣の定着に向け、先進的に取り組んでいる学校の事例の情報提供と啓発
▽「子どもの学力・生活習慣改善研修会」の成果の普及
▽PTA団体等と連携を図った家庭教育支援の取組の推進
─などに努めていきたいと考えている。
【柱Ⅴ 北海道らしい生涯学習社会の実現】
五つ目の柱は、「北海道らしい生涯学習社会の実現」である。子どもたちが、生涯を通じて、いつでも、どこでも自由に学習機会を選択し、豊かに学ぶことができるようにするには、学校教育や社会教育、文化・スポーツ活動などの学習活動を総合的に推進することが重要である。
このことにかかわり、本年度、特に重視していただきたい取組を二点申し上げます。
一点目は、「地域での学習やスポーツ機会の拡充」。
子どもたちが、地域における活動に積極的に参加することができるよう、地域の歴史や文化等について学んだり、地域の中で積極的に体を動かしたりする機会を充実する必要がある。
こうしたことから、各市町村教委や学校では、
▽道民カレッジ連携講座および「ほっかいどう学」ネット検定(ジュニア検定)の参加促進を行うこと
▽ライフステージに応じた地域スポーツ活動を推進すること
─以上について、お願いをする。
二点目は、「社会教育活動の推進」。
子どもたちが、生涯を通じて、心のゆとりや潤いにつながる生活を送ることができるよう、芸術文化活動へ参加したり、芸術鑑賞等に親しんだりする機会を充実する必要がある。
こうしたことから、各市町村教委や学校では、
▽地域の社会教育施設等の活用による学習機会を充実すること
▽地域の文化財や芸術作品の活用による教育活動を充実すること
─以上について、お願いをする。
教育局としては、
▽地域社会における学習活動のより一層の推進に向け、各種事業等における取組事例の情報提供と啓発
▽社会教育団体等と連携を図った取組の推進
─などに努めていきたいと考えている。
【むすびに】
以上、本年度の管内教育の推進に当たり、テーマを「学校・家庭・地域社会が協働し、たくましく未来を切り拓く子どもを育む取組の推進」として、五つの柱から皆さんに取り組んでいただきたい重点について申し上げた。
校長には管内教育のさらなる充実・発展に向けて、本年度の重点に基づき、家庭や地域社会と一体となった学校づくりを進めていただくことを期待している。
教育局としても、変化の激しい未来をたくましく生きていくことのできる子どもの育成に向け、市町村教委や学校、関係機関等と手を携えながら、各種事業等の実施に、職員一同、全力で取り組んでいきたいと考えているので、一層の理解と協力をお願いする。
(道・道教委 2017-04-18付)
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