29年度後志管内教育推進の重点 子の可能性大いに開花を リーダーシップ発揮に期待―後志局が高・特校長会議開く(道・道教委 2017-04-27付)
【倶知安発】後志教育局の原光宏局長は二十日、後志合同庁舎で開催した二十九年度管内公立高校長・特別支援学校長会議で管内教育推進の重点を説明した。「社会で活きる実践的な力の育成」「豊かな心と健やかな体の育成」「信頼される学校づくりの推進」の三本の柱を掲げた上で、「一人ひとりの生徒の能力や進路に応じた教育の推進」「特別な教育的支援を必要としている生徒のニーズに応じた指導や支援の充実」「いじめ・不登校等への取組の充実」「地域における教育機能の充実・確保」などに取り組む考えを示した。
管内教育推進の重点はつぎのとおり。
◇
【はじめに】
道教委では、ことし二月、本年度の教育行政執行方針を公表した。教育局としても、教育行政執行方針に沿って、その中に掲げられた施策の推進に全力で取り組んでいく。
加えて、二十八年度の当管内における課題等を踏まえ、「二十九年度後志管内教育推進の重点」を定めたので、その概要について説明する。
【管内教育推進の重点】
▼社会で活きる実践的な力の育成
はじめに、「Ⅰ・社会で活きる実践的な力の育成」について。
このことについて、教育行政執行方針では、子どもたちが変化の激しい社会を生きていくためには、基礎的・基本的な知識・技能と、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等に加え、学びを生かそうとする態度を身に付ける必要があり、各学校段階を通じて、主体的・対話的で深い学びを実現していくことが重要であることが示されている。
このため、教育局として、つぎの三点について重点的に取り組んでいく。
▽一人一人の生徒の能力や進路に応じた教育の推進
重点一は、「一人一人の生徒の能力や進路に応じた教育の推進」であり、各学校においては、主体的・対話的で深い学びを実現するための授業改善を推進するとともに、「学力テスト」および「道高校学習状況等調査」を活用した学力向上の取組を推進してもらいたいと考えている。
具体的には、「主体的・対話的で深い学びを実現する授業改善の推進」について、「教育課程編成・実施の手引」や「授業実践講座」の活用、学校評価・授業評価を踏まえた授業改善、言語活動の充実、ICTの活用にかかる取組などを推進してもらうようお願いする。
「学力向上の取組の推進」については、「学力テスト」および「道高校学習状況等調査」の結果を踏まえた授業改善や個に応じた指導、放課後や長期休業期間等の補充的な学習の充実、家庭学習習慣の定着に向けた指導の促進などの取組を推進してもらうようお願いする。
▽特別な教育的支援を必要としている生徒のニーズに応じた指導や支援の充実
つぎに、重点二は、「特別な教育的支援を必要としている生徒のニーズに応じた指導や支援の充実」であり、各学校においては、校種間連携による情報共有や引き継ぎ等の充実を図るとともに、個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成・活用し、それらに基づく支援の充実を図ってもらいたいと考えている。
具体的には、「校種間連携による情報共有や引き継ぎ等の充実」については、「障害者差別解消法」等への全教職員の理解促進や中学校等との引継ぎの充実、特別支援教育充実セミナーへの積極的な参加にかかる取組などを推進してもらうようお願いする。
「個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成・活用」については、道教委が作成・配布している「校内研修プログラム」や「実践事例集」、「取組事例集」等の活用、特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業や教育局スーパーバイザーの活用などの取組を推進してもらうようお願いする。
▽今日的な課題に対応した教育の推進
つぎに、重点三は、「今日的な課題に対応した教育の推進」であり、各学校においては、豊かな国際感覚を備え、英語等によるコミュニケーション能力を育成する教育の推進やふるさと北海道への誇りや愛着をもち、一人ひとりの社会的・職業的自立に向けた教育の推進、政治的教養を育む教育の充実を図っていただきたいと考えている。
