道町村教委連の30年度文教施策要望 授業時数増へ定数改善を 小中一貫教育の研修機会求める(関係団体 2017-06-16付)
道町村教育委員会連合会(豊島滋会長)が十四日に道教委に提出した三十年度文教施策に対する要望書の概要はつぎのとおり。
【町村教育委員会の充実・強化】
▼指導主事の配置
学校教育の一層の充実・発展のため、市町村教育委員会における指導主事(義務教育)の配置を充実できるよう、必要な財政面での措置を含めた支援策が講じられるよう国に要望していただきたい。
【学校教育の改善・充実】
▼小中学校教職員定数の改善
少人数学級の実施学年の拡大や新たな教育課題への対応のため、「新たな教職員定数改善計画」などの策定および実施について国に対して強く要望していただきたい。
また、独自の改善策の拡充を講じていただきたい。
なお、つぎの事項について、特に配慮していただきたい。
▽生徒指導の充実強化を図るため、生徒指導担当教員の配置拡充について配慮いただきたい。
▽学校図書館司書教諭を「標準法」に新設するようにしていただきたい。
▽学校事務職員および養護教諭を全校配置にするとともに、食育の推進を図るため、栄養教諭および学校栄養職員の配置について国に要望していただきたい。
また、道独自の改善策として積極的に進めていただきたい。
▽教頭未配置校および三学級四定員の解消など、配置基準の見直しを積極的に進めていただきたい。
なお、小・中学校のへき地五級および離島加配は全学校に措置するよう特に配慮していただきたい。
また、離島ごとに小学校一校に加配されているが、二校にするなど段階的な加配についても配慮願いたい。
▽中学校の小規模校における免許外教科担任の解消に向けて、各教科ごとに免許取得者の教員配置がなされるよう、制度の改善など国に強く要望していただきたい。
▽小学校複式学級編制の現行基準十六人を下回る基準の改正について国に要望していただきたい。
また、道独自の措置を講じていただきたい。
▽新たな教育課程実施に伴う授業時数増に対し、教員定数の改善を図っていただきたい。
▽小学校における専任教科担当教員(とりわけ、外国語活動、理科専科教員)について配置が拡大されるよう、国に要望していただきたい。
▽連携型中高一貫教育を導入した地区の中学校教員の増員配置を制度化していただきたい。
▽特別支援学級については、障がいのある児童生徒一人ひとりの特別な教育的ニーズに応じた適切な教育を行うための学級編制や、教員定数の一層の拡充について積極的に国に要望していただきたい。
また、重度障害児の受入のための加配について国に要望していただきたい。
▽少人数学級については学年を一層拡大するとともに、学級の実施条件を一学級以上に緩和していただきたい。
なお、指導方法の工夫改善を必要とする場合には、加配の配置をお願いしたい。
▽少人数教育の一層の充実のため、少人数学級(小中高)の実現を国に要望していただきたい。
▽小学校一、二年生の三十人学級の早期実施について国に要望していただきたい。
▽小中一貫教育実施に伴う業務量等の増加に対し、教員定数の改善など、制度の見直しを図っていただきたい。
▽中学校体育の武道必修化に伴い、指導者、施設、用具などの条件整備の観点から、武道の指導教職員や指導者の配置については、全額公費負担となるよう国に要望していただきたい。
また、武道場などの学校体育施設の交付単価については、実情の単価とし市町村の負担を軽減していただきたい。
▽幼稚園・保育所・小学校の連携を確立し、幼児教育と小学校教育との連携・接続が円滑に行われるよう施策を講じていただきたい。
▽義務教育費国庫負担制度については、教育の機会均等とその水準の維持向上を図るため、その制度の根幹を尊重するよう国に要望していただきたい。
▽小・中学校の情報教育やICTを活用した教育の充実を図り、確かな学力を向上させるために、学校全体の情報教育を統括・推進する教員の加配を含めた教員定数の拡充やICT支援員の配置などに対する措置を図っていただきたい。
また、過疎地域にICTに精通した専門職員の派遣を講じていただきたい。
▽小学校新学習指導要領の実施に伴い、外国語活動における、外国語指導助手(ALT)の補助制度の新設および外国語活動に関する経費の財政支援について国に要望していただきたい。
また、ALT配置に伴う財政支援についても、併せて要望していただきたい。
▽青年海外協力隊派遣教員にかかる後任教員の正規対応とする制度を確立していただきたい。
▼教職員の処遇改善
▽一般旅費、研修旅費、生徒指導旅費などの増額措置をしていただきたい。
また、札幌からの遠隔地の配分率の引き上げや、離島学校の旅費配分および中体連など全道大会の引率旅費についても配慮願いたい。
なお、離島学校の場合は、宿泊を伴うことが大半であることから、離島加算額の拡大をお願いしたい。
▽中学校の部活動指導教員の特殊勤務手当の拡充などについて検討願いたい。
