【解説】児童虐待相談２６年連続増

（解説 2017-08-22付）

　全国の児童相談所が二十八年度に対応した児童虐待相談件数は、対前年度比一八・七％増の十二万二千五百七十八件（速報値）と、過去最高を記録したことが厚生労働省の調査で明らかになった。統計を取り始めた二年度から二十六年連続で増加した。

　厚労省では、増加した要因として、心理的虐待に関する相談対応件数が二十七年度の四万八千七百件から、二十八年度は六万三千百八十七件と一万四千四百八十七件増加したこと。また、警察などからの通告が二十七年度の三万八千五百二十四件に対し、二十八年度は五万四千八百十三件と一万六千二百八十九件増えたことを挙げた。

　さらに、二十七年度と比べて相談対応件数が大幅に増加した自治体から聞き取ったところ、心理的虐待が増加した要因として、保護者が児童の目の前で配偶者や親族に暴力をふるう「面前ＤＶ」について、警察からの通告が増えたことも指摘している。

　そのほか、児童相談所全国共通ダイヤル（１８９）の広報や、マスコミ報道などによって国民や関係機関の児童虐待に対する意識が高まったことに伴い、通告が増えたと分析している。

　虐待の内容別では、心理的虐待が六万三千百八十七件と全体の五一・五％を占め、以下、身体的虐待が三万一千九百二十七件、二六・〇％、ネグレクトが二万五千八百四十二件、二一・一％、性的虐待が一千六百二十二件、一・三％となっている。

　都道府県別では、東京都が二六・〇％増の一万二千四百九十四件で最も多く、次いで、大阪府が三・〇％減少したものの一万百十八件、また、埼玉県が四四・〇％増の九千三百四十三件など。札幌市を除く本道は二五・〇％増の三千二十三件。札幌市は二一・〇％増の一千七百九十八件だった。

(解説 2017-08-22付)