具体的には、「豊かな国際感覚を備え、英語等によるコミュニケーション能力を育成する教育の推進」については、英語教員および生徒の英語力の向上やイングリッシュ・キャンプ、「U―18未来フォーラム」への積極的な参加にかかる取組などを推進してもらうようお願いする。
「ふるさと北海道への誇りや愛着を持ち、一人一人の社会的・職業的自立に向けた教育の推進」については、地元の教育資源や地域人材を活用するなどの地域の特色を生かした教育活動の推進や地域と連携したインターンシップの推進、進路相談員の活用、マッチング事業等のいわゆる企業見学会への参加等の取組を推進してもらうようお願いする。
「政治的教養を育む教育の充実」については、国が作成した副教材の活用や関係機関との連携による模擬選挙等の実践的な取組などを推進してもらうようお願いする。
以上、第一の柱「社会で活きる実践的な力の育成」について申し上げたが、教育局としては、重点一にかかわっては新学習指導要領の理念等の周知徹底や、授業改善にかかる指導助言の充実などを、重点二にかかわっては、特別支援教育にかかる研修講座の充実などを、重点三にかかわっては、「小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業」の成果の普及などに取り組み、子どもたちが、変化の激しいこれらからの社会で生きていくための基盤となる力をしっかりと身に付けることができるよう、支援していく。
生き方を考える力育む
▼Ⅱ・豊かな心と健やかな体の育成
つぎに、「Ⅱ・豊かな心と健やかな体の育成」について。
教育行政執行方針では、子どもたちの健やかな成長のためには、基本的な倫理観や規範意識を身に付け、思いやりをもち、美しいものに感動するなど、豊かな人間性を育むとともに、自らの生き方を主体的に考えることができる力を育成することが重要であることが示されている。
このため、教育局として、つぎの二点について重点的に取り組んでいく。
▽いじめ・不登校等への取組の充実
「重点一」は、「いじめ・不登校等への取組の充実」であり、各学校においては、生徒が主体的に取り組む活動を充実させるとともに、確かな生徒理解に基づく組織的な生徒指導を推進してもらいたいと考えている。
具体的には、「生徒が主体的に取り組む活動の充実」について、生徒会等を中心としたいじめ根絶の取組の推進やピア・サポート活動の実施、いじめ防止月間等の実施、各種標語や作文への取組などを推進してもらうようお願いする。
「確かな生徒理解に基づく組織的な生徒指導の推進」については、各学校における生徒指導部長などを中心とした組織的な対応やネットパトロールによる問題行動の未然防止、自己有用感を高める取組、教育相談体制の充実などの取組を推進してもらうようお願いする。
▽健やかな体を育成する体育・健康に関する指導の充実
つぎに、重点二は、「健やかな体を育成する体育・健康に関する指導の充実」で、各学校においては、新体力テストの結果を活用した体力向上の取組を推進するとともに、安全教育および健康教育を推進してもらいたいと考えている。
具体的には、「体力向上の取組の推進」については、新体力テストの結果の多角的な分析および保健体育の授業等の充実などの取組を推進してもらうようお願いする。
「安全教育および健康教育の推進」については、危機管理マニュアルの検証や交通安全指導の徹底、防犯教育および防災教育の充実、薬物乱用防止教育の充実、学校保健委員会の活性化などの取組を推進してもらうようお願いする。
以上、第二の柱「豊かな心と健やかな体の育成」について申し上げたが、教育局としては、重点一にかかわっては、実効性のある「学校いじめ防止基本方針」の改善に向けた指導助言をはじめ、「高校生ステップアップ・プログラム」の成果の普及、関係機関と連携を図った「人間としての在り方生き方」に関する講演会等の開催の促進などを、重点二にかかわっては、新体力テストの全学年での実施等に関する指導助言などに取り組み、子どもたちが豊かな心をもち、心身ともに健康に過ごすことができるよう支援していく。
