【解説】虫歯の健康格差、親の学歴が影響

（解説 2017-05-29付）

　乳幼児の〝虫歯の健康格差〟は、成長とともに拡大することが、東北大学などの研究グループによって明らかになった。格差の縮小には、乳幼児検診の場や幼稚園・保育園での対策が有効と指摘している。

　東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野の相田潤教授らのグループは、厚生労働省が実施している「２１世紀出生児縦断調査」の追跡データから、三万五千二百六十人の子どもたちが過去一年間に虫歯治療を受けた割合を二歳六ヵ月から五歳六ヵ月までの期間について分析。父母の教育歴を格差の計算に用い、親の学歴は、高卒・中卒を低い学歴、大卒等以上を高い学歴と分類した。

　それによると、二歳六ヵ月の時点で過去一年間に虫歯治療を受けた割合は、学歴の高い家庭の子どもが五・六％、学歴が低い家庭の子どもが八・五％と、親の学歴が高いほど治療割合が低かったものの、いずれのケースも一〇％未満だった。

　ところが、学歴の高い家庭の子どもは、三歳六ヵ月で一四・七％、四歳六ヵ月で二三・一％、五歳六ヵ月で三一・五％が虫歯の治療を受けているのに対し、学歴の低い家庭の子どもは、三歳六ヵ月で二〇・九％、四歳六ヵ月で三一・四％、五歳六ヵ月で四一・五％が虫歯の治療をしていた。親の学歴に比例して〝虫歯の健康格差〟が広がっていることが確認された。

　研究グループでは、「乳幼児健診の場や幼稚園・保育園、学校での対策が格差の縮小に有効」と指摘。また、虫歯予防の観点から、「二十四年から母子手帳に明記されている乳幼児からのフッ化物塗布やフッ化物配合歯磨剤の利用、砂糖を含む甘い飲み物をやめて麦茶にすること、親の仕上げ歯みがきをするなどの生活習慣も重要」と呼びかけている。

(解説 2017-05-29付)