北教組が緊急シンポジウム　教職員長時間労働に警鐘　名大院・内田准教授の講演など

（関係団体 2017-08-30付）

内田准教授は、多忙な教職員の実態を「見える化」し、教職員を増員する必要性を説いた

　北教組（信岡聡中央執行委員長）は二十五日、ホテルポールスター札幌で「子どもたちと学校にゆとりを　ＳＴＯＰ！教職員の長時間労働！！緊急シンポジウム」を開いた。名古屋大学大学院の内田良准教授が「学校の日常を〝見える化〟する～部活動改革から働き方改革まで」と題して講演。パネルディスカッションでは、教職員の長時間労働の実態、要因、背景について協議し、教職員の超勤・多忙化の解消に向け機運を高めた。

　約二百五十人が参加。子ども、教師が学校で遭遇する様々なリスクについて調査研究、啓発活動を行っている名古屋大大学院教育発達科学研究科の内田准教授が講演した。

　内田准教授は、ここ数年で教職員の働き方改革の機運がインターネットなどを通して「徐々に高まってきた」とし、多くの学校で出退勤時間が把握されていない現状を踏まえ「労務管理なき長時間労働を解消するには、教職員が働いている時間を把握することが大切」「多忙な教職員の実態を〝見える化〟し、教職員を増員することが解決の鍵となる」と述べた。

　また、部活動顧問の指導は学校教育内、教育課程外の「グレーゾーン」にあり、教師の自主性が負担の増大を招いていると指摘した。時間数、日数、大会参加数などの上限規制を設ける必要性を挙げ「教職員は、〝教職員〟である前に〝労働者〟。この理念なくして教育は回らない」と述べた。

　パネルディスカッションでは、教職員、保護者、弁護士が、教職員の長時間労働の実態、要因、背景について協議。

　教職員が「授業時数や学習内容の増加、チーム・ティーチング、少人数指導による打ち合わせや各種調査など、ここ十数年で学校における業務量が大幅に増えた」と指摘。「これまで行政が提起した意識改革は必要だと思うが、学校の業務をどう減らすかを議論し続けるだけでは前に進めない」「多様な価値観、様々な個性をもつ子どもたち向き合い、話し合う余裕が必要」との意見が挙がった。

　また、教職員の労働に関する現行の法令と学校現場における実態との矛盾が生じているとし「教職員の定数を増やすなどの施策が第一に必要」「すべての学校にタイムカードを設置することから始めるべき」などの意見が出された。

(関係団体 2017-08-30付)