なお、関係機関と連携を図った「人間としての在り方生き方」に関する講演会等の開催の促進については、例えば、外部講師を招いた生命の大切さを学ぶ講話などの取組を、できれば一学年を対象に、高校入学後の早い時期に実施してもらいたいと考えている。
教職員の力 発揮できる環境を
▼信頼される学校づくりの推進
つぎに、「Ⅲ・信頼される学校づくりの推進」について。
教育行政執行方針では、学校が、保護者や地域住民の期待に応えるためには、管理職がリーダーシップを発揮して学校運営に当たるとともに、教職員がそれぞれの力を発揮できる環境づくりを進める必要があり、特に、広域分散型で小規模校が多い本道においては、教職員一人ひとりの果たす役割が大きく、教職員の資質・能力の維持・向上が極めて重要であることが示されている。
このため、教育局として、つぎの三点について重点的に取り組んでいく。
▽地域における教育機能の充実・確保
重点一は、「地域における教育機能の充実・確保」であり、各学校においては、実効性のある学校改善や人材育成を推進、積極的な情報発信に努めてもらいたいと考えている。
具体的には、「実効性のある学校改善の推進」については、学校評価によるPDCAサイクルの改善・充実や組織体制の構築、ミドルリーダーの育成などの取組を推進してもらうようお願いする。
「人材育成の推進」については、ミドルリーダーの力を生かした校内研修の充実や校外研修の機会の確保などの取組を推進してもらうようお願いする。
「積極的な情報発信」については、各学校の取組の学校Webページへの掲載や通信および公開授業等による保護者、地域、近隣校への成果の発信と連携強化、学校評議員等の活用などの取組を推進してもらうようお願いする。
▽教職員の服務規律の徹底
重点二は、「教職員の服務規律の徹底」であり、各学校においては、不適切な勤務の再発防止に向けた取組を推進するとともに、体罰などの不祥事の根絶に向けた取組を推進してもらいたいと考えている。
具体的には、「不適切な勤務の再発防止に向けた取組の推進」については、服務制度改正についての研修の充実などの取組を推進してもらうようお願いする。
「体罰などの不祥事の根絶に向けた取組の推進」については、各種研修会後の校内への還元や啓発資料を活用した研修の充実などの取組を推進してもらうようお願いする。
▽財務会計事務の適正執行
つぎに、重点三は、「財務会計事務の適正執行」であり、以前、管内においても重大事故が発生した私費会計事務の取り扱いについては、事務長会や事務職員協会と連携し、実効性のある研修会を実施するとともに、会計指導等において、各学校における適正な事務処理の遂行を確実に行ってもらいたいと考えている。
以上、第三の柱「信頼される学校づくりの推進」について申し上げたが、教育局としては、重点一にかかわっては、学校運営にかかる学校教育指導の充実をはじめ、コミュニティ・スクールの導入にかかる指導助言などを、重点二にかかわっては、服務規律に関する啓発資料の活用促進などを、重点三にかかわっては、財務会計事務の適正執行のための研修会および会計指導の実施などに取り組み、各学校が、保護者や地域の方々から信頼され、安心して子どもを託すことができる学びの拠点としてあり続けることができるよう支援していく。
【むすびに】
以上、本年度の管内教育推進の重点について申し上げた。
後志の子どもたちが活躍する将来を見据え、道内外のそれぞれの分野で力を十分に発揮するためには、全国と同水準の教育を確保し、将来どこへ行っても通用する力を身に付けさせる必要がある。そのために、当面する課題に正面から向き合い、スピード感をもって解決に当たってもらいたい。
また、校長の皆さんには、課題を的確にとらえ、具体的な取組を組織的・計画的に進め、本年度内にすべての課題の解決を図るという気概をもって、学校経営の最高責任者としてのリーダーシップを存分に発揮してもらいたい。
教育局としても、新しい時代を担う子どもたちが、個性を伸ばし可能性を大いに開花させ、自らの力で明るい未来を切り開いていくことができるよう、学校、校長会、教頭会、関係する教育機関や団体等と連携を図り、本重点の推進に当たっていくので、引き続き、変わらぬ協力をお願い申し上げる。
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