29年度オホーツク管内教育推進の重点 能動的に学ぶ態度の育成を 信頼される学校づくり求める―オホーツク局が高・特校長会議(道・道教委 2017-04-26付)
松本局長が管内教育推進の重点を説明した
【網走発】オホーツク教育局は十七日、オホーツク合同庁舎で二十九年度管内高校長・特別支援学校長会議を開催した。松本邦由局長が「確かな学力の育成をめざす教育の推進」「一人ひとりの教育的ニーズに応じた特別支援教育の充実」「豊かな人間性と感性を育む教育の推進」「心身の健やかな成長を促す教育の推進」「地域とともにある・信頼される学校づくりの推進」を柱とする、オホーツク管内における教育推進の重点について説明した。
管内における教育推進の重点はつぎのとおり
◇
【はじめに】
昨年度を顧みると校長の皆さんには、二十八年度管内教育推進の重点の趣旨を踏まえ、チーム力を高める学校づくりの推進にリーダーシップを発揮していただいた。
本年度は、学校・家庭・地域・行政のそれぞれの役割と責任をあらためて自覚するとともに、連携を一層密にして、オホーツクの未来を拓く子どもたちの確かな学力、豊かな心、健やかな体をバランスよく育むための基盤となる教育環境づくりの実現のため、不退転の決意で各種取組を推進していきたいと考えている。
【国および道の動向】
国においては先月、文部科学省から、幼稚園教育要領、小学校および中学校の新学習指導要領が告示され、新たな時代に向けた教育の姿が明らかになった。なお、高校は今後、改訂案が示され、三十四年度から年次進行で実施される予定である。
また、道においては、本年度が、二十五年度策定の「北海道教育推進計画」に示された数値目標の達成や、二十七年度に制定された「北海道総合教育大綱」に基づく具体的な施策の実現に向けた最終年度となり、これまでの取組の集大成として確実な成果を示すことが求められる。
このような国や道の動向、また、二月に道議会第一回定例会で公表した二十九年度「教育行政執行方針」、さらには、二十八年度の管内教育推進の重点の評価結果を踏まえ、このたび、二十九年度の「オホーツク管内教育推進の重点」を定めた。
【重点について】
各重点項目について特に、校長の皆さんにお願いしたいことを述べる。
重点一は、「確かな学力の育成をめざす教育の推進」である。
子どもたちが変化の激しい時代を生きていくためには、基礎的・基本的な知識・技能、それらを活用して課題を解決するための思考力、判断力、表現力などに加え、学びを生かそうとする態度を身に付ける必要があり、主体的・対話的で深い学びを実現していくことが重要である。
このことから、各学校においては、大学教育との接続を見直す国の教育改革を見据えながら、指導方法や評価方法を工夫し、生徒が能動的に学び続ける態度を育成する取組を、より一層推進していただくようお願いする。
また、各教科等の授業において、「分かる授業」を実現するため、ICTを効果的に活用するなど、生徒が能動的に学び続ける授業改善の在り方を常に追究するようお願いする。
教育局としても、斜里高校で取り組んでいる、文部科学省の「教育課程研究指定校事業」、また、網走南ヶ丘高校、紋別高校、女満別高校で取り組んでいる、「道高校学力向上実践事業」、二十九年度から北見北斗高校で取り組む「スーパーサイエンスハイスクール」などの成果の普及に取り組んでいく。
重点二は、「一人ひとりの教育的ニーズに応じた特別支援教育の充実」である。
障がい者の権利に関する条約に掲げられたインクルーシブ教育システムの構築を目指し、子どもの自立と社会参加を一層推進していくためには、子どもの十分な学びを確保し、一人ひとりの障がいの状態や発達の段階に応じた指導や支援を一層充実させていく必要がある。
このことから、特別な支援を必要とするすべての生徒に対し、保護者や関係機関と連携して個別の教育支援計画を作成し、当該生徒の実態に応じた支援に活用するとともに、進学時や就労時の引き継ぎに活用するようお願いする。
また、『校内研修プログラム』や『実践事例集』などを活用したり、特別支援学校の教員などを招聘したりするなどして、特別支援教育への理解を深める校内研修を年間複数回実施するようお願いする。
教育局としても、特別支援教育スーパーバイザーによる学校教育指導や各種研修事業はもとより、湧別町の小・中学校、高校で取り組んでいる「発達障がい支援成果普及事業」の成果の普及に取り組んでいく。
