道アクティブ・ラーニング研究会 理念と授業づくり学ぶ 研修会開き分科会、講演など
(関係団体 2017-08-01付)

道アクティブラーニング研
小・中・高校等の教員ら約80人が参加し、2日間にわたって研鑚を積んだ

 道アクティブ・ラーニング(協同と創造の授業づくり)研究会(鹿内信善会長)は七月二十七日から二日間、ホテルライフォート札幌で夏季研修会を開いた。全道の小・中・高校等の教員ら約八十人が参加し、新学習指導要領に基づく「主体的・対話的で深い学び」について、分科会、講演、ワークショップを通して、その理念や具体的な授業づくりを学んだ。

 同研究会は「互恵的な信頼関係を基盤とした協同の精神に基づく授業づくりの創造・実践・普及を通し北海道の教育活動の展開に寄与する」ことを目的に昨年八月に設立。研究集会や講演会、調査・研究開発事業、教授技法・指導法の研修・講習などに取り組んでいる。

 今回の夏季研修会では「主体的・対話的で深い学び」に基づく授業や指導法について、実践事例の発表、講演、ワークショップによる講義などを通して、授業力の向上に取り組んだ。

 冒頭、あいさつに立った鹿内会長は「教育界を含む様々な分野でリテラシーと言う言葉が定着している。その背景には、今までの学力観ではとらえきれない能力をこれから私たちが育んでいかなければならないということが世界的に認識されてきたからではないだろうか」と問題を提起した。その上で「その能力をどう育てていくのか」「そのメソッドをどうしたらいいのか」「根底にある理念をどうつくったらいいのか」といった課題があることにふれ、同研究会では「研修しながら自分たちのリテラシーを高めていく場を提供していく」と説明した。

 また、これからの学習観は〝受信〟だけではなく〝発信〟が必要になるとし「どういう形で発信していくのか。そのメソッドを私たちが考えていかなければならない」と強調。「この取組が未来の子どもたちのリテラシーを育てることにつながれば」と語った。

 研修会の一日目は小中分科会、高大分科会に分かれて実践発表。その発表に基づいて鹿内会長が講評を行った。

 二日目は、同研究会の石垣則昭顧問が「主体的・対話的で深い学びによる授業づくり」と題し、ワークショップ形式で講義。元日本協同教育学会会長の関田一彦創価大学教授が「主体的・対話的で深い学びを創る協同学習」と題して特別講演を行った。

 参加者たちは熱心にメモを取るなどして「主体的・対話的で深い学び」について研鑚を積んだ。

◆必要な資質・能力を育成 石垣顧問がワークショップ

 石垣顧問の講義では、実際の授業づくりに必要な資質・能力について、ワークショップ形式で学んだ。

 冒頭、石垣顧問は参加者たちにペアを組ませ、アイスブレイキングを行わせ、輪番発言法などを活用しながらグループによる活動を実施。「グループの話し合いでは、早く終わったグループはどうしたらよいのかなどの約束事を事前に明確に話す」「途中での説明は子どもの集中力の妨げになる」とポイントを示した。

 また、三角形の数の問題を配布し、個人、グループで三角形の数を数えさせ、競争と協同の違いと効果を体験させた。協同で取り組んだ方が明らかに正解率が高いことなどを確認した上で「協議をしながら考えを深める」という学びの在り方を実践した。子どもたちの話し合いの中で教師の役割を「答えを言わない。おいしいところを教師がもっていかない。子どもたちで学び合わせる」とし、その重要性を語った。

 これからの学習の進め方などについては「ノウハウだけでは授業は進められない。そこに理念と考え方がなければならない」とし「アクティブ・ラーニングのアクティブとは活動がアクティブということではない。子どもたちの頭、脳がアクティブであるということ」と述べた。

 また、アクティブ・ラーニングの基本的な考え方は「今までの教育の否定ではない」とし、これまでの教育に積み重ねるものと説明。学び合うことが〝個の強化〟につながるため、最終的に求められることは「人間力を高めること」と強調した。

 実際にこういった授業に取り組んで不登校などが解消した事例も挙げ「重要なのは授業で勝負すること」と訴えた。

 さらに「教師の役目は、自己満足に陥らず、子どもたちをしっかりみること。そして、よいところをみつけ、しっかり評価していくこと」と語った。

 引き続き、講義では実際の授業づくり、授業の準備、導入の工夫などについて説明。参加者たちはグループで研修内容を整理しながら、主体的・対話的で深い学びについて理解を深めていた。

(関係団体 2017-08-01付)

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