北広島市の29年度教育行政執行方針―吉田教育長説明 小中一貫教育の取組推進 30年度全市一斉導入に向け
(市町村 2017-08-24付)

北広島市吉田孝志
北広島市教委・吉田孝志教育長

 北広島市教委の吉田孝志教育長は二十一日、第三回市議会定例会で二十九年度教育行政執行方針を説明した。子どもたちが主体的に判断、行動し、自ら課題を解決する「生きる力」を育成するため、九年間を見通した小中一貫教育を重要施策として推進。学習指導の工夫改善、教職員への研修機会の提供など、三十年度の全市一斉導入に向け取組を進めていく方針を示した。また、コミュニティ・スクール(CS)の充実を図るなど、家庭、地域、学校が協働する教育環境の充実・発展に努める。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼「生きる力」を育む学校教育の推進

▽豊かな心を育む教育の充実

 思いやる心や人とかかわる力を育てるため、市独自の福祉読本を活用するなど、他者を思いやる教育活動を進めていくとともに、考え議論する道徳授業の実践に取り組み、道徳教育の充実を図る。

▽確かな学力を育てる教育の充実

 学力の向上を図るため、標準学力検査および全国学力・学習状況調査などの結果を踏まえ、各学校において学校改善プランを改定し、授業改善や個に応じたきめ細かな指導、教員の資質向上に努めるとともに、それぞれの中学校区で策定したスタンダードの実践に取り組み、小・中学校が連携・接続した学習・生活習慣の定着を図る。

 また、専門的知識や豊富な教員経験を有する指導主事を配置し、各学校の課題や教育課程の編成・実施に関する相談や指導助言を行うとともに、教職員研修の企画・立案などに活用する。

▽健やかな体を育てる教育の充実

 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果を踏まえ、各学校において体力向上プランを作成し、体育授業や日常における体力づくりの充実に努める。

▽学校給食

 安全衛生管理を徹底し、安心・安全な給食を提供するとともに、児童生徒が将来にわたって健康な生活が送れるよう、食の指導の充実を図る。

 また、学校給食施設の新設や食物アレルギー対応を含む今後の「学校給食の在り方」について、本年度中に基本方針を策定する。

▽学校ICT環境の整備

 ICTを効果的に活用した教育を推進するため、全教職員への校務用コンピューターのタブレット化を進めるとともに、校務支援システムの活用による校務の効率化を図る。

▽特別支援教育の充実

 特別支援教育支援員を全校に配置し、通常学級に在籍する特別な配慮を必要とする児童生徒の生活や学習の支援に努めるとともに、教育支援委員会や特別支援教育担当の指導主事を活用し、個々の教育的ニーズに対応したきめ細かな支援を行う。

▽社会の変化や課題に対応した教育の推進

 子どもたちが成長の足跡を確かめながら自己有用感を高め、夢や目標に向かって挑戦する人を育てる「きたひろ夢ノート」の改訂と実践を進めるとともに、望ましい社会性や職業観・勤労観を育成する大志学(キャリア教育)を推進する。

▼信頼され、魅力ある学校づくりの推進

▽開かれた学校づくりの推進

 地域との協働によって子どもたちを育てていくCSの充実を図るとともに、学校と地域の双方向の連携づくりを推進する。なお、西部中学校区での取組と成果や課題などを踏まえ、同中学校区における取組を継続して推進するとともに、ほかの中学校区への拡大に向けて検討する。

 また、土曜授業を実施し、開かれた学校づくりをさらに推進していくとともに、学習機会の提供を図る。

▽教育環境の整備

 子どもたちの「生きる力」を育むために、一貫した教育課程の編成や乗り入れ授業等をはじめとする学習指導の工夫改善、教職員への様々な研修機会の提供などを通して、三十年度の全市一斉導入に向け、小中一貫教育の準備を着実に進める。

▽学校施設の整備

 引き続き、施設の長寿命化を含めた大規模改修工事に取り組み、防災施設としての機能の充実を図る。

 また、学校放送機器や暖房機を更新するとともに、小学校グラウンド内の遊具の設置を実施する。

▽地域の教育資源を活用した学校支援

 学校と地域住民が連携して、子どもたちの学びや育ちを支援するとともに、学校支援地域本部事業の効果的な運営を進める。

▼優しく支え合う教育連携の推進

▽家庭の教育力向上への支援

 家庭の教育力に関する情報の発信や、関係団体と連携した学習機会の提供を進めるとともに、学校、家庭、地域が一体となった子どもの生活リズムの向上に取り組む。

▽教育相談体制の充実

 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど、専門知識を有する人材を活用し、学校や関係機関と連携した相談体制の充実に努める。

