30年度道文教施策への提言 道特別支援学校長会(関係団体 2017-08-16付)
道特別支援学校長会(宮崎真彰会長)が道教委に提出した『三十年度道文教施策に関する提言書』の提言内容はつぎのとおり。
【提言1】本道におけるインクルーシブ教育システムの推進に向けた特別支援学校のセンター的機能の在り方に関する提言
本道におけるインクルーシブ教育システムを推進するためには、特別支援学校が小・中学校等や地域のニーズ、状況の変化を把握するとともに、児童生徒に対する個別の支援から、学校体制全体による支援へ進展することや、将来を見通し各学校段階に応じた連続性のある支援を段階的に行うことが重要である。特に、地域の小・中学校等や関係機関等と連携し、必要とされる地域全体に対する支援の充実が必要であるとの観点から、以下の事項を提言する。
▽小・中学校、高校、市町村教育委員会との連携および各種ネットワークの強化
各学校が主体的に課題を解決する状況をつくるため、パートナー・ティーチャー派遣事業における支援内容を、市町村教育委員会や各教育局SV等と定期的に協議を行うことなどが必要である。また、小・中学校等のコーディネーターの専門性の向上を図るため、特別支援学校のコーディネーターや市町村教育委員会との連携およびネットワーク機能の充実を図る取組を進める。さらに、市町村教育委員会に、特別支援教育に関する「専門職員」配置を促進することが必要である。
▽小・中学校、高校に対する支援の強化
各学校の推進状況に応じた支援や、支援する側と支援を受ける側の共通理解の促進、評価の共有のために、支援の段階や内容、時期を示す「支援段階スケジュール表」を作成し、組織的な取組を推進することが必要である。特に、発達障がいのある児童生徒には、主な困難性に対する「指導目標・指導段階表」を作成し、卒業後を見通した目標と支援内容を総合的な観点で設定し、保護者や関係機関等と共有することが必要である。
▽今後の特別支援学校におけるセンター的機能発揮の方向性の明確化
各学校が担う業務と特別支援学校が担う業務を明確にし、相互連携の具体的な内容を整理することが必要である。市町村教育委員会等を中心に具体的な推進スケジュールを作成したり、特別支援学校の支援は困難事例や連携調整が必要なケースに限定するなど、市町村教育委員会が推進主体となるよう体制を再構築することが必要である。そのためには、今後数年間で地域主体へ移行するスケジュールを作成し期間を明確にするとともに「パートナー・ティーチャー派遣事業」の効果的取組の工夫が必要である。
▽特別支援学校におけるコーディネーターの資質向上
通常の学級や高校の教育課程、生徒指導に関する理解と全体指導における具体的な個別的配慮についての研修が必要である。授業見学等の実地研修や高校教員との協議等、実際的な研修内容・方法の導入が望まれる。高校の「通級による指導」の制度導入に当たり、コーディネーターの育成を図る観点から、これらの課題に対応できる力量を向上させることが急務である。また、普通学校との計画的な人事交流の推進、新たな職員定数の配置の推進が必要である。
【提言2】本道における共生社会の実現に向けた交流および共同学習の在り方に関する提言
本道において共生社会の実現を推進するためには「経験を広め、社会性を養い、豊かな人間性を育てる上で、大きな意義を有するとともに、多様性を尊重する心を育むことができる」とする「交流および共同学習」をより一層充実することが必要であるとの観点から、以下の事項を提言する。
▽現状の再評価と「交流および共同学習」の充実に向けた工夫
小・中学校、高校との「交流および共同学習」の意義、目的について再確認することや、推進組織の設置の促進が必要である。また、各障がい種別に応じた情報保障の徹底と日程調整や移動手段、予算の確保を担当する職員の負担が重いことから、これらの課題に対応することが必要である。
特別支援学校高等部での「高校体育連盟(高体連)」「高校文化連盟(高文連)」などの大会参加や部活動などの学校間交流以外の場面での活動を促進することが必要である。
▽各障がい種別の特性を生かした交流内容の積極的な推進
交流内容に「パラリンピック種目」などを取り入れたり、特別支援学校高等部職業学科における各学科の作業を行い技術指導等をしたりするなど、各学校や地域の特性を生かした取組を推進することが必要である。
▽「交流および共同学習」の充実に向けた教育施策上の位置付けの強化
特別支援学校義務教育段階の児童生徒に対する居住地校交流を推進する体制や仕組みを整備することが望まれる。また、「交流および共同学習」にかかる小・中学校、高校および市町村教育委員会への理解啓発の促進、指導の充実を図ることが必要である。さらに、児童生徒の移動や教職員の引率にかかる旅費等の予算措置および拡充が望まれる。
▽障がいに対する理解の促進を図るコミュニティづくり
各特別支援学校では、小・中学校、高校の統廃合等が進む中で、地域の実情等を考慮し様々な工夫のもとで交流相手校の確保や、「交流および共同学習」の推進に努めていることから、学校間交流の在り方の検討が必要である。
(関係団体 2017-08-16付)
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