▽正規教職員が病気休暇、産前・産後休暇、育児休業などによる長期の休暇を取得した場合、その代替を正規教職員で補完することは、教職員の定数管理上から不可能である。
その代替として期限付教職員などによって対処されているが、これらの人材不足によって必ずしも充足されていない状況にあり、学校運営において支障が生じている。
ついては、不定期な人事案件を補うために、定年退職教員の活用もできるよう、制度を見直してほしい。
また、人材確保が困難な地域への欠員補充に対応するため、再任用職員の給与などの処遇改善を図っていただきたい。
▼学校給食用物資に対する国庫補助の維持・継続
▽牛乳等に対する補助制度の維持・継続および米飯給食推進の新たな施策について強く国に要望していただきたい。
▽就学援助が必要な児童生徒への学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)の作成などに要する経費の財政措置について国に要望していただきたい。
▼義務教育教科書の無償給与制度の継続
義務教育諸学校に在学する児童生徒に対する教科用図書の無償給与制度を継続するよう国に要望していただきたい。
▼へき地教育の振興
▽スクールバスの購入費補助限度額を引き上げるとともに、対象となる通学距離(児童四㌔㍍以上、生徒六㌔㍍以上)の緩和および、登下校時における児童生徒の安全確保の面からスクールバスの利用が有効であるため、へき地、学校統合等に限らず、バス購入にかかる補助要件の緩和についても国に要望していただきたい。
▽道立高校の募集停止に伴い、地元から高校がなくなり遠距離通学となる場合は、生徒の修学機会の確保と併せて保護者の経済的負担軽減を目的として、町単独で実施している通学費の補助について交付税措置が図られるよう国に強く要望していただきたい。
▽へき地教員住宅の必要事業量の確保とへき地教員住宅の長寿命化・質的改善などの改修工事および関連経費等(解体工事費、用地購入費、宅地造成費等)を補助対象とされるよう国に要望していただきたい。
▽市町村立高校の学校施設および教員住宅を整備・改修するため一部を除き補助制度がないことから、国の補助制度の事業対象となるよう国に要望していただきたい。
▼幼稚園教育の振興
▽公立幼稚園教職員の給与費に対する補助の制度化について、国に要望していただきたい。
▽幼稚園施設整備費の交付金算定割合、建築単価の引き上げを図るよう国に要望していただきたい。
▽幼稚園設置基準の一学級の幼児数が七年度より四十人から三十五人以下に改善されたが、さらに改善されるよう国に要望していただきたい。
▽教職員定数の三歳児保育への複数配置、養護教諭および事務職員の必置について、幼稚園設置基準を改善するよう国に要望していただきたい。
▽「子ども・子育て新システム」における市町村事業主体での施設整備に対する補助制度の確立について国に要望していただきたい。
▼公立文教施設の整備促進
▽新増改築など、文教施設整備に対する必要事業量の確保と事業の早期採択について国に要望していただきたい。
▽屋外教育環境整備事業について、補助制度の拡充や必要事業量の確保を引き続き国に要望していただきたい。
▽学校施設環境改善交付金事業の大規模改修事業にかかる財政支援の充実と、交付金の引き上げについて国に要望していただきたい。
▽学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす場所であるほか、災害時の地域住民などの避難場所とされているため、早期に耐震化が一層推進できるよう、施策の充実と必要な財源措置を国に要望していただきたい。
▽耐震化が必要なIs値〇・三以上〇・七未満の公立学校施設についても、補助率の引き上げや地方交付税による財政支援の充実を図るとともに、耐震診断のみについても交付対象とされるよう国に要望していただきたい。
▽学校施設の非構造部材の耐震対策にかかる財政支援は算定割合三分の一、下限額四百万円であるが、一校当たりの事業費は下限額を下回ることで市町村の全額負担となるため財政支援制度の改善を国に要望していただきたい。
▽実際の工事に要する経費と国の建築単価のかい離が生じており、市町村の負担が増加しているため、実情にあった建築単価の引き上げを国に要望していただきたい。
▽学校給食施設整備にかかる施策(ドライ化等)の一層の充実が図られるよう国に要望していただきたい。
▽学校給食設備の更新には多額の費用を要することから、更新にかかる補助制度の創設を国に要望していただきたい。
▽理科教育等設備整備費について、全額国庫負担にすることを含め、補助率の引き上げを国に要望していただきたい。
▽小中一貫校の施設整備などにかかる国庫補助率の上乗せや、起債などの制度の創設について国に要望していただきたい。
▼就学援助費補助金の拡充
要保護児童生徒に対する就学援助費の補助率の引き上げなどを図るよう国に強く要望していただきたい。
▼教員養成および研修体制の充実
▽道立教育研究所の研修事業は長期休業中の講習を増やし、受講機会の拡充を図っていただきたい。