▽不登校、いじめの問題

 国の基本的な方針の改定を受けて、本年度中に市いじめ防止基本方針の見直しを図るとともに、学校における基本方針の見直しなどについても指導助言する。

 また、学校などにおいて、いじめ防止のための啓発や学習機会を設けるとともに、関係団体と連携し、不登校児童生徒へのきめ細やかな対応を進める。

▽青少年の安全対策

 専任指導員による巡回パトロールや、札幌方面厚別警察署と連携した防犯教室などを実施する。

 また、インターネット上などでの新しい形のいじめやトラブル、犯罪被害やインターネット利用による生活習慣の乱れを防ぐため、引き続き、ネットパトロールを実施するとともに、児童生徒や保護者などへの啓発活動を行う。

(市町村 2017-08-24付)

その他の記事( 市町村)

29年度奨学生―札幌市教委まとめ 1297人、総額1億円 さらなる支援へ奨学基金を周知

奨学生採用者数表  札幌市教委は二十九年度奨学生の採用者数をまとめた。辞退者を除く採用者は高校等一千四十三人、大学等二百五十四人の計一千二百九十七人。総額一億八十二万円の予算を見込んでいる。市教委では、奨学基...

(2017-08-28)  全て読む

具体例示し活用を促す いじめ防止基本方針児童生徒用案―旭川市教委

いじめ防止基本方針児童生徒用案  【旭川発】旭川市教委は、児童生徒がいじめの問題について、自分のこととしてとらえられるよう、「学校いじめ防止基本方針(児童生徒用)」案のさらなる活用に期待している。ことし五月に改定した基本方...

(2017-08-28)  全て読む

旭川市内中学校24校の生徒会役員 いじめ防止の取組協議 サミットで基本方針活用

旭川市教委Actサミット  【旭川発】旭川市中学校連盟と旭川市教委は七月下旬、旭川市立東陽中学校で「生活・学習Actサミット」を行った。市内の中学校二十四校から生徒会役員六十人が参加。サミットのテーマ「いじめの問題」...

(2017-08-28)  全て読む

札幌市消防局の応急手当講習 スポーツチームと協力 実施校で選手が子どもと活動―9月から開始

 札幌市消防局は、応急手当講習の実施に当たり、道内四つのプロスポーツチームと協力する新たな取組を始める。各チームの選手などが講習実施校を訪問し子どもたちと一緒に活動することで、子どもが応急手...

(2017-08-25)  全て読む

外国語活動の時数増対応―本紙調査・上川 旭川が60分授業実施へ 東神楽、幌加内は新たに時数増

 【旭川発】新学習指導要領移行期間における外国語活動の授業時数増への対応について、上川管内二十三市町村教委の現段階での対応方針が本紙調査でまとまった。旭川市教委では、全面実施を意識して、小学...

(2017-08-25)  全て読む

各管内の外国語活動時数増加への対応―本紙調査

◆各学校の対応を調査 乙部は総合学習充てない方針―桧山  【江差発】新学習指導要領移行期間における外国語活動の時数増に関して、桧山管内七町の現段階での対応状況が本紙調査でまとまった。各学校...

(2017-08-24)  全て読む

研究開発事業「体験的な学習の充実」 教師のかかわり方など追究 実践研究会を設置―札幌市教委

 札幌市教委は、本年度の研究開発事業「ボランティア活動等の体験的な学習の充実」にかかる実践研究について、札幌市立篠路西小学校の森田智也校長を委員長とする実践研究会を設置した。社会性や豊かな感...

(2017-08-24)  全て読む

帯教研と帯広市教委が研究協議会 心通い合う学級経営を 実践発表・講演などで研鑚

帯教研学年・学級経営研究協議会  【帯広発】帯広市教育研究会学校経営部会と帯広市教委は八月上旬、帯広市内のとかちプラザで学年・学級経営研究協議会を開いた。小・中学校の教員四十一人が参加。実践発表や講演などを通して、学校・学...

(2017-08-24)  全て読む

札幌市教委 算数の指導者用デジタル教科書 より分かりやすい授業へ 全小学校で2学期から活用

 札幌市教委は二十一日、全小学校に算数の指導者用デジタル教科書を導入した。教科書を効果的に活用するための教材で、立体の断面図を見せるなど児童にとって、より分かりやすい授業が可能となるほか、教...

(2017-08-23)  全て読む

外国語活動時数増加への対応―本紙調査(空知) 岩見沢市は総合学習削減 滝川市が6時間授業増加で調整

 【岩見沢発】新学習指導要領の移行期間における外国語活動の時数確保の取扱いについて、空知管内二十四市町の現段階での対応方針が本紙調査でまとまった。岩見沢市教委では総合的な学習の時間を活用。滝...

(2017-08-22)  全て読む