【解説】29年版『子ども・若者白書』
(解説 2017-07-12付)

 自分の居場所と感じる場が多い若者ほど生活の充実度が高く、前向きな将来像を描く傾向にあることが、先に閣議決定された二十九年版『子ども・若者白書』から明らかになった。孤立化する若者には経済的支援に加えて、居場所をつくり出す取組が求められると指摘している。

 白書は、二十八年度を中心とする子ども・若者の状況および子ども・若者育成支援施策の実施状況についてまとめている。特集「若者にとっての人とのつながり」のほか「子ども・若者育成支援施策の総合的な推進」「すべての子ども・若者の健やかな育成」など七章で構成。

 特集では、内閣府が行った「子ども・若者の意識に関する調査」(二十八年十二月に全国の十五~二十九歳の男女六千人を対象に実施)の結果をもとに、若者のつながりに関する現状とそこからみえる課題について考察した。

 どのような場を自分の居場所だと感じているか尋ねたところ、「自分の部屋」が八九・〇%、「家庭」が七九・九%、「インターネット空間」が六二・一%、「地域」が五八・五%、「学校」が四九・二%、「職場」が三九・二%となった。このうち、六つすべてを自分の居場所と感じている人の八九・九%が、現在の生活が「充実している」と回答したのに対し、いずれも居場所だと感じていない人では「充実している」と答えた人が二五・三%にとどまるなど、居場所が多い若者ほど充実感を感じていた。また、無業者(求職中を含む)の七五・六%は、自分の居場所と感じている場所が三つ以下だった。

 こうしたことから、白書では働いていない若者などには、経済的支援や就労支援に加えて居場所の確保など、孤立化しないための対策を進める必要があると指摘している。

(解説 2017-07-12付)

その他の記事( 解説)

【解説】公立学校の空調設置状況

 文部科学省が先に公表した公立学校の空調設備設置状況調査の結果によると、ことし四月一日現在、小・中学校の普通教室・特別教室の空調設置率が四割を超え、前回調査(二十六年)に比べ大幅に増加した。...

(2017-07-20)  全て読む

【解説】障害者支援、事業の7割で実施

 文部科学省は、障害のある人の生涯を通じた学びを支援する観点から実施する二十九年度事業の総点検を行い、三十年度に向けて全事業の見直しに取り組む考えだ。  文科省は二十九年度、障害者支援等に...

(2017-07-19)  全て読む

【解説】高大接続改革の実施方針

 文部科学省は十三日、高大接続改革の実施方針などを公表した。  仮称「高校基礎学力テスト」としていたテストは「高校生のための学びの基礎診断」と名称を決定。高校における多様な学習成果を測定す...

(2017-07-18)  全て読む

【解説】地方教育費が2年連続増加

 二十七年度に支出した地方教育費の総額は、前年度比〇・六%増の十六兆一千九百六十四億円となり、二十六年度に続き、二年連続で増加したことが、文部科学省の二十八年度「地方教育費調査」の中間報告で...

(2017-07-14)  全て読む

【解説】子どもの水難事故162件

 昨年一年間に発生した中学生以下の子どもの水難事故は百六十二件で前年を十七件下回り、水難者も二百十七人と十三人減少したことが警察庁のまとめで分かった。発生場所は、河川が六割以上を占めている。...

(2017-07-13)  全て読む

【解説】移行措置の意見公募結果

 文部科学省は七日、小・中学校学習指導要領改訂に伴う移行措置案に対する意見公募手続(パブリック・コメント)結果を公表した。  公募は、ことし五月二十六日から六月二十五日まで実施。一千二百四...

(2017-07-11)  全て読む

【解説】子どもの貧困率、12年ぶり改善

 平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす十八歳未満の子どもの割合を示す「子どもの貧困率」が二十七年時点で一三・九%と、十二年ぶりに改善したことが、厚生労働省の「二十八年国民生活基礎調査」で分...

(2017-07-10)  全て読む

【解説】5月末の少年非行等概況―道警

 道警本部は、ことし五月末における「少年非行等の概況」をまとめた。検挙・補導された非行少年は、五月末時点で五百十四人(うち女子百人)と、前年同期に比べ八十五人、一九・八%増加した。 内訳...

(2017-07-07)  全て読む

【解説】若者の消費を特集―消費者白書

 政府が先に閣議決定した二十九年版『消費者白書』では、成人年齢を十八歳に引き下げる民法改正に向けた動きが本格化する中、「若者の消費」を初めて特集。買い物の情報収集にインターネットを活用する人...

(2017-07-06)  全て読む

【解説】所在不明児、全国28人

 住民票があるのに自治体が居住実態を把握できない所在不明の子どもが六月一日現在で、十一都県に二十八人いることが、厚生労働省の調査で分かった。このうち、六人は調査が始まった二十六年度から行方が...

(2017-07-05)  全て読む