▽道立教育研究所の研修事業に小中一貫教育に関する内容を追加し、小中一貫教育を推進している自治体の教員や積極的に研修を受講したい教員の受講が可能となるようにしていただきたい。
▽小中一貫教育にかかる九年間の教育課程について、道教委において例えば、全道もしくはブロックごとにカリキュラムの共同開発などを行える体制を構築するなど、カリキュラム開発・研究の支援体制を充実していただきたい。
▼特別支援教育の充実
▽特別支援学級および通級による指導を担当する教員の研修の機会の一層の拡充や、教職員定数の改善を図っていただきたい。
▽公立小・中学校に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒への支援の充実に向け、特別支援教育支援員の配置に当たり、特別支援学校教諭免許状の所有者も確保できるよう、交付税措置の増額について国に要望していただきたい。
▽現行の特別支援教育就学奨励費においては、重度重複障がいのある児童生徒にかかる修学旅行の付添経費などは、特別支援学校の在籍児童生徒は補助対象であるが、市町村立小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒は補助対象となっていない。
今後、市町村立小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒についても、補助対象となるよう特段の配慮を願いたい。
▽障がい種別(特に病弱、肢体不自由児)で学級に複数の子どもたちが在籍の場合は、教員の複数配置となるよう国に要望していただきたい。
▽特別支援学級在籍の児童生徒が医療機関に入院(短期)し、併設する特別支援学校やいわゆる院内学級で教育を受ける場合の転校手続きの特例・簡素化を国に要望していただきたい。
▽各小中学校に配置する特別支援教育支援員にかかる地方交付税の算定基準を引き上げ、特別支援教育支援員の人数に応じる算定基準に改正するよう国に要望していただきたい。
▼高校の配置
▽全日制小規模高校および定時制高校の配置については、「新たな高校教育に関する指針」によって、基本的な考えが示されているが、地方(郡部)においては、高校の地域振興に果たす役割が大きいので、都市部と郡部の違いを考慮し、小規模校を抱える地域の意見を聞いて、配置の見直しは慎重に検討いただきたい。
▽高校の総合学科を設置するに当たっては、地方における中等教育の振興、高校の活性化を果たす役割が大きいので、地域の実情を考慮され設置していただきたい。
▽新しい「高校教育に関する指針」の作成に向けて、つぎの事項に特段の配慮を願いたい。
①「公立高校配置計画地域別検討協議会」における意見や地元市町村の理解や要望を、高校の配置計画に対して大きく斟酌する材料とするよう願いたい。
②都市部と郡部の教育的環境に格差を生じることのないよう配慮願いたい。
③市町村立高校設置者を含め、各圏域ごとに特色ある教育環境を道と市町村がともに保障していくような協議の場を設定するよう願いたい。
▼地域学校協働活動推進事業の充実
地域学校協働活動推進事業にかかる補助事業の継続と補助の増額を国に要望していただきたい。
▼フッ化物洗口剤の支援
新規にフッ化物洗口を実施する公立の幼稚園や小・中学校に対して、二十四年度と同様にフッ化物洗口に必要な薬剤の支援をお願いしたい。
▼子どもたちのインターネット利用にかかる施策の推進
道教委によるネットパトロール業務の継続をお願いしたい。
【生涯学習・社会教育の振興・充実】
▼生涯学習の振興
▽生涯学習を推進するため、各種施策の充実を図っていただきたい。
▽学校図書の整備充実に加え、新聞を十分に配備できるように、また、学校図書館司書の配置についても、交付税措置の継続および増額について国に要望していただきたい。
▼地域文化の振興
▽文化財保護のため、国庫補助事業計画の完全採択および国庫補助の増額を図るよう国に要望していただきたい。
▽埋蔵文化財発掘調査費用の国庫補助制度の改善および専門職員の配置についての財政的支援を国に要望していただきたい。
▼社会教育指導体制の強化
社会教育主事の専任配置については町村においても努力をしているが、生涯学習推進のため、また、今後のコミュニティ・スクール制度を考慮し、学校教職員の社会教育主事資格取得についてお願いするとともに、当面は派遣社会教育主事(スポーツ担当を含む)制度の継続をぜひお願いしたい。
【いじめ・不登校対策】
スクールカウンセラーの配置について、スクールカウンセラー活用事業のより一層の拡充を図っていただきたい。
【NHKテレビの放送受信料免除措置の継続】
学校での放送教育の利用は多く、その教育効果も極めて高いものがあるので、教室などの放送受信料免除措置について継続されるよう、日本放送協会に対して働きかけていただきたい。
(関係団体 2017-06-16付)
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