札小放、札視研が合同研究大会 未来拓く豊かな学び創造 AL目指し放送・ICT活用(関係団体 2017-08-01付)
中田教諭は、動画を用いた資料調べで分かったことを、児童に板書させるなどした(札小放)
札幌市小学校放送教育研究会(=札小放、斉藤拓也会長)と、札幌市視聴覚教育研究会(=札視研、小笠原康友会長)は七月二十一日、札幌市立札苗緑小学校で「第五十三回札幌市小学校放送教育研究大会・第十六回札幌市視聴覚教育研究大会合同大会」を開いた。札小放では放送番組を活用した理科の授業、札視研では総合でICT機器を活用したプログラミング教育の授業を公開。合同大会の研究主題「〝生きる力〟を育み、未来を拓く豊かな学びの創造~子どもが生き生きと学ぶアクティブ・ラーニングをめざした放送・ICT活用」のもと、今後の放送・視聴覚教育における授業研究を進めた。
◆必要な情報みつける力を Web動画のプレイリスト活用―札小放
札小放では研究主題「未来を拓く 主体的・対話的で深い学びの創造~子どもが生き生きと学ぶアクティブ・ラーニングをめざす学校放送番組活用」のもと「主体的な学びを生み出す教材化」「協働的な学びを深める教師のかかわり」の二点を研究の視点に取組を進めてきた。
◇5年生理科「流れる水」
研究授業では、札苗緑小五年四組理科「流れる水のはたらき」(中田充教諭、児童数三二人)を公開。これまでに、浸食、運搬、堆積といった流れる水の三作用について理解させるため、流水実験などを行ってきた。また、実際の川においても同様の力が働き、上流と下流で川の様子に違いがあることを理解させることなどを目指している。
授業は十一時間扱いの七時間目で、本時の目標を「映像から調べたい内容を抽出し、川の上流と下流の様子や石の特徴を調べ、とらえられる」「上流と下流それぞれの特徴をとらえ、流れる水のはたらきによって、川の様子が違うことを理解している」に設定した。
中田教諭は、児童四人ずつのグループをつくり、上流・下流を調べるグループに分けた。さらに、グループ内では、①川幅②水の勢い③石の大きさ④石の形―の四つの観点について、一人ひとりが担当して資料調べを行うよう指示した。
資料調べに当たっては、観点にかかわる内容の動画約十本をまとめたプレイリストを事前に作成。動画は、学校放送番組などを集めたWebサイト「NHK for school」で公開しており、プレイリストも同Webサイト上で作成した。動画を十本程度にまとめておくことで、情報の選択の幅をもたせたほか、必要な情報を取捨選択させる技能を身に付けさせた。
続いて、観点ごとに調べた結果を確認させたあと、グループで交流。調べた結果を観点ごとにホワイトボードにまとめさせた。
全体交流では「川の上流と下流にはどんな違いがあるのか」と問いかけ、上流と下流の様子を小課題ごとに児童に発表させた。中田教諭は、児童の「上流は水の勢いが速い」「下流は上流に比べて川の流れが緩やか」「(下流は)石が小さくて丸い」などの意見を、文章と絵を用いて板書にまとめ、上流と下流の特徴を明らかにした。
また、上流と下流の特徴に違いが生まれる理由などを問いかけ、児童に考えさせることで、次時への見通しをもたせた。
◆ゴールへの道筋考える プログラムで車型ブロック操作―札視研
札視研では研究主題を「子どもをつなぎ学びを深め豊かな表現を生む視聴覚教育をめざして~視聴覚機器やICTの活用を通して」と設定。研究の視点に「子どもたちの学習につながりを生み、様々な問題に対応し解決する力を育てるための視聴覚教育の実践」「情報モラルの充実を図る」を据えている。
◇4年生総合学習「プログラミング」
この日、札苗緑小四年一組総合「プログラミングって何だ!?」(蝦名悠太教諭、児童数三六人)の授業を公開。プログラミングのフローチャートの作成などを通し、プログラミング的思考を育むことを目指している。これまでに、プログラミングで動かせるブロック「教育版レゴ〝マインドストームEV3〟」(=レゴ)を車型に組み立て、動かす授業などを行ってきた。
授業は二十時間扱いの十二時間目で、本時の目標を「グループで協力して、課題解決に向かうまでのフローチャートを考え、レゴをゴールに到着させることができる」に設定した。
蝦名教諭は、前時に、レゴをプログラミングし「直進」「左右に曲がる」の二つの動作を学習したことを振り返った。
続いて、レゴのスタートとゴールの位置を提示し、本時の課題「(レゴをゴールに)駐車する」を提示。バックしてゴールする条件を提示したあと、児童にレゴの動きを「フローチャート」で考えさせた。
このあと、六人一グループで、児童がそれぞれ考えたチャートをもとに相談させた。その上で、レゴの動きを、①直進②曲がる③その他―の三種類が書かれた付箋を用い、グループでチャートを作成させた。チャートをもとにプログラムを入力させ、うまく動かなかったところは別の付箋に貼り替えさせた。
また、グループで一台のパソコンおよびタブレットとレゴを使用する上で、パソコン操作に精通している児童にプログラミング入力を主に担当させるなど、グループの中で役割を分担させることで、全員が学習に参加できるようにした。
全体交流では、うまくプログラミングできたグループと、少ない手順でゴールにたどり着こうとしているグループを紹介。チャートやレゴの動きを見比べさせたあと、再びグループで交流させ、よりよいチャートを考えさせた。
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蛯名教諭は、プログラミングで動作を指示できるブロックを用いた授業を公開した(札視研)
(関係団体 2017-08-01付)
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