七飯養護おしま学園分校 多様な学び支える地域へ 発達障がい公開講座に200人(学校 2017-08-30付)
中邑教授は、現場への積極的な社会モデルの導入を呼びかけた
【函館発】七飯養護学校おしま学園分校(友善学校長)は十七日、同校と北斗市総合文化センターを会場に、発達障がい公開講座を開いた。道内の特別支援学校や特別支援学級の教職員、福祉施設職員など、関係者約二百人が参加。講演では、東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍教授が登壇。人工知能の発達などから、変化が予想される社会に対応できる子どもの指導方法について解説した。
公開講座は、外部講師による講演などを通して、新学習指導要領のポイントである「主体的・対話的で深い学び」を支える学習の在り方や知的障がい・発達障がいのある児童生徒への指導・支援について知識の習得を図るとともに、特別支援学校のセンター的機能として、多様な学びを支える地域となるよう、研修や情報交流の機会として実施したもの。
午前中は、おしま学園分校でプレ研修会を開催。同校の澤田崇史教頭が「特別支援学校学習指導要領改訂のポイント」を演題に「子どもたちに育成する資質・能力、カリキュラム・マネジメント」「主体的・対話的で深い学び」「特別の教科 道徳」の三点を説明し、新学習指導要領の理解を促した。
また、研修会後には、学校見学を実施。授業を円滑に行うための工夫が施された教室環境を見学しながら、自校の学習環境と比較し、今後の指導や支援の参考とした。
東大・中邑教授講演
午後からは会場を北斗市総合文化センターに移し、中邑教授が「子どもの可能性を最大限に引き出す学びの環境~発達にアンバランスさをかかえている子どもへの〝主体的・対話的で深い学び〟を支える学習とは」を演題に講演。学びの環境づくりや多様な学びの在り方に関し、事例を交えながら解説した。
中邑教授は冒頭、人工知能の発達などによる生活環境や産業構造の変化から「将来的には、障がいのある子どもの仕事が奪われ〝生きにくい〟時代になる」と強調。世の中が合理的になる一方で、障がい者の労働環境が奪われてしまう可能性を指摘した。
また、障がいへの考え方が、世界保健機関(WHO)の国際障害分類(ICIDH)から国際生活機能分類(ICF)に替わっていると説明し「環境要因や個人要因の障がいへの考慮が重要」と呼びかけた。その上で、教育現場への過剰な医療モデルの介入や心理テストへの過度の依存に言及し、社会モデルへの移行が重要と指摘。「教師が現場で見た子どもの様子や評価が重要。教師は子どもが伸びる環境・場を提供すべき」と現場の教師が力量を高めるとともに、子どもの能力や実態を重視した指導を求めた。
そのほか、「ICTによる能力補強やよりよい環境の提供」「ユニバーサル・デザインの積極的な取組、活用」などを提案した。
最後に「子どもを変えるだけではなく、親や支援者の意識も大きく変える時代になってほしい」と述べ、充実した特別支援教育の推進に期待を寄せた。
参加した特別支援学級担当の男性教諭は「発想の転換が必要だと感じた」と感想を述べるとともに「日常の指導や支援へのヒントが得られた。今後の指導に生かしていきたい」と話していた。
(学校 2017-08-30付)
その他の記事( 学校)
福島小の全校児童がデザイン 中塚建設の新たなクレーン 3頭目の〝キリン〟誕生
【函館発】福島町立福島小学校(飯田典紀校長)の全校児童八十二人がデザインを手がけ、キリンをモチーフにした町内の建設会社・中塚建設(株)の大型クレーンが完成した。同小の児童が携わったのは三回...(2017-09-01) 全て読む
北見工業高が現場見学会に参加 建設業への理解深める 建築・道路工事等じかに
【網走発】北見工業高校(飯田耕一郎校長)は八月二十五日、建設科一年生を対象にした建設現場見学会に参加した。主催はオホーツク総合振興局網走建設管理部と網走建設業協会。北見市内で行われている建...(2017-09-01) 全て読む
サイパル・道北若力会が体験イベント ドローン玩具の操作に歓声 楽しみながら測量学ぶ
【旭川発】旭川市科学館サイパルと上川調査設計協会道北若力会(田上和広会長)は八月二十日、同館で小学生を対象とした測量・ドローン体験学習イベントを開いた。多くの親子連れが来場。測量機械やドロ...(2017-09-01) 全て読む
稚内高定時制が職場見学会 建設業の魅力を理解
【稚内発】稚内高校(元紺谷尊広校長)定時制は二十一日、市内の建設工事現場で職場見学会を実施した。一年生八人が参加。生徒たちは現場見学や測量体験などを通して、建設業の魅力の一端を感じ取った。...(2017-08-31) 全て読む
平取高ふるさと人材育成セミナー開く 地元企業への理解深める 分野別に11講座を開設
【浦河発】平取高校(渡邉祐美子校長)は二十三日、同校でふるさと人材育成セミナーを開いた。一・二年生四十五人と平取町内の平取中学校、振内中学校の三年生合わせて四十八人が参加。平取町内の十一事...(2017-08-31) 全て読む
網走市中央小児童が測量体験学習 地図への関心高める 航空写真、立体模型作製通し
【網走発】網走市立中央小学校(潮田信校長)で二十五日、益村測量設計㈱による測量体験学習が行われた。六年生の総合的な学習の授業の一環として実施。児童たちは現場で使われているドローンを見学した...(2017-08-29) 全て読む
倶知安農業高で出前講座 今後の進路選択の一助に 小樽建協建世会が建設業の魅力紹介
【倶知安発】倶知安農業高校(伊與部明校長)の一年生三十四人は二十一日、同校で小樽建設協会建世会(進藤竹則会長)の出前講座を受講した。同会が制作した建設業をPRするDVDを視聴し実際の仕事に...(2017-08-25) 全て読む
道工業高校長会・工業クラブ連盟 旭工チームなど全国へ 道高校ロボット競技大会
道工業高校長会と道高校工業クラブ連盟は十九・二十日、札幌琴似工業高校で二十九年度道高校ロボット競技大会兼第二十五回全国高校ロボット競技大会道予選会を開いた。十一校十八チーム(うち一チーム棄...(2017-08-23) 全て読む
【リポート】紋別市渚滑小・道徳の評価試行 〝気づき〟と〝実践〟に焦点 授業改善、児童理解に期待
【網走発】紋別市立渚滑小学校(及川勝也校長)は、本年度から道徳の評価を試行している。「評価はするが評定はつけない」の前提のもと、〝児童の気づき〟と〝実践〟に焦点を当て「単元の中での学びをそ...(2017-08-23) 全て読む
札幌啓北商がSPH生徒国内研修 神奈川、東京で3日間 今後の活動充実に向け見識広める
本年度、文部科学省のスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)の指定を受けた札幌啓北商業高校(尾崎寿春校長)は八月上旬の三日間、神奈川県や東京都でSPH生徒国内研修を行った。同校...(2017-08-22) 全て読む