重点三は、「豊かな人間性と感性を育む教育の推進」である。
これからの時代においては、社会を構成する主体である一人ひとりが、高い倫理観をもち、人間としての生き方や社会の在り方について、多様な価値観の存在を確認しつつ、自ら考え、他者と対話し協働しながら、よりよい方向を模索し続けるために求められる資質・能力を備えていく必要がある。
このことから、生徒一人ひとりの社会的・職業的自立に向け、地域の自然や文化、観光資源を活用したふるさと・キャリア教育に取り組むようお願いする。
また、各教科等の指導において、望ましい人間関係の形成や、思いやりの気持ちや規範意識の醸成を図る活動を位置付けるとともに、いじめの対応については、定期的な教育相談によって発見された問題行動などの解決に向け、組織的に対応する体制を整備するようお願いする。
なお、昨年度、管内においても、ラインなどのやり取りを通した生徒指導事案が複数件発生していることから、SNSの適切な利用について、情報モラル教育の全体計画を見直し、あらためて指導を徹底するようお願いする。
教育局としても、「どさんこ☆子ども地区会議」の開催、管内いじめ問題等対策連絡協議会の重点を踏まえた取組を推進するとともに、清里町で取り組む「小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業」の成果の普及に努めていく。
重点四は、「心身の健やかな成長を促す教育の推進」である。
昨年八月に、管内に甚大な被害をもたらした自然災害の多発を踏まえ、児童生徒が自ら身を守ることができるよう防災教育の充実を図る必要がある。
このことから、各学校において、学校安全の三領域である「生活安全」「交通安全」「災害安全」に関する内容を適切に位置付けた危機管理マニュアルを不断に見直すとともに、事件・事故災害を想定した避難訓練などを年間複数回実施するようお願いする。
重点五は、「地域とともにある・信頼される学校づくりの推進」である。
学校が保護者や地域住民の期待に応えるためには、校長のリーダーシップのもと、ビジョンと目標を教職員全体で共有するとともに、教職員一人ひとりの役割を明確にして、それぞれの力を発揮できる環境づくりを進める必要がある。
特に、広域分散型で小規模校が多い当管内においては、教職員一人ひとりの果たす役割が大きく、その資質・能力の向上が極めて重要である。
また、学校が社会と接点をもちつつ、多様な人々とつながりを保ちながら、生徒が日々充実した生活を実現することができるよう、開かれた環境を構築していく必要がある。
このことから、保護者や生徒による評価を取り入れた年間複数回の学校評価を実施し、その結果や改善策について保護者や地域住民に分かりやすく公表するようお願いする。
また、教職員の服務規律の徹底のため、適切な勤務管理や不祥事防止、管理職の日常的な指導の徹底を図るとともに、教職員の服務にかかわる校内研修について、五月から六月にかけてのコンプライアンス確立月間を含め、年間三回以上実施するようお願いする。
各学校においても、体罰やわいせつ行為、飲酒運転など教職員の不祥事の根絶に向け、「コンプライアンス確立月間」における集中的職場研修などを通じて、教職員の自覚を促す指導に、より一層の危機感をもって取り組むようお願いする。
【終わりに】
以上、二十九年度のオホーツク管内の教育の推進に当たり、重点的に取り組んでいただきたい内容を述べたが、新たな時代に向けた教育に向け、当管内においても、山積する課題を着実に解決し、前進を遂げていくことが重要である。
そのため、校長の皆さんには、前例踏襲にとらわれず、自校のすべての教職員の長所を把握し、意図的・計画的に活躍の場をつくること、常に新しい発想で仕事を進め、教育活動の充実を図りながら、成果と課題を明確にし、課題についてスピード感をもって改善策を提示するなど、学校組織のトップとして不断の学校改善に取り組んでいただくよう期待している。
教育局としても、管内校長会、教頭会、その他の教育関係団体などとの連携を一層深め、管内教育の充実を図るよう努めていくので、二十九年度のオホーツク管内教育推進の重点に示した各種施策の実現に向けた協力をお願いする。
(道・道教委 2017-04-